黒く光る窓の向こう、ぼんやりと浮かぶ婆がいる。うっかり雨戸を閉め忘れた日は、ひぃと喉から声が出る。 懐中電灯を掲げた母が、しきりに何かを探している。探して、箸でつまんでいる…てらてら光るナメクジを。 プランターに種を蒔き、芽吹いたばかりのみどりの若葉が、何者かに食われる事件が、我が家では頻発していた。現場に残るは、きらめくかすかな這いずり跡。…犯人は貴方ですね?(断定) バジルの葉の一枚一枚に名前を書く訳にもいかないが、書いたところで読まれない。きゃつら時間無制限のバイ
昨晩、滑り込みでキナリ杯に応募できた。楽しかった。コンテストなど生まれて初めてで、小鹿みたいにぷるぷるしながらだったけど。 一緒に参加する友達とSkypeで励ましあい、なんとか投稿ボタンを押せた後は、ううっと布団に突っ伏したが…やりきった感がすごかった。記憶の彼方の学生時代に戻ったみたいで。 書き物の上手な彼女に添削を頼んだら、初心者丸出しの三点リーダー(…)多用をばっさばっさと刈り込まれ、「ぎゃー」と悲鳴をあげていた。今回そんな事まで楽しかった。 「ラジオ体操のごほう
私は意外と礼儀正しい人間なのかもしれない。 なにしろ自分の家族であっても、道で会ったらお辞儀をする。 だからといって「親しき仲にも礼儀あり」を実践している訳では勿論、ない。 家から出たらわからない向こうから人が来るのが見える。 だんだん近づいてきたその人影は、両手を広げて奇妙なアピールを始めた。 「やだなぁ…酔っ払ってるのかな?(汗)」 内心思いつつ会釈をして、こわごわ脇を通り過ぎようとした所が、一緒に暮らしている弟だった…というような事はもはや日常茶飯事だ。 …そうな