庭で花火だ。わーい。
みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡
僕の勘違いなのか、それとも単に勇み足なのかは分からないけれども、朝と晩が気持ち涼しくなった気がします。また、夏至を過ぎてからおよそ6週間が経過。確実に日も短くなっているのですネ。
ってな訳で、僕は夏を感じながらも徐々に夏が遠くなっていく前に、先ほどコンビニエンスストアである物を購入しました。
時刻は20時。今日も晩酌を済ませた僕は庭に出ました。温い夜風が全身にまとわりついてきます。が、涼しくなったのは間違いありません。
まずは天に挨拶をします。
「天よ…TAKAYUKIは今宵も美味しい酒を飲みました。とても満足しています。明日からも天命に従い、残りの人生を全うする覚悟です。どうかお導き下さいませ。万歳、万歳、万々歳🙌」
今宵は一段と星たちが輝いています。見過ぎると目が回り、今以上に酔ってしまうので、僕は視線を戻しました。
「ニャッハ」
足元に野良猫たちが集まってきました。
「こらコラ。先ほどツナとささみのハーモニーを食べたばかりじゃないか。それより僕は今から花火を行うから、危ないよ。少し離れた所で見ているといい」
僕は野良猫をモフろうと右手を伸ばすも、残念ながら右手は空を切りました。
宵闇の中、絶望します。
何とか気を取り直した僕は、コンビニエンスストアの袋から、花火のパッケージを取り出し、Open。
まずはカラフルな紙に包まれた手持ち花火を右手に持つと、震える左手でチャッカマンを持ちました。明日から酒量を減らそうと、この時思いました。
まずはすすき花火からです。
「カチッ………しゅゆゆゆゆゆゆ」
花火の先からとてもきれいな青色の光が発動。暗かった庭が瞬時に明るくなりました。
「わあ。とてもきれいだ。久しぶりの花火。わーい。わーい」
一人テンションの上がる中年メタボ男性。Tシャツとハーフパンツにサンダルのスタイルです。
次いでピンク、エメラルドグリーンも楽しみました。
「いかんイカン。火事になってしまっては、えらいこっちゃッ」
僕は大急ぎで水道に移動し、バケツに水道水を入れて元の位置に戻りました。見事に散った花火の残骸をバケツに投入。「ジュッ」と短い音を立てた残骸に対し、僕は頭を垂れました。
次いで僕はねずみ花火を手に取り着火。手前に投げました。すると激しく回転するねずみ花火。野良猫たちがビビりまくっています。
「わあ。これは楽しいゾ」
今度は2個同時に着火し、手前に投げました。
「しゅるるるるるるる………パン。パン」
野良猫がジャンプして逃げて行きました。
「ごめんごめん。もうちょっと逃げてて」
この予想だにしない動きをするのが、ねずみ花火の面白さですよネ。
この勢いのままさらにねずみ花火を着火すると、僕は手裏剣のようにして投げてみたり、サイドスローで投げたりしました。
これは面白い。ひっひっひっ。
どんどん行きます。
今度は銀色の花火を手に取り着火。スパーク花火です。
「バチバチバチバチバチ」
いきなり激しくスパークしています。
「君はもしかして、よく誕生日ケーキに刺さって弾けている、あれの大きいバージョンなのかな。きっとそうだね」
このあと、僕は手筒花火を両手に持って行進したり、変色花火を見ながら野良猫を探したり、香り付き花火の匂いを吸いまくったりしました。
「それではラストでございます。最後は勿論この方、線香花火さんでございます」
僕はしゃがむと、線香花火を着火しました。
勢いよく燃える線香花火。
「嗚呼…懐かしい。そしてどこか落ち着くネ」
徐々に勢いが衰え、火の玉になった線香花火。数秒後、地面に落下しました。
僕は2本目の線香花火を着火。線香花火をガン見します。
線香花火は起承転結になっているとか、人の一生を表しているとか諸説あるけど、こうして線香花火を間近に見てみると、どちらも正解だと感じました。
最後に火の玉になったあと、「ジュッ」と音を立てて落下する瞬間が、まるで人生の終焉を迎えたかのようでとても切ない、センチメンタルな気分になってしまいました。
気づけば僕の真横に、野良猫たちが集まっていました。
「君たちもよく見てごらん。この線香花火はネ、僕たちの一生が凝縮されているんだョ。見ててごらん」
僕は最後の線香花火を着火。
線香花火が勢いよく燃え出すと、野良猫たちはビクッとしたけど、何とか踏み止まりました。
そのまま勢いを失っていく線香花火。
「諦めるな。まだまだこれからじゃないか。頑張れッ!」
「ニャッハ」
僕と野良猫たちは線香花火に声をかけます。まだ終わらないでくれ。もっとその輝きを見せてくれ………。
僕らの願いも虚しく、線香花火は火の玉になってしまいました。
「ありがとう線香花火。また来年会おう」
火の玉は地面に落下。周囲はいつもの庭に戻りました。
僕は立ち上がると天を見ました。すると先ほどよりもっと、星たちが輝いていました。
「僕はもう寝ます。おやすみ野菜」
【了】
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