骨盤が歪むと脚が太くなると言われるのはなぜですか?
なぜ骨盤が歪むと脚が太くなると言われているのか?
今回は、よく聞く、「骨盤が歪むと脚が太くなりやすい」と言う話について、運動学的に考えていきたいと思います。
さて、ではここでみなさんに質問します。
「本当に骨盤が歪むと脚が太くなると思いますか?」
骨盤の歪みという言葉は、ほとんどの人が一度くらいは聞いたことがあると思います。
骨盤の歪みは様々な身体の不調の原因として説明されていることが多いです。
今回の「脚が太くなる」というのも骨盤が歪んでいるから太りやすくなると言われることがあります。
私は、国家資格である、理学療法士の資格と、骨盤・背骨から姿勢改善のアプローチを得意とするキネスティックセラピーの資格を取得しています。
そのため、運動学や姿勢のことが専門分野なので、良く考えると何を言っているのか良くわからない「骨盤の歪み問題」に関しても、納得のいく説明ができると思います。
今日の内容をまとめるとこのようになっています。
・骨盤の歪みで考えるからややこしくなる
・骨盤の傾きで考えるとすごくシンプル
・あなたの骨盤は前型?後ろ型?
・骨盤の傾きごとのケアポイントを簡単に紹介します
骨盤の歪みで考えるとややこしい!
結論としては、骨盤の影響から脚が太くなりやすくことはありえます。
ですが、運動学的に考えると、骨盤に歪むという動きはありません。
そのため、骨盤の歪みと言うより、「骨盤の傾き」で表したほうがわかりやすくなります。
骨盤の歪みに関しては、以前にもいくつか記事にしています。
骨盤に関して運動学的に解説しているので、よければこちらも見てみてください。
骨盤の動きのおさらいですが、
骨盤は「前傾」「後傾」「挙上」「下制」(挙上、下制は傾斜といったりする時もあります。)で表すことができます。
歪みと言ってしまう理由も、骨盤の動きが、この4つの動きの組み合わせかつ、左右で骨盤が別々の動きをするので、動きのパターンが複雑で説明するのが難しいことが理由として挙げられます。(そもそもセラピスト自体が、骨盤がどのように動いているのか理解していない可能性もあります)
確かに歪みとってしまった方が、お客様にとっては、「骨盤に原因がある」と言う認識はつけられるので、説明を簡易的に済ませて、骨盤や身体に対して興味を持っていただくと言ったメリットはあるかもしれません。
ですが結局、骨盤が歪んでいると言われても、なぜ脚が太くなるのか説明したことになっていないので、話が余計にややこしくしてしまっています。
骨盤の歪みではなく骨盤の傾きで脚が太くなる理由を説明していきましょう。
骨盤の傾きによって脚が太くなる理由
骨盤からの影響で脚が太くなりやすい人は、骨盤の前後の傾きによって説明することができます。
前傾方向で足が太くなる理由は、骨盤は前傾することによって「大腿四頭筋」と呼ばれる太ももの前の筋肉を過剰に使用するようになります。
その状態が長く続くことで、大腿四頭筋が疲労し、筋肉が張ってしまうことで太ももの前が太くなる原因になります。
他にも骨盤の前傾は、爪先を下に倒す作用のある、「下腿三頭筋」と言う、ふくらはぎの筋肉を過剰に使用しやすくなります。
そのため、骨盤の前傾が過剰な人は太ももだけではなく、ふくらはぎも太くなっている可能性もあります。
骨盤後傾で足が太くなる原因ですが、これは主に骨盤の傾きにより、股関節が動かしにくくなってしまうことで、膝の動きで代償し、膝が曲がりやすくなることが原因で起こります。
膝が曲がることで、膝まわりの筋肉に継続的な負担をかけます。
この場合も負担となる筋肉は大腿四頭筋と呼ばれる筋肉ですが、この場合は筋肉が縮まずに常に引っ張られることで、負担がかかります。
さらに見た目でいうと、骨盤が後傾することで膝が曲がると、膝が外側に動きやすくなります。膝が外側に開いてしまうと、見かけ上ですが脚が短くなります。脚が短くなってしまうことで、見かけ上も脚が太くなったように見られてしまう可能性もあります。
もちろん姿勢のことに関しては、骨盤の傾き以外にも、運動習慣や仕事内容、心理状態や周りの環境などによっても影響を受けます。
そのため、骨盤の傾きだけで全てを語ることはできません。
ですが、骨盤は身体重心の位置に非常に近い位置にあることから、身体に与える影響も大きいため、骨盤の状態を確認しておくことは非常に重要になります。
骨盤の歪みに対してのアプローチの方法
先ほどの内容から、骨盤が前傾しているか、後傾しているかによって、太くなりやすい原因の筋肉は同じでも負担のかかり方が変わっているので、一概に同じアプローチは出来ないことがわかると思います。
つまり、あなたが誰かに「骨盤が歪んでいる」と言われたのであれば、
骨盤の傾きが前傾なのか、それとも後傾かによって、アプローチの方法が変わってきます。
まずは、あなたの骨盤が一体どちらに傾いているのかを知る必要があるのではないでしょうか。
骨盤へのアプローチの違いとしては骨盤の前傾に対して行うのか、それとも後傾に対して行うのかによって重要なポイントが異なります。
簡単なポイントとしては骨盤の前傾に対しては「大腿四頭筋」という太ももの前の筋肉と「脊柱起立筋」という背中の筋肉に対するケアを行うことが重要です。
骨盤の後傾に対しては、「大殿筋」というお尻の筋肉と「腹直筋」というお腹の筋肉に対するケアを行っていく事が重要になります。
最後に骨盤の傾きを、寝たままで確認する簡単な方法をお伝えします。
仰向けに寝た状態で、腰の位置に手を入れてみましょう。
骨盤の前傾が過剰な時は、腰が反っているので手が床と背中の間に簡単に入っていきます。
後傾が過剰な時は、腰が反っていおらず、平坦になっていることが多いので手が入りにくい状態になっています。
床に寝るのがめんどくさい場合は、壁にもたれた状態でもできます。
ご自身の骨盤の傾きを簡単に確認したい方は、ぜひ実践してみてください。
もしあなたがどこかで骨盤矯正を受けたり、ネットや書籍で紹介されている骨盤矯正を試してみても、足が細くならないのであれば、
もしかすると骨盤の傾きに対するアプローチになっていない可能性、もしくは骨盤の傾きに合わせたアプローチができていない可能性があります。
思い当たる方は、ぜひ一度ご自身の骨盤の傾きを確認してみてください。
最後に
今回は骨盤の歪み脚が太くなってしまうということについて、運動学的に解説していきました。
骨盤が傾くことで、場合によって脚が太くなる要因にはなります。
しかし骨盤の歪みという表現では、どういった理由で脚が太くなるか分かりません。
そのためアプローチの方法が異なるので、安易な骨盤矯正では結果が出にくいのだと思います。
色々なアプローチを試す前に、まずは自分の骨盤の傾きを確認してみるのはいかがでしょうか。
自分の身体のことを知ることで、あなたの脚がより綺麗になりますよ!