![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35732646/rectangle_large_type_2_c1529b34993ff140517994f6318f2d0b.jpeg?width=1200)
Photo by
tomokoenokida
詠い給えと我が云う
ライ麦の
高く茂るその季節
穂先を揺らす緩い風
その背の高さに身を隠し
口付け交わす少年少女
重なり合うその空間は
いったい誰のものなのか
夕空が
世界に落とした金色の
光の布を払うよう
風が生まれ樹が揺れる
じゃれる友に黄昏と
尋ねて始まるかくれんぼ
錆びたナイフは鈍く重く
切られた腕は痛みを覚え
そこから流れる血液が
指の先から落ちたとき
それは私のものなのか
坂の途中
静かに落ちる月光と
それに重なる風の音
触れることが叶わぬならば
何故に此方へ届くのか
星屑を
並べて繋ぎ形をとる
天に現る巨大絵図
誤り落とした星屑が
誰かの願いを聞き流す
深海の
底に冷たく張り付く頬
無音の中にただひとつ
響く鼓動を押し殺す
目頭の窪みに溜まる煌めきは
悲しみ混じりの結晶か
去り行く背中に嘘を吐く
誰がために、我がために
時の浄化を知りつつも
離れる距離と競うよう
続ける嘘は誰がために
頭を抱えて我に問う
機嫌を窺い人に問う
見知らぬ神に問いかける
納得しうるものなどは
天地を返せどみつからぬ
いいなと思ったら応援しよう!
![キングAジョーカー](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17266222/profile_a78214cac276dbb4a559aeecde16f618.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)