
髪結いの亭主(1991)
フランスの名匠パトリス・ルコント監督の名を一躍世に知らしめたラブストーリー。少年時代に女性理髪師に憧れを抱いて以来、理髪師との結婚を夢見てきたアントワーヌ。やがて中年を迎えた彼は、美しい理髪師マチルドに出会い、彼女を射止めることに成功する。それから10年間、マチルドとの愛に溢れた平穏な日々が過ぎていくが……。日本初公開は1991年で、2011年には高画質&高音質でよみがえらせたデジタルリマスター版もリバイバル公開された。
とても好きな映画、何度観ても美しい。
そして切ない。
ふんわりとした色調の中で、甘い記憶が巡ります。
マチルドの眼差し、重たい髪、ワンピース、フラットシューズ、コロンの瓶、雨の匂い…。
アントワーヌのアラビアンな踊りとカセットテープも欠かせない。
二人の世界は小さい床屋。
そこがすべて。
大きな喧嘩もなく、ただただ幸せな日々なのにマチルドの不安を何となく感じてしまう人は、ラストにも納得がいくんだと思います。
私は、詩を読んでもらう辺りからマチルドの不安を何となく感じるような気がしました。アントワーヌはマチルドが思うような不安はきっと感じていなかっただろうし、いつまでも変わらないままだと思っていたんだろうと思います。
凄く愛し合っていても、それだけでは掛け違っていく感情もあるんだと思います。
今の幸せがいつか終わってしまうかもしれない。。。
その不安が幸せより大きくなってしまうと、その不安に耐えられなくなってしまう。
そうゆうのは自分自身でコントロールしていくしかないけど、そんな不安を打ち明けたり、理解しようとしたりするコミュニケーションも必要だと思う。
年々観る度に印象が変わるような気もしますが、それでも美しい映画ですし、好きな映画です。