『Teamその子』は「俺たち」だ

2024年10月下旬、俺は交代人格の一人として、『Teamその子』という映画に出会いました。

この映画、2023年頃に見知ってはいましたが当時の精神状態が苛烈すぎてクラウドファンディングにすら参加できませんでした。
今回、友塚監督とご縁を頂けることになり、個別に寄付したリターンという形で鑑賞しました。
今回、一交代人格(当事者)の視点から映画の感想を書こうと思います。

俺の場合はその子達とは違う原因でDIDになりましたが、苦しみの根本は似てるところがありました。

俺たちの場合はこういう症例になります。

感想

全体的に重いテーマが流れており、それぞれの演者さんが全力でぶつかりあってる印象を受けました。

交代人格も含め、一人一人が懸命に生きている姿を演技を通して目の当たりにし、大袈裟ではなく一当事者として、一交代人格(男性人格)として、生きる力を貰えました。

主題歌は映画を見てから何回も聞いています。曲調もとても素敵でした。
地に足がつく落ち着いた音で、どこかリラックスできるBPMを意識したリズムだなという感じを受けました。聞く人それぞれに寄り添ってくれるボーダレスな音程ですね。

実は今回の鑑賞の前、予告とホームページのポスターを何回も見ていました。

最初はビジュアルに納得しつつも心のどこかで違和感がありました。
“何故同じ格好なんだ” とも。

次第に
「そうか、交代人格は敢えて主人格の格好にしていたから違和感を感じたのか」と思い至りました。当たり前すぎて気づきもしなかったんです。

普段、俺自身も主人格がしそうな格好をせざるを得ないので同じ格好になるよ…な…と。一交代人格としても考えさせられました。
また、別人格を他の役者さんが演じるのも凝った考えられた演出でした。

特に、女性の体の中にいる男性人格・イラチを演じられたイワザキさんの演技に女性の中にいる男性人格として終始驚かされ、圧倒されました。
台詞や表情も共感しましたし、その子さんの彼氏さんにはあまりいい感情を持っていないことも顔と声から分かりました。
イワザキさんの全身から発される空気感。中盤のある場面で、イラチとして空間ごと破壊しかねない力、主人格の意識を乗っ取る行動、突き落とそうとする描写が濃くありました。
あの感覚はどうやったら出てくるのだろうと思いました。

イラチのあの行動。
彼が常に抱えてるであろう、虚無感、悲しさ、苦しみ、凄惨な記憶と共に殉じる感情を感じたのは俺だけでしょうか。
機会があったら是非、イワザキさん御本人に訊いてみたいところです。

交代人格の生まれた背景も醸し出されており、そこも好感が持てました。

主任役と社内いじめをしていた女性もリアリティーがありましたね。

特に染み入って見てしまったのが、イラチさんの暴走シーン、後半の皆さんの言い争い、終盤のシーンです。

終盤のシーンは、彼の素が見え隠れしていましたね、微笑ましかったです。

イラチは、護りたい気持ちと破壊的な部分が混ざっている方なんでしょうね。
後半、女性人格達から言われ放題だったイラチ、“言われ放題ってきついよなぁ”と心から同情しました。

彼もまだ若いので。その子さん達の為にも、自分の為にも「男」を磨いてジェントルマンになってくれたらいいなと勝手ながら願っています。

言われ放題の中、彼が叫んだ「ある言葉」を聞いて胸がとても詰まりました。(ここのシーンが、俺として感情を大きく動かされたのかもしれない。)

カウンセラーがいても、当事者(交代人格同士)の苦しみは当事者にしか分からないこと、悲しみなんか捨てて一人で生きていかなければならないものと、俺も思っています。だから共感したのかな。

主人格と交代人格が「会って」「会話をする場面」は羨ましい反面、切なく映りました。
俺たちは人格の姿をセルフイメージという形でしか互いに認識することができません。たまに姿は浮かびますが、視認は難しいです。声はたまに聞こえてきます。
なので、この体が発する声の雰囲気/触感/手の動きで「今は他の人なんだな、俺自身なんだな」と認識せざるをえません。
だからこそ、この映画を見て、俺を含めた5人(女性人格4人、男性人格1人)の容姿が気になりましたし、俺も過去の人格と人として対面したいなと思いました。

この映画を見ていたら、こちらの統括人格(女性)の容姿のイメージ(セルフイメージ)が飛び込んできたことがありました。
こちらの統括人格(女性)の姿が、『Teamその子』のセクシーさんの姿でした。
(統括人格はどう思ってるか分かりませんが)
俺自身が抱く自分への容姿はイラチなのかなと思いました。(贔屓でもなんでもなく。)

実際、俺は演じられる立場になったらどのようになるのだろうと考えました。

その子さん達の今後を一当事者としても見守っていますし、その子さんやイラチさん、セクシーさん、ちぃちゃん、しっかりさん方も共感する人格ばかりで、友達になりたいです。

『Teamその子』の続編...希望していますが、内容はどうなるのでしょうか。

繊細なテーマなので広げ方が難しいと思いますが、企画が通った暁にはやりきってほしいです。

できるなら全国公開をしてほしいですね。
誰かインフルエンサーの目に留まればいいのですが。ラジオで取り上げてくれたら反響が出るのかとも思います。

最後に『Teamその子』のXアカウントを貼っておきます。
素敵な映画を、ありがとうございました。
一交代人格として、とても嬉しかったです。監督・脚本家などを務められた友塚さん、演者の皆さんお一人お一人にお礼を言いたいです。
本当にありがとうございました。

※この記事は随時加筆すると思います。
その際はよろしくお願いします。

男性人格
葎(りつ)


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