自治会役員をやってみて
年が明け、そろそろ来年度のことを考え始める時期になった。
私は今年度、地域の自治会の役員を務めており、次年度への引継ぎがいよいよ始まろうとしている。
「来年度役員やる羽目になっちゃったよ…」と途方に暮れている人もいると思うので、役に立つかどうかはわからないが、実際やってみてどうだったかという話をしてみようと思う。
地獄の役職決め
昨年、役員の打診を受けたとき、
「そうかー、私もこういうのをやる歳になったんだなあ」と少し感慨深かった。
ここに引っ越してくる前はずっと賃貸だったので、そういうものとは無縁だった。
夫と私のどちらがやるか話し合い、時間に融通が利く私が引き受けることにした。
初の顔合わせ。
30代半ばの自分はどう見ても最年少だった。
最も歳が近そうな人ですら10歳は上に見える。
高齢世代と現役世代が半々といったところ。
自分が最も若手というシチュエーションは、職場でも長らくなかったので新鮮だった。
各々が順番にやりたい役職を言っていくことになった。
すると、私が希望していた役職がなぜか人気で定員オーバーとなったので、譲歩することにした。
次に、第二希望で考えていた役職に空きがあったので希望したのだが、いろいろこじれてまた譲歩することになり、結局まったく別の役職に就くことになった。
予想通り、会長がなかなか決まらず、会議は4時間近くにも及んだ。
誰もやりたくないのはわかる。わかるけど…
自分はここに住み始めてまだ2年。しかも0歳児(※会議の時点で)を抱えている。
さすがに会長はできない。
会議はかなりひどいものだった。
押しつけ合いの応酬。
大の大人がこんなに大人げないの?とドン引きした。
会社でもこんなひどい会議は経験したことがない…
早く家に帰りたくてたまらなかった。
そんな中、ある人が当初立候補していた役職をやめて会長を引き受けてくださることとなった。
40代半ばくらいの女性で、「かっこいい…!」と拍手した。
揉めてたおっさんら恥ずかしすぎでしょ。
結果、この方が会長で正解だった。
てきぱきと動き、強いリーダーシップを発揮されている。
自分の役職
私自身、当初の希望とは異なる役職に就いたものの、結果的にはこの役職でよかった。
会報や議事録をはじめ、書類全般を作成する書記的な役職なのだが、性に合っていたのと、小さい子どもがいて機動力に欠けるため、在宅でほぼ完結する点がありがたかった。
幸い、同じ役職のもう一人の方が仕事が早く、とてもやりやすかった。
かなり仕事ができる人だと思う。
半分ほどが高齢者であるため、パソコンを使えない方が多く、本来であれば他の役職が作成する書類も一手に引き受けたので、業務は多かった。
定例会
毎月の定例会の日時を決めるのにも一苦労した。
年齢層、職業、家庭の事情がバラバラなので、全員の都合がつく日を設定するのが困難であった。
話し合いの結果、日曜の夜に開催されることとなった。
土日にしてほしいと頼んだのは自分なので、配慮してもらえたのはありがたかったが、夜というのが少々厄介だった。
夕食を済ませ、子どもを風呂に入れ、残りは夫に任せ、バタバタの状態で出かける日々だった。
夜だと、「今夜行かなければ…」と一日中頭にちらつき、支配される。
それでなくても日曜夜って憂鬱なのに。
行ってしまえばなんてことないのだが、行くまでがね。
会議においても困ることがあった。
高齢の方に多いが、マイペースというか、思いついたときに言いたいことを発言されるということがしばしばあった。
それ、今話し合っている議題ではないですよね…
その話はさっき終わったはずなのですが…
議事録を書く立場としては、話があっちこっちに飛ぶので整理が大変だった。
日々の活動
現役世代も多いということで、会合は月1回のみとし、その他の連絡はグループLINEでやりとりすることになった。
それでも、仕事をしながらこなすのはかなりきつかっただろうと思う。
実はこの1年、専業主婦をしている。
子どもの審判の関係で、保育園の4月入園の申込に間に合わなかったという事情もあるが、輪番制のため、役員をやることは覚悟していたので、「復職・家事育児・自治会活動」の三つ巴はさすがに無理と考え、育児休業期間満了で退職した。
ちなみに、体が不自由だとか病気だとか、よほどの事情がない限り、役員は免除されないとのことだった。(厳しい…)
平日昼間に会員から電話がきたり、訪問されることもあったので、外で働いていたら対応が難しかっただろう。
グループLINEも平日であろうが、昼夜問わず動くので気が休まらない。
また、地味に各戸への配布物がしんどかった。
特に夏場、1歳児を抱えながら配るのは過酷だった。
子どもが歩けるようになってからはだいぶ楽になったが。
無償でやるには労力がかかりすぎる。
こりゃ、誰もやりたがらんよ。
せめて、ちょっとでも報酬があればいいのに。
イライラすることもあった。
回覧が返ってこない。
提出物を出してくれない。(リマインドしても出してくれない人がいた。)
会費を集金する際、事前に訪問日時を案内しているにも関わらず、留守。
都合が悪ければ連絡してほしいと書いているのに。
実際、連絡をくれて我が家まで会費を持参してくださったお宅は何軒かあった。
普通そうするやろ。
こっちも暇じゃねえんだぞ!!
よかったこと
今のところ、メリットが一つもないように思われるだろうが、いいこともあった。
①地域に知り合いができた
これは本当によかった。
私たち夫婦はこの地域に何のゆかりもなく、立地・環境がいいというだけで引っ越してきたので、近所に知り合いが一人もいなかった。
自分にはママ友もいないので、役員の皆さんが最も接点のある近所の人たちである。
また、自分の担当ブロックに住んでおられる人とも、集金をきっかけに顔見知りになった。子どものことを気にかけてもらえるようになり、嬉しく思っている。
②仕事をしている感覚を味わえる
通常はデメリットになるだろうが、無職の身には仕事をしている気分を味わえてありがたかった。
もともと自分は専業主婦向きの人間ではないので、家事と育児だけの日々はどうしてもマンネリ化し、なかなかつらい。
(極めようとすればいくらでもやることはあるのでしょうが、私にはできない。)
なので、ときどき仕事のようなことをすると、本来の自分を取り戻したような感覚になり、それなりに達成感も得られた。
基本的に子どもが寝ている間しか作業できないので、期限が迫っているときなどしんどく感じるときもあったが、全体的にはそこまで苦ではなかった。
まとめると、大変なことも多いが、やってみてよかったというのが感想である。
嫌なことばかりではない。
得られることもある。
もちろん、運営上の課題は多いし、自治会そのものが今後存続するのかも不透明だが、そこまで悪いものではないと思った。
ただ、今の時代に合わなくなっているのは確かなので、続けていくのであれば、誰もが参加しやすいかたちに変えるなり、外部に委託するなり、工夫は必要だろう。
正直自分が役員をやるまで、自治会がこんなに動いてくれていたことをまったく知らなかった。
公園やごみステーションが美しく保たれているのは、自治会のおかげだ。
知らずに恩恵を受けていた。
まだ、最大のイベントである総会が控えているので、最後まで気を抜かず、自分の務めを果たそうと思う。