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幽閉

気がつけば其処に入口があつた。
あゝ此処からの出口であつたか。
飾り立てられた内部へ足を踏み入れる。
私の過去が点在している。
一度も思い返したことの無い記憶だ。
ひとつ手に取り想いを馳せる。
季節が香る。
壊れた秒針が六を叩き続ける。
破れたソファに深く腰を掛ける。
視点は定まらぬ。
瞼を閉じて微睡に身を任す。
これもまた思い返されることのない眠りになるだろう。

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キングAジョーカー
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