一時一事の原則 心編
国民教育の父と言われる森信三先生の「修身教授録」の中で「一時一事」という内容(講義)があります。
森先生の説明を簡単に要約すると次のようになります。
・ある一時期には、その時どうしてもなさなければならぬ唯一の事柄に向か
って、全力を集中し、それに没頭するがよいということ。
・自分が現在なさなければならぬと分かった事をするために、それ以外の一
切の事は、一時思い切って振り捨てるということ。
・われわれが真に、自己の充実を覚えるのは、自分の最も得意としている事
柄に対して、全我を没入して三昧の境にある時。
仕事や修養の工夫として、一つのことに集中し、一気呵成に仕上げてから次にいくことを大切にしする教えです。
心の問題への対処でも、「一時一事の原則」は生かせそうです。
ネガティブなこと(不安、心配、怖れ・・・)にとらわれていると、そのことが頭から離れず、常にフォーカスすることになります。頭(心)の中がそれでいっぱいになると他のことを考えられませんし、悲観的な、暗い内容ばかり考えているので、気分も滅入ります。悪くするとうつ病につながってしまいます。
しかし、「一時一事の原則」で考えると、ポジティブなこと、明るい話題に集中していれば、別のことを同時に考える事はできませんので、ネガティブな気分を手放すことにつながります。
ただ、人間は生きていくために危機回避が必要なため、ポジティブなことより、ネガティブなことや暗い話題に意識が集中してしまいやすい性質があります。
じゃあ、どうするか?
そこで「掃除」が登場です。
体を使って、特に何かを磨いていると、頭の中で2つのことは同時に処理できないので、磨いていることに集中します。まず、その時点で,ネガティブなことから解放されていきます。また、だんだんときれいにするというポジティブなことに積極的にかかわれて、気持ちがどんどんと晴れていきます。私の実感として
「心がもやもやしていたけど、すっきりしました」
「あれこれ考えて、頭の中がいっぱいだったけど、なくなった」
などがあり、掃除の功徳の一つだなと思います。
お寺の修行に「掃除」が入っていたり、表情の柔和な和尚さんが多かったりするのも、「一時一事の原則」を生かして、ネガティブな思いを手放しているからかもしれません。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです
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