モルドバの人々に、発達障害を問いかけ続けて。
久しぶりにnoteを更新しようと思ったのは、2週間後に控えた韓国旅行がきっかけ。
その前に、前回のモルドバ・ウクライナ旅であったこともまとめておきたかったからです。
発達障害をカミングアウトしてから、初めてのヨーロッパひとり旅でした。
「発達障害をカミングアウトして旅を続けること」を、自問自答しながらの旅でした。
同時に、出会った人たちに「発達障害」について問いかけ続けました。
そこで分かったのは、モルドバでは日本のように、発達障害者が生きづらさを感じていないということ。当事者に出会うこともなければ、どういう障害なのかよく分かってない人が多かった。
理由のひとつは、日本よりも認知や啓発がすすんでないということ。
啓発や認知がすすんでないのではなくて、すすめなくてもいい。つまり、発達障害者が生きづらさを感じるような環境がないことが、大きいかなと。
20世紀末に国として独立し、2016年にはEU加盟・数十年ぶりの大統領選挙を経験したモルドバ。
ずっと支配下にあったロシアをはじめ、ヨーロッパの先進国に追いつけ追い越せと、発展途上にある国です。経済的には、アフリカやアジアの発展途上国と同じくらい。
モルドバの人々は、自分たちの歴史を自分たちで築くために、前を向いて歩んでいます。決して裕福でない生活でも、自分たちで作る未来のために、明るく暮らしている印象を受けました。
そんな状況にある国では、仮に発達障害を持って生まれていても、それが表面化しないんじゃないだろうか。つまり、私たち当事者が日本で直面している「困った」「生きづらい」が起きにくいってことじゃないだろうか。
発達障害者の生きづらさが表面化するのは、ある程度経済的に豊かな国だと感じています。技術的にも大躍進を遂げた結果「当たり前のことが当たり前にできないヤツ」が表面化しやすくなるのも、ひとつの理由かもしれない、と。
そうなった国の大半では、すでに何かしらの対策や支援が整っています。
日本では表面化して久しいのに、まだ整っていないうえ、発達障害者に対する差別や偏見もまかり通っているのです。
だから「生きづらさ」を感じてしまうのです。
モルドバは、現在は発達障害が表面化しにくい環境の国だと思います。
日本のように、発達障害者が肩身の狭い思いをしてしまうような環境はない。
首都のキシナウのような都会の会社で働いていても、日本社会のようなシステムの中に組み込まれることもなければ、「生きづらい」環境を選ぶこともないんだろうな~と。
だって、自分の幸せに、素直な人が多かったから。
経済的な豊かさよりも、重視したい「幸せ」を持っている人が多いような。日本みたいに、生きづらさが当たり前の環境では、ない。
モルドバは、発展途上にある今も、工業ではなく農業が主体の国です。
首都キシナウを離れれば、一般道を馬車が走り、あちこちで放牧がおこなわれています。
大規模なワイナリーが点在し、一般家庭で自家製のワインを造ることも珍しくないくらい、ぶどうが育てやすくてワイン文化が定着しています。
無料Wi-Fiスポットなんて、首都キシナウ以外で見かけません。農業に従事している人も多い。
というか、本業と並行して、自給自足の生活をしている人が多いですね。モルドバで生活するためには、経済的な豊かさは必須条件ではないのが大きいかな、と。
今後、モルドバという国がぐっと経済的に豊かになれば、発達障害ゆえの「生きづらさ」が表面化するかもしれません。もうロシアの影響を感じないくらいに、発展すれば。
仮にそうなっても、発達障害者が「生きづらさ」を感じないように、対応していける国だと信じています。
テクノロジーが発達した今も、人との直接的なつながりを大切にしている人達だから。
大切な人が「困った」や「生きづらさ」を抱えていても、気のせいや甘えで済ませることは絶対にしない。
彼らが、発達障害が原因の「生きづらさ」をそのままにしておくとは思えないのです。かといって、とりたてて攻撃したり、排除したりすることもないだろうなと。
今まで自分たちの文化や言葉を封じられていた歴史、新たな未来へと向かう力強さ。めまぐるしく変わる情勢のなかで、自分たちの力で生きぬいてきたこと。
挙げたらキリないですが、日本人にはないバックグラウンドがあるからこそ、きっといい方向に進むことができるんじゃないだろうか。
モルドバでは、たくさんの人に助けてもらって、たくさんの人と話して。「ヨーロッパ最貧国」というレッテルから想像していたものとは、ぜんぜん違う世界が広がっていました。モルドバの人々は、はかり知れない底力を持っています。
今後、彼らが望む国になることを、心から願って。
さて。
次回は、そんなモルドバで出会った旅人と話したこと。仲良くなった旅人は、実は○○でした。また、近日中に更新しますので、お楽しみに。
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