自己中心者の成れの果て。ゲーム理論に学ぶ「囚人のジレンマ」とは
はじめに
家族、恋人、同僚、上司、取引先と、あなたが交渉をしなければいけない相手は多岐に渡る。時として、精神を削る相手とのタフな交渉現場に遭遇することもあるだろう。今や、ビジネスの世界に生きるのならば、交渉学を身につけるのは当たり前と言えるだろう。
囚人のジレンマ
様々な戦略を展開する交渉学には、有名な理論がある。「ゲーム理論」という。ある状況で何らかの選択を迫られた場合に、自分と相手の最適解を決めるための考え方のことだ。
その中でも特にポピュラーなものがある。アメリカの数学者、ジョン・フォイ・ノイマンが考えた囚人のジレンマというゲームだ。
状況のポイントは4つ
① ある犯罪でAとBの二人の容疑者が捕まる
② 二人は電話や伝言など、あらゆるコミュニケーションが取れない状況
③ その状況で取り調べを受ける
④ 二人は自白するか、自白しないかの選択を迫られる
二人が取れる行動は三通りある。
A) AとBのどちらかが自白し、どちらかが自白しない…自白した側は無罪。自白しない方は懲役10年
B) AもBも自白をしない…両者懲役2年
C) AとBが自白する(同時自白)…両者懲役5年
メリットを考える
AとBにとって最良の結果になるのは、自分だけが自白し、もう一人が自白しない場合だ。しかし、相手も自白すれば二人は有罪になる。お互いが自白しなければ有罪にはなるが、懲役は最短の二年。
ポイントは意思疎通が不可能な状況で、自分と相手の利益、どちらを優先するかということだ。
お互いが無罪になるという選択をすれば、懲役は2番目に長い5年。協力した時よりも状況は悪くなる。まさにこの部分が「ジレンマ」ということになる。
交渉の落とし穴に落ちる前に
この理論には最初から正解はない。自分のことだけを考えるのか、相手のことも考慮するか。その場合、どこまで考慮すべきなのか。
交渉には落とし所が必要になる。あなたが囚人のジレンマに陥る前に、日頃から自分と相手にとって、最適な行動は何かを考えることをオススメする。
締め
本日はゲーム理論に学ぶ囚人のジレンマを紹介した。ゲーム理論の他の例として、最適解が相手の行動に依存する「チキンゲーム」というものがある。機会があれば調べてみるのも良い。
この記事が、あなたの悩みを解決する導火線に火を点けることを、心から祈っている。