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「川崎病ってどんな病気?」
皆様こんにちは。今回のすくナビの担当は、小児循環器専門医の今岡のりです。
今回は“教えて!近大先生〜循環器編”です。小児科の外来でよくいただくご質問にお答えするシリーズです。
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今回のご質問です。
「1歳の娘の高熱が続き、近くの小児科を受診したら川崎病の可能性があるので入院が必要と言われました。川崎病ってどんな病気ですか?」
最初に結論を述べます。
「川崎病はいまだ原因が特定されていない病気です。診断確定のための特定の検査はなく、主に症状で診断を行います。心臓に合併症が起こることがあり、退院後もしばらく通院が必要になります。」
ここからは以下の3つに分けてお話しします。
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1. 症状について
2. 合併症と治療について
3. 退院後について
1.どんな症状が出るの?
川崎病には主な症状というものが6つあります。
1. 発熱
2. 両方の目の充血(目ヤニを伴わない)
3. 唇の紅潮、イチゴのような舌、喉の粘膜の発赤
4. 発疹(小さい子供はBCG接種跡の発赤も含まれる)
5. 急性期には手足のむくみや紅斑、
慢性期には膜様落屑(指先から皮がめくれてくること)
6.首のリンパ節腫脹(膿を伴わないもの)
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このうち5つ以上を満たせば川崎病と診断され、4つしかなくてもそのほかの病気ではないことがはっきりしていて、なおかつ心臓のエコーで所見(後ほどご説明いたします)がある場合も川崎病と診断されます。もし3つ以下もしくは4つで心臓のエコー所見がない場合であっても、ほかの病気が否定されて川崎病がもっとも考えられるときは「不全型」川崎病と診断されます。
川崎病は自然に治る病気と言われていて、放置していてもいつかは熱が下がってそのほかの症状も消失していきます。ただ、適切な治療をせずにいると心臓に合併症を起こすことがあります。
熱が続くので感染症ではないか、他の子どもにうつるのではないかとご心配かと思いますが、川崎病は細菌やウイルスの感染症と特定されておらず、通常は他の子どもさんにうつることもありません。一方で、感染などに対して身体が特異な反応をする体質が関係しているという説もあり、川崎病に2回以上かかるお子さんや、同じ体質を持っていると思われる兄弟姉妹がかかる例はあります。
2.どんな合併症があるの? 治療はどんなことをするの?
心臓には心臓の筋肉に血液を届けている冠動脈という血管があります。心筋梗塞とか狭心症という病気を聞いたことがある方も多いと思いますが、これらは冠動脈が詰まったり、狭くなったりして起こる病気です。
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川崎病では、この冠動脈に合併症が起こって、冠動脈が太く拡大したり、コブのように膨れたり(冠動脈瘤といいます)することがあります。多くの方は冠動脈の合併症を起さずに治りますが、合併症がおこってしまった場合には薬をずっと飲まないといけない、場合によってはカテーテル検査を受けないといけないこともあります。万が一、巨大な冠動脈瘤ができてしまった場合は、瘤の中で血の塊ができないように飲み薬と慎重な観察が必要となります。もし、瘤の中で血の塊が詰まってしまったら、心筋梗塞が起こってしまい、心臓が大きなダメージを受けるからです。
冠動脈の合併症は、川崎病の症状が出てすぐに起こるものではなく、大体10日前後に起こるといわれています。炎症を早く抑えて冠動脈の合併症を起さないようにするために治療を行います。
不全型川崎病でもこの合併症のリスクは典型例と同等といわれていて、同様に治療が必要です。
治療はアスピリンという飲み薬と、点滴で免疫グロブリンの大量投与を行うことが標準的な治療です。もしこれらの治療が効かなかった場合には追加で治療を行い、早く炎症が落ち着くようにします。
合併症が起きていないかどうかをチェックするために、定期的に心臓のエコーをみて冠動脈の径を確認します。
3.退院後はどれくらい受診が必要?予防接種で気を付けることはある?
退院後も定期的に外来通院と、心電図や心エコー検査が必要となります。
合併症が起こらなかった方は、5年間の通院で終了となります。
万が一、合併症を残してしまった場合は、状態によって検査や継続治療が異なりますので、主治医の先生とよく相談してください。
予防接種には注意が必要なものがあります。はしか・風疹混合、みずぼうそう、おたふくかぜのなどの生ワクチンは、免疫グロブリン治療を受けてから半年後以降に受けてください。免疫グロブリン製剤にはたくさんの抗体が入っているので、せっかく予防接種を受けても免疫がつかない可能性があるからです。
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かかりつけのクリニックで川崎病を疑われた、あるいは診断された場合は、当院へご相談ください。近畿大学病院小児科では、多くの川崎病の子供たちを治療しています。近くの病院から治療が効かなかった方や、合併症を起してしまった方の追加の治療や、精密検査のご紹介もいただいています。小児循環器を専門にしている医師が定期的に心臓エコーを行い、状態をチェックし、外来で経過観察しています。
また、受診の希望はないけど、ご質問やご意見などがあれば、このブログにコメントをいただければ「すくナビ」を続けていく上でとても参考になるので、どうぞよろしくお願いします。
近畿大学病院小児科では「健康について知ってもらうことで、こどもたちの幸せと明るい未来を守れる社会を目指して」をコンセプトに、こどもの健康に関する情報を発信しています。これからもよろしくお願いします。
今岡 のり