こっちみててよ。
スタッフ「はい、次藤吉さん」
夏鈴「はい…」
順番が回って来たから、立ち位置に向かう。
保乃「…夏鈴ちゃんなんかテンション低い?」
天「〇〇さん、撮影始まるまでには戻るって言ってたのにまだ帰ってきてないんだよね」
保乃「あ〜…、そう言えば出てったきりやな」
天「今日は居るって言ってたから、機嫌良く準備してたんだけどね〜」
…別にそんなんじゃないし。
居るか居ないかは関係ないから。
居るって言ったのに居ないから。
約束と違うのに怒ってるだけだから…。
別に居なくてもいいし…。
スタッフ「はーい、じゃあ始めまーす」
保乃「でも仕事はちゃんとすると…」
天「それはそれ。これはこれ」
ガヤがうるさい…。
向こう行ってて欲しい…。
保乃「あ、帰って来た」
っ!?
スタッフ「藤吉さーん、視線こっちくださーい」
夏鈴「っ!」
つい視線をスタジオの入り口に向けてしまった。
天「めっちゃ見てた笑」
保乃「かわい〜笑」
ムカつく…。
なんの嘘…?
〇〇「夏鈴ちゃんの邪魔しないの〜」
!?
嘘じゃない?
視線を向けたいけど、撮影中…。
ギリギリ視界の端っこに見えるような…。
〇〇「〜〜〜〜〜」
保乃「〜〜〜〜」
天「〜〜〜〜」
ん〜…。
なんか人差し指を立ててるから、静かにって言ってるのかな…。さっきまでうるさかったのに、今は何話してるのか全然わかんない。
もうちょっとこっちで話したらいいのに…。
〇〇「〜〜〜〜〜」
天「〜〜〜〜」
保乃「〜〜〜〜」
結局戻ってきても全然こっち見ないし…。
…ん、話し終わった?
〇〇さんがカメラマンさんの後ろに回ると、両手を合わせて口をパクパクする。
〇〇(ごめんな〜)
何それ…笑
別に口パクじゃなくて普通に言えばいいのに笑
スタッフ「おっ、いい笑顔〜」
天・保乃「笑」
また笑ってる…。
もう、あっち行って…。
〇〇「〜〜〜〜?」
スタッフ「〜〜〜〜」
〇〇さんはもうスタッフさんと話してるし…。
モニターじゃなくてこっち見たらいいじゃん…。
……しょうがない。
あんまり得意じゃないんだけどな…。
保乃「えっ、かわいい〜!」
天「あざとー!」
…もう、ほんとに見ないで欲しい。
けど…、
〇〇「………」
やっと、こっちみた。
そのままちゃんと、こっちみててよ…。
そしたら私、たぶん可愛く撮ってもらえるから…。
〇〇「可愛いね」
その言葉で、もっと可愛くなれるから…。