カウンセリングは秘密基地
つい先日、久々に実家に行ってみた。もう帰省する、と表現するよりも実家に行く、と言った方がしっくりくる。実家を出てそれだけの時が経ったのだな、と実感した。
行ったと言っても三、四時間程だった。市内のホテルに泊まったので、昼間以外ずっとホテルで過ごした。帰省とは親に顔を見せることなので、一応言葉通りのことはしたつもりだ。
ホテルでゆっくり本を読んでいた。長嶋有さんの「タンノイのエジンバラ」を読んでいた。最近、長嶋有さんにハマっている。それはさておき、ホテルに行く際に実家近所の知り合いに会ってしまい思わず、ヤバいと感じてしまった。
「久しぶりですね」と二、三話しただけだったが逃げたくなった。
向こうは僕が精神病であることを知っている。昔、親が言われたらしい。息子さんが精神科に通院してるんですよね、と。それから極力、近所の人とは会わないようにしている。なぜ知っているのか分からないが御近所ネットワークを甘くみてはいけないな、と思わされた。
気にするな、と言われればその一言で終わってしまうのだが、どう接すれば良いのか分からない。そう思った時、中嶋有さんの「ジャージの二人」を思い出した。「ジャージの二人」のように定期的に隠れる場所がほしい。人と距離を置く場所があれば良いのに、と。
でも、そもそも会うことは滅多にないので気にしないようにした、と言い切れれば引きずることはないだろう。
誰も知らない秘密基地でもあれば良いのに。
今はカウンセリングがある意味秘密基地的な場所だ。
何を言っても情報が漏れない所だ。噂になることもない。
病院は逃げ場としての最後の砦としてあってほしい。