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何度でも

我が家のメンバーが大好きな番組、「金曜ロードショー」。
毎週必ずチェックしている。

いつもはそれぞれ動画や読書で好きなものを見ていて、同じ空間にいるけれどバラバラの時間を過ごしている。
ただ金曜日だけはなぜか9時近くになるとテレビの辺りに集まりだす。

ある者はビールを片手に(私)、ある者はポテトチップスのBIGを小脇に抱え(息子)、トイレを済ませてクッションの位置を整える。

9時、いつものオープニング。
2人ともいつの間にか鼻歌を歌っている。
その横を座敷童子(娘)が通り過ぎる。
彼女は興味がないようだ。
今日はジブリの名作、「となりのトトロ」の上映である。

「何度目だ、となりのトトロ」と呟きながら毎回必ず観てしまう。
以前は無邪気なメイちゃんやトトロの可愛さを楽しんでいたが、今グッとくる所はそこではない。

入院しているお母さんの気持ちや、本当はたくさん我慢していた長女サツキちゃんの気持ち、メイちゃんを探すおばあちゃんの気持ちにグッときてしまい、結果号泣しながらの鑑賞となった。
まさかおばあちゃん側の気持ちになる日が来るとは思ってもみなかった。

夏休みという事で、テレビ局も令和のキッズに是非観てもらいたいのか、私の中でジブリ映画No.1である「天空の城ラピュタ」も放映された。
そして当然、親方やドーラの気持ちにグッときてしまったし、パズーの成長っぷりとシータの強さにウルッときた事は言うまでもない。

もうダメだ、ジブリ。
大人を泣かせにかかってくる。
これはあれだ、そろそろ「平成たぬき合戦ぽんぽこ」の出番だと思う。
涙腺が開け放たれた私でも、あの映画では泣かないはずだ。

いや、ちょっと待てよ。
自分たちの大切な里を人間に奪われ、家を破壊され、仲間を失いながらも人間と戦って、失った里には2度と戻れない訳だから号泣の可能性は否定できない。

もうダメ。ぽんぽこでもダメ。
しばらくジブリから離れた方がいい。
そんなことを思っていた矢先の金曜ロードショー「ベイマックス」でも泣く始末。

涙腺が開きっぱなしなのを何とかしたい。
かつて人前で泣く事もなく、感動ものを見てもびくともしなかった涙腺。
親に感情が無だね、と言われたかつての私はどこに行ったのか。
失われた感情を取り戻しただけなのだろうか。
それともこれが中年の普通なのか。

自分の変化に戸惑いを覚えるが、さらに上のステージへ向かっていると思えば悪いことでもなさそうだ。
ジブリ映画で泣ける自分をそろそろ受け入れるしかない。

今までお疲れさま、感情が無の自分。
もう立派なおばちゃんになったのだから、人前で泣いたり笑ったりしても誰も気にしないはずだよ。

「おばちゃん」と言うのは何でもすぐに言ってしまうし、怒るし、感動屋さんだし、すぐに悪口を言うけれど、いざという時は頼りになるし、ちょっとの事ではへこたれないし、何より肝が据わっている。
私が若い頃見てきた「おばちゃん」はそんな素敵な人ばかりだ。

どうやらその領域に私も足を踏み入れたらしい。
素敵になれるかは疑問だが、それは他人が決める事。
私は私でこのまま進んでいくしかない。

目下の課題は泣いた翌日のパンパンになった目元を何とかしたい。
回復までに時間がかかる。泣きっぷりによっては夕方近くまで半目状態である。
仕方がないか、だっておばちゃんだもの。












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