同級生と再会
みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡
過日。
買い物の帰りに本屋さんへ行った。
エロ本コーナーを通過し、文庫本コーナーへ移動した時だった。
「た、TAKAYUKI君じゃない?」
横を見ると中年男性が立っていた。
僕は瞬時に理解した。彼が中学校時代のクラスメイトだったことを。
「嗚呼…よく分かったな」
「分かるョ。僕のことは覚えている?」
食い気味で聞いてくる彼。名前は確か、『新井』だったはず。新井は角刈りでメガネをかけていて細い。ガリガリだ。
「うん………」
僕はそう言うと、文庫本を手に取った。そしてページをめくり始めた。
新井は僕の横に立って、ずっと僕をガン見している。
僕は心の中で思う。
「ってかさあ~君とは確かにクラスメイトだったけど、全く話してなかったじゃん。まあ1学期だけ僕は学級委員長だったから、全校集会や学年だけの集まりの際、君は一番身長が低かったから、ずっと僕の後ろにいたのは覚えているけどサ。まさか25年以上の時を経て、しかも本屋で再会して話しかけるかね? 暇なの?」
僕は文庫本を本棚に戻した。
「何か用でもあるのか?」
僕の問いに新井がニヤけた。
「ご飯でも食べに行かない?」
「悪い。さっき食べたばかりだから」
僕は嘘をついた。実は朝から何も食べていない。このあと、僕は大好きなラーメンを食べに行くのだ。だれが新井なんかと飯を食べるんだ。蛸。
「こ、珈琲飲む? 奢るョ」
食い下がる新井。
「このあと約束があるから無理だワ」
ようやく新井の視線が足元に落ちた。
やったね。うれぴー。
それでも尚、僕の横から移動しない新井。
ってか、ちょーキモいんですけど!!!
悪いけど、君と遊んだ記憶は一切ない。休み時間も昼休みも。部活動も別だった。確か君は読書部だったはず。色白で背の低いハムスターみたいな印象しか僕には残っていないのだ。
それ以外、僕は君のことを何も覚えていないゾ。
新井ョ。今すぐ立ち去れ。バシルーラ!
残念ながら僕の念とバシルーラは通じなかった。
そして再び、新井が僕をガン見しはじめた。
「悪いけど行くわ。またな」
僕は文庫本コーナーから移動した。
後ろを振り返ると、案の定、新井が無言でついてくる………。
本屋さんを出ても、まだついて来る新井。
「ついて来るな!」
新井がビクッとなった。新井は黙ったままこちらをガン見して動かない。
こんな40代の中年男性、マジでガチで怖くない?
「分かったョ。ホットコーヒーを買って来てくれ。ここで待ってるから」
「ぶ、ブラックでいいのぅ?」
急にテンションが上がる新井。ニヤけた顔が腹立つ。
「ブラックでいい」
すると新井がダッシュで珈琲店に入って行った。
そして僕もダッシュで愛車に向かった。
ここの本屋さんはいつも利用している本屋ではない。本当にたまたま立ち寄っただけ。だからこの先、この本屋に来ることはないだろう。
僕は愛車に乗った。エンジンをかけると、そのまま発信した。
僕が珈琲店の前を徐行しながら通過すると、珈琲店のドアが開いた。
バックミラーで確認すると、新井が珈琲を2つ持ってキョロキョロしている。
「悪いな新井。もう俺の前に現れるなョ」
このあと、僕は神社に寄って『新井除け』を行った。
そのあと、スーパーマーケットに寄って粗塩を購入。
浴槽にお湯を張ると、粗塩一袋を投入。
粗塩風呂に浸かり、『新井の怨念』を洗い流した。
「これで万事大丈夫だろう。さてルービーでも飲みますか」
お風呂から上がると、僕はルービーを飲んだ。
「新井。邪魔だ。出てくるな。蛸!」
僕は新井のことが脳裏に浮かんでは、罵詈雑言を浴びせて打ち消した。
みなさんも、同級生と再会した際は色々な意味でご用心くださいませ!
【了】
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