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算数障害の歴史と概念の変遷

算数障害(発達性計算障害)は、歴史的に異なる呼び方や概念で捉えられてきました。特に、ヨーロッパ圏(英国など)と米国では用語の違いが見られるため、それぞれの定義や背景を理解することが重要です。


📖 1. 算数障害の歴史的背景

① ヨーロッパ圏における発達性計算障害(Developmental Dyscalculia)

成人の脳血管障害による「失算(Acalculia)」や「計算障害(Dyscalculia)」から派生
「計算」「数学的推論」の困難に着目
子どもの算数障害の概念が成人の計算障害の研究から影響を受けている

💡 「dys-」は「不全」や「機能の低下」を意味する接頭辞
➡ そのため、「Dyscalculia」は「計算の発達が不完全な状態」と捉えられる


② 米国における算数障害の概念

「dyscalculia」という言葉を使わず、代わりに以下の用語を使用
Mathematical disabilities(数学障害)
Learning disability with mathematical problem(数学の問題を伴う学習障害)

💡 「学習障害の一部としての算数障害」に焦点を当てる
➡ 「計算」だけでなく、「数学的推論の困難さ」も含めて考える


📌 2. DSM-5における算数障害の定義(2013年改訂)

2013年に出版されたDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)では、
それまで「算数障害」とされていたものが「限局性学習症(SLD: Specific Learning Disorder)」に統一
されました。

算数障害に該当する特徴(DSM-5)

① 数字の概念、数値、計算の習得が困難
➡ 数字の大小や関係の理解が乏しい
➡ 指を折って数えることが多く、数字の事実を思い浮かべられない
➡ 計算の途中で迷ってしまい、方法を変更してしまう

② 数学的推論の困難
➡ 数学的概念、数学的事実、数学的方法の適用が難しい
➡ 定量的な問題(文章題など)を解くのが困難

💡 算数障害は「単なる計算ミス」ではなく、「数字の概念や数学的推論の理解が根本的に困難」であることが特徴!

📢 まとめ

📖 算数障害(発達性計算障害)は、成人の「計算障害(Dyscalculia)」から派生した概念!

📖 2013年のDSM-5では、「限局性学習症(SLD)」として統一され、「計算」だけでなく「数学的推論の困難」も含まれるようになった!

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