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#0080【マンション管理】区分所有マンションの場合の敷地利用権の分離処分の禁止

皆さん、こんにちは。記事をご覧頂きありがとうございます。今回は少し馴染のない区分所有マンションの敷地利用権の分離処分の禁止についてとり上げます。
区分所有権すなわちマンションの1室を取得した場合に取得する所有権は建物のうち専有部分だけです。マンションの1室を取得すると、ほかに廊下や階段等の共用部分と敷地利用権を取得します。建物区分所有法では、敷地利用権が数人で所有する所有権その他の権利である場合、区分所有者は、専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができません(建物区分所有法22条)。この点について説明します。

【分離処分が禁止される理由】
専有部分と敷地利用権の分離処分がなぜ禁止されているかというと、仮に分離処分を認めてしまうと、例えば、敷地利用権だけ処分すると、専有部分、すなわち1室だけ所有する方が、敷地利用権がない状態になります。権利関係が複雑になる可能性があります。そこで、建物区分所有法は原則として、専有部分と敷地利用権の分離処分を禁止しています。なお、敷地利用権には所有権だけでなく、地上権、借地権、使用借権等があります。

【敷地権の登記】
区分所有マンションの場合、敷地権の登記というのを行うのが通常です。区分建物と敷地権を一体化させて、敷地権の登記をした以降の物件変動は区分建物についてそのみ行うことができるようにできます(不動産登記法73条)。なお、不動産登記法では「区分建物」という独自の用語が使われます。

【専有部分・敷地利用権の放棄や相続人なくして死亡した場合】
応用的な論点として、区分所有マンションの場合、持分(専有部分・敷地利用権)の放棄や相続人なくして死亡した場合に民法の原則(民法255条)を適用除外するというものがあります。これは民法上、共有物に関しては、共有者のうち1人が持分を放棄したときやまたは相続人(特別縁故者も含む)がなく死亡したときは、その持分は他の共有者に帰属する(民法255条)とされています。仮にA、B、Cの3人が所有しているマンションがあり敷地利用権を有していて、Aが相続人なく死亡した場合、専有部分は国庫に帰属することになりますが、敷地利用権は他の共有者に帰属するとする民法の原則どおりだとBとCがAの持分を取得します。これを認めてしまうと専有部分と敷地利用権が分離処分されてしまうことになるので、敷地利用権についても国庫に帰属することで、専有部分と敷地利用権の一体性を保つことが可能となります。

【最後に】
マンションの1室だけ買った場合、この話を聞いてすんなり理解できる方は少ないのではないでしょうか。難しい話なので、なんとなくそういう話があったと知っている程度でよい知識だと思います。今回は区分所有マンションの場合の敷地利用権の分離処分の禁止について説明しました。最後までお読みいただきありがとうございました。よかったらお気軽にフォロー、スキして頂けますと幸いです。


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