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「<診察室から>新型コロナウイルス感染症から学んだこと(22) コロナvs戦争」

TONOZUKAです。


<診察室から>新型コロナウイルス感染症から学んだこと(22) コロナvs戦争

以下引用

 二つの深刻な問題を理解する上で、自然との共生ならびに人間と人間の共生が大切です。そのわかりやすい語句は、「ゾーニング(境界線)」です。人間が決して立ち入ってはならない世界、すなわちある種の動物の世界があります。あらゆる生物、例えば、人間、動物、植物などには、ウイルスが存在します。
 これまで人類は、ウイルスとうまく共生しながら進化してきました。しかし、人類が入ってはならない領域に侵入して、ウイルス感染を引き起こし、多くの人々を死に至らしめているのが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)です。
 五箇公一氏によれば、「一見して生態系の中では生物種同士は、お互いに支え合い、人間もその中心にいるような錯覚(幻想)を抱きがちだが、実は生物の世界はそんな甘いものではなく、常に自分の遺伝子のコピーを少しでも多く残さんと個体同士、種同士、お互いに隙あれば、相手の『取り分』や生命すらも奪おうとせめぎ合って生きている。生物の究極的生存意義は『奪い合い』にある。増え過ぎれば、天敵のいい標的となり、減り過ぎれば絶滅の淵に立たされる。…生態系とは支え合いで成立する。システムではなく、足の引っ張り合いの張力でバランスが取れている」と。
 戦争の話題に転じると、人類も境界をつくり、民族ごとに集団をつくり、国家をつくって生活しています。その境目に無理に侵入しようとしているのが戦争ではないでしょうか。社会のルールを守らずに、一方的にすべてを独占しようという人間のエゴイズムが露呈した醜い争いが戦争ともいえます。このようなゾーニングの身近な例として、猫や犬がおしっこをして、臭いによって、自分たちの生活空間をつくり、ここの中には入っていけないという見えない境界をつくって生活しています。この境界に入ろうとすると、過度な攻撃を受けることになります。
 今、私たちは学んでいます。当然のことですが、地球は人間のためだけにあるのではありません。多様な動植物の「共存」というキーワードをもう一度学ばなければなりません。今、人類が地球に住めなくなるかどうかの深刻な事態が目の前に生じようとしているのです。(九州大学キャンパスライフ・健康支援センター教授 佐藤 武)




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