自分で選んでよかったこと
みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡
30代前半、僕は人生を賭してある勝負に打って出た。そう、物書きになる為、新卒で入社し12年間勤務した会社を退職した。退職理由は様々あるけど、今言ったところで詮無きこと。強いて上げるとすれば、『3.11』の体験が大きかったのは事実だ。
貯金800万円。3年勝負と決めた。
まずは引っ越しをして環境を新たにした。
日に10時間以上原稿を書き、日に5時間以上は読書に耽った。そして数多の文学新人賞に応募し続けた。
生活費は貯金を切り崩し、一応ウォーキングもしていたけど着替える時間が勿体ないということで、部屋にルームランナーを設置。
一階の居住者の方に、「す、すみません。日に30分異音がしますが、どうかご容赦願いたい」と申し出ると、笑顔で甘受してくれたのを今でも思い出します。
1年後、どの文学新人賞にも落選。
身体中から沸き起こる嗚咽を制し、僕は環境を変えてさらに自分を追い込む為、軽井沢へと引っ越たのである。無職なのによく引っ越せたなと、今思い出しても背中に悪寒が走るくらい無謀な行動だった。
なぜ軽井沢に越したのか言うと、文豪たちがこぞって軽井沢を利用していたので、物書きになるには縁のある土地だと判断したからだ。
それともうひとつ、無職の兄を心配した妹が家族旅行に誘ってくれた。草津温泉で一泊、旧軽井沢で一泊。この旧軽井沢で投宿した旅館が、それこそ文豪たちが利用していた旅館だったのである。川端ちゃん、芥川ちゃん、谷崎ちゃんたちの写真が、旅館の通路に飾ってあったのですョ。
テンションあがるぅ。
これは絶対運命だと勝手に勘違いしたのが、軽井沢に越す決め手になったのだろうと思います。
いずれにしろ妹よ、ありがとう。
軽井沢に越してからは原稿を書く時間と読書をする時間をさらに増やした。そしてルームランナーではなく、ウォーキングに変更をした。やはり軽井沢の空気がとても新鮮だったので、これは良いideaが浮かぶのではと思い、日に45分はウォーキングをしておりました。ただ睡眠時間は、3時間程度まで減ってしまいました。
そして軽井沢に越して。1年と6ヶ月が経過した。
結果、全ての新人賞に落選。3000枚以上書いた原稿用紙が紙くず同然となった時、僕の挑戦は終わりを告げました。
6ヶ月後、僕は再びサラリーマンになりました。
時は流れて、僕は40歳になった。
読書も日に30分程度となり、原稿を書く事は一切しなくなっていた。せいぜい手帳に日記を書く程度で、ほぼ小説の書き方も忘れてしまった。だって再びサラリーマンとして生きて行く覚悟を決めたのだから、今更ジタバタしても致し方が無いではないか。
人は時に自分の限界を知り、身の丈に合った人生を送るべきなのだ。
そんなある日、たまたまネットショッピングをしていると、『kindle』という文字が目に飛び込んできた。意味は『奮い立つ』みたいな感じ。
結果、電子書籍であることは判明した。そういえば僕が文学新人賞に応募していた頃、電子書籍の時代がやって来た的なニュースを読んだことがあった。確かその時、電子書籍の普及率はわずか5%だった。紙文化の日本に電子書籍が根付くとは、当時の僕も考えていなかった。
それが今日、調べて見るとなんと電子書籍の普及率が51%になっていたのである。ってことは、まだまだ伸びしろがあるということ。
僕の心の底、腹の底が熱くなった。
この頃は、たまたま仕事でも私生活でも嫌な事が重なり、疲弊していた時期だった。それに来年は本厄を迎える事になる。だったらいっその事、またやろうじゃないか。もう一度、電子書籍でリベンジだ!
阿保の頓馬である僕は、またまた仕事を退職した。
そして今度は電子書籍を出版する為に、また原稿を書く生活を開始。
もうこの先の人生なんかどうでもいい。人生に於いて自分が本当に望んでできる仕事や趣味と出会う確率はごくわずかだ。そのチャンスが今やってきたんだ。このチャンスに飛びつかなければ一生後悔するし、僕はこう見えて東京生まれで江戸っ子気質なのだ。思いたったら即行動する派なのだ。
カップラーメンは2分しか待てないのだ!
またまた貯金を切り崩しながらの生活。何とか同じ轍を踏まないよう用心しながら、また昔書いておいた原稿を引っ張り出し、一から見直していった。
正直、自分でも笑ってしまうくらい、暗くて浅はかな作品を書いていたのだと痛感した。これではどの文学新人賞に応募したとて、瞬時に落選していただろうと得心できた。
2ヶ月後、原稿が完成した。これで僕もようやっと自分の作品を世に出せる。自費出版をする為に100万円を稼がなくても済んだ。僕がかかった費用は表紙代の500円のみ。もしかしたら0円だったかも知れないけど、忘れた。
あとはYouTubeを見ながら、出版作業を行っていった。文明の時代でマジ助かった。
なんなく出版作業を終えることができました。
そしてようやく、ようやくです。出版当日の日を迎えました。前日からSNSでアッピールしていたので準備万端です。
午前10時、Amazonのkindleコーナーに自分の処女作が並びました。
『30歳、五里霧中』
「やったあ。これで僕も作家の仲間入りだ。万歳、万歳、万々歳🙌」
身体中から溢れでるアドレナリンが、確かに生きている実感を与えてくれた。本当に、本当に嬉しい限りです。うれぴー。
その勢いのまま、僕はあと4冊出版し、計5冊のkindle作家となったのであります。
満足した僕は再度、サラリーマンの世界に戻りました。
そして翌年、やはり物書きの血が騒ぐのか、エッセイでも書きたいなと思い、この『note』に出会いました。noteの世界は個性あるクリエイターさんたちが集結していて、もっと早くに参加すれば良かったと、後悔しております。
なんだかんだ書いてきましたが、自分で選んで良かったことは、物書きになろうと決めたことです。右往左往し、紆余曲折しながら暗中模索の中、進んできました。
結果、自分の本を出版でき、今もこうして文章を書き続けていられるのは、やはりあの時、自分で物書きになろうと決断できたからです。
最初と形は違うけど、最終的には何らかの形になるのです。つまり、人生は繋がっているということです。繋がる為には、自分が選択した方を正解にすれば、それで良いのです。
長々とお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。
今後もkindle作家として、活動を続けて参ります。
日々note内をうろついておりますので、ご縁があればお会いしましょう☆彡
【了】
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