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「創価学会はカルトか?」 過去と現在から考える

はじめに

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
創価4世として生まれ、2021年に脱会して、現在大学院生のキネシンです。

今年のお正月は神社へ初詣に行きました。カバー画像はその時撮った鳥居の写真です⛩️

今回の記事では、「創価学会はカルトなのか?」 という問題を取り上げたいと思います。これは脱会者の間でも意見が分かれるテーマです。この記事では、創価学会の歴史を振り返りながら、私自身の経験やカルト研究の視点を交えて考察していきます。


1. 「カルト」とは何か

まず、「カルト」という言葉をどのように捉えるかを確認しましょう。たとえば、日本脱カルト協会が編纂した『カルトからの脱会と回復のための手引き』では、カルトを以下のように説明しています。

「現在マスメディアをはじめ、一般社会が用いるカルトという言葉は、社会問題の所在を示す言葉です。
宗教団体と社会との葛藤的側面があまりに長い間続き、その特徴がほとんど変わらないような団体にあえてカルトという標識を付けて、その社会問題性を際立たせているのです。」

『カルトからの脱会と回復のための手引き』p28

「では、現代社会において何が問題になるのでしょうか。
人権侵害と公共的秩序の破壊です。簡単に言えば、人を傷つけること、人のものを奪うことですし、私たちの社会を構成している文化や秩序に不必要な混乱を生じさせることでしょう。」

『カルトからの脱会と回復のための手引き』p29

つまり、カルトを判断する際には、その団体が社会や個人にどのような影響を与えているかが重要な指標になります。「社会的な摩擦」「反社会的行動」「人権侵害」などの要素が見られるかどうかが焦点となるわけです。


2. 1979年以前の創価学会―カルト的性質が顕著だった時代

創価学会を語る上で、1960~70年代の過激な活動は外せません。特に当時は、攻撃的な折伏(しゃくぶく) や言論出版妨害など、カルト的行動と批判される要素がいくつも見られました。
• 折伏の過激化
1960~70年代、創価学会は他宗教や批判者を執拗に改宗へ誘導する方針をとり、家庭内や地域社会で摩擦を引き起こしました。これは“宗教戦争”と呼ばれたほどで、人々の自由や権利を無視する形にもなりがちでした。
• 言論出版妨害事件
学会に批判的な書籍やメディアに対し、訴訟や圧力を加えたこの事件は、創価学会の「反社会的」とされるイメージを決定づけた象徴的出来事です。外部批判を抑圧する姿勢が顕在化したことで、社会からの非難が高まりました。
• 政教分離問題
創価学会と公明党の深い結びつきが、政治と宗教の境界を曖昧にし、政教分離の原則を侵していると批判されました。これも学会の「カルト性」を指摘する声の一因でした。


3. 日蓮正宗からの破門と信者の分断

さらに、1990年代の日蓮正宗との対立 により、創価学会は破門されるという大きな変動を迎えます。これに伴い、信者たちに「日蓮正宗に残るのか、創価学会に残るのか」という二者択一を迫られる事態が起こり、家庭や友人関係での分断を生みました。
こうした内紛や対立が信者の生活に大きなストレスを与え、宗教が本来持つはずの安定感や救いとは程遠い状態に至ったケースも報告されています。


4. 現在も残るカルト的特徴

過去の過激な行動は大幅にトーンダウンしたように見えますが、それでも以下のような点で「カルト的性質」が現在も残っていると指摘されます。
1. 脱会への脅し
「創価学会をやめると地獄に落ちる」「不幸になる」といった文脈が、いまだ信者を引き留めるための心理的圧力として存在するという報告があります。
2. 過去の歴史の隠蔽と美化
言論出版妨害事件や日蓮正宗との対立など、組織に不都合な過去が公式には十分に検証・説明されていないとの批判があります。この不透明さが、信者や脱会者の不信感を増幅させます。
3. 選挙活動の負担
公明党への支持活動が一部の信者にとって過剰な負担となり、ノルマ的な働きかけを受ける事例もあるとされます。こうした行動が信者個人の自由や民主主義の原則にそぐわないと感じる人も少なくありません。
4. 内部対立の余波
日蓮正宗からの破門や、公明党の政策との齟齬に伴う内部対立が、一部の信者や家庭に深刻な分断やプレッシャーを引き起こすこともあります。組織内の争いが個人の生活にまで影響する点も、カルト性の一側面として無視できません。


5. 二世信者が抱える困難

また、二世信者(親が信者である家庭に生まれた子ども)は、幼少期から宗教活動や思想に縛られ、自分で選択したわけではない環境に置かれるケースが多いです。
脱会を決意してから実際に離れるまで数年から十数年かかる人もおり、その間、アイデンティティの喪失や家族との摩擦に苦しむことも少なくありません。これは創価学会に限らず、カルト的団体における二世共通の問題でもあります。


6. 総合評価:創価学会はカルトなのか?

これらの事実を踏まえて、創価学会が「カルト」かどうかを断定するのは簡単ではありません。しかし、
• 過去の折伏や言論妨害に代表される反社会的な行動
• 現在もなお続く脱会者や批判への心理的圧力
• 信者を巻き込みやすい内紛や政策上の矛盾

といった現象を踏まえると、創価学会には「カルト的な要素がいまだに残存している」と言わざるを得ない面があります。

一方で、同じ創価学会を精神的な支えにし、穏やかに信仰生活を送っている人も多数存在するのもまた事実です。現代の創価学会が、かつてのような過激な行動を続けているわけではないのも確かでしょう。「完全にカルト」と一括りに決めてしまうのも実態からは少し離れているかもしれません。

おわりに:集団健康度を測ってみませんか?
ここまで、創価学会の過去と現在、そしてカルト的要素について見てきました。組織や集団の評価は「社会的摩擦」「内部批判の扱い」「脱会への態度」など多面的な視点が必要です。

日本脱カルト協会(JSCPR) が作成した「集団健康度の指標」では、どのような団体がどれほど健全かを客観的にチェックできる項目がまとめられています。もし、読者のみなさんが「自分や家族が関わっている団体はどうなのだろう?」と思われたら、ぜひ下記のリンクを参照してみてください。

JSCPR集団健康度測定目録 心の相談室りんどう

JSCPR集団健康度測定目録

www.soudanrindou.com

創価学会に限らず、あらゆる組織に応用できる目安として有用だと思います。


まとめとして

• 創価学会の過去には、折伏や言論出版妨害といったカルト的要素が顕著だった時期がある
• 現在は過激性が薄まっているものの、脱会者や内部批判への態度、選挙活動や歴史の不透明さといった面ではなお問題視される部分がある
• 組織をどう評価するかは最終的には個人の判断だが、情報収集と客観的視点が大切

この記事が、創価学会やカルト問題について考えるヒントになれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


参考文献

・ 浅山太一(2017) 「内側から見る創価学会と公明党」ディスカヴァー携書
• 日本脱カルト協会(JSCPR)編 (2014) 『カルトからの脱会と回復のための手引き』 遠見書房

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