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「オミクロン株が全然“かぜ”じゃないコロナ病棟」

TONOZUKAです。


オミクロン株が全然“かぜ”じゃないコロナ病棟

以下引用

コロナ病棟で膀胱バルーンカテーテルを挿入していたとき、付き添っていた看護師が私に言いました。

 「毎日のように酸素が必要な患者さんが入院してきますね。オミクロン株が“かぜ”っていうのは、どこの世界なんですかね」

 コロナ病棟にいるから、たくさんの患者さんのうち、入院が必要な症例だけを目の当たりにしているというバイアスもあるでしょう。しかし、それにしても肺炎が多い。

 軽症中等症病床に入院要請がある場合、来院前に肺炎があるかどうかは基本、分かりません。そのため、入院してきた人を連続的に診ることで、「肺炎が多い・少ない」という実感をコロナ病棟だからこそ得られるのです。

 大阪府で最も肺炎が多かったと感じたのはアルファ株第4波でした。デルタ株第5波もそれなりに肺炎の頻度が高かったのですが、酸素を必要とする中等症II以上の肺炎を起こす頻度は、第4波が一番高かったのです。当院では、その頻度は実に66.5%です。軽症中等症病床に新規入院してくる患者さんの3分の2が呼吸不全に陥っていたのが第4波でした1)。

 オミクロン株が主流と思われる第6波ですが、12月~1月前半と、1月後半~2月では全然景色が異なります。恣意的ではありますが、時期を2つに分けて臨床像を見てみましょう(表1)。面倒なので、統計解析はしていません。取りあえず、表の右側が現在の軽症中等症病床から見た景色です。


中等症II以上が増えていることがお分かりかと思います。現在、半数以上の入院患者さんが呼吸不全に陥っている状況です。中にはもともと在宅酸素療法を必要としていて、酸素必要量が増えた肺炎の方もいらっしゃいますが、ほとんどは新規の酸素吸入適用例です。

 コロナ病棟の中から見ているというバイアスがあるとはいえ、どう考えても軽症とは言えないですね。そして少なくとも、5類がどうのこうのと議論できる水準ではなさそうです。

軽症中等症病床の稼働が過去最大を記録

 現在、大阪府の軽症中等症病床は、第5波を超える2600床以上の使用です(図1)。過去最大の人数が入院しています。大阪府の要請でコロナ病床をブーストした状態で、使用率85%という危機的状況にあります。咲洲(さきしま)という人工島にある国際展示場「インテックス大阪」に1000床規模の野戦病院、正式には「大阪コロナ大規模医療・療養センター」といいますが、これが1月末日からオープンしています。まさかこの施設を使うシナリオに陥るとは予想していませんでした。


重症病床は、医療ひっ迫を完全に超えてしまった医療崩壊に陥った第4波の教訓を生かして、確保病床を612床にまで増床しています。第6波の重症病床入院患者数が行政の会議における想定の上限だった100例を軽く超えてきました(図2)。先にオミクロン株が流行した他国を参考にすれば、新規陽性者のピークはもうすぐ来るはずですが、現在進行形で軽症中等症病床では中等症IIの患者さんが多数発生しています。そのため、重症病床の稼働ピークはもう少し先にあると思われます。


感染者数が増えすぎて、集団ベースでの対策はもう難しく、新規感染者数がピークアウトするまで見守るしかなさそうです。


(参考文献)
1) Kurahara Y, et al. Clinical characteristics of COVID-19 in Osaka, Japan: Comparison of the first-third waves with the fourth wave. Respir Investig. 2021 Nov;59(6):810-8.




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