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鎧袖一触ACT2.太陽の場合。

天「待ち時間短くて、いまいち何していいか分かんないですね〜」

夏鈴ちゃんの撮影の間、天は休憩中。

〇〇「そら今回は2人だけの撮影やからなぁ。普通に待っといたらええんちゃう?笑」
天「それじゃつまんないじゃないですか〜」

唇を尖らせる天。

天「おっと……」

急に自分の口元を押さえて、背筋を伸ばす。

〇〇「何、急にどしたん?」
天「別に? なんでもありませんけど?」
〇〇「いやいや…、無理があるやろ笑」
天「……子供っぽいのはちょっと控えようかなって」
〇〇「……」

俺はちょっと虚をつかれる。

〇〇「…笑」
天「なーんで笑うの!?」
〇〇「いや、なんというかホントなんで急に笑」
天「…だってもう19ですよ?」
〇〇「まだ19やん…といいたいとこやけど、13から見てる身としてはもう19か…!とも言いたくなる」
天「ほら〜…」
〇〇「いやいや、やからってそんな大人ぶらんでも…」

む〜っとイジケた顔をする天。

天「…子供っぽいって思ってるでしょ?」
〇〇「鏡みてから言いや笑」
天「見た目じゃなくて…、その全体的に」
〇〇「…考え方も大人やと思っとるよ。たまに子供っぽくはしゃいだり、皆を楽しませたりっていうのはええことやろ?」
天「……」

どことなく納得のいかない様子。

〇〇「なんか思う所があんの?」
天「…だって、未だに夏鈴のこと夏鈴ちゃんって呼ぶじゃん」
〇〇「……?」

それになんの関係が…?

天「……自覚ないん?」
〇〇「……?」
天「…理佐さんの影響でしょ?」
〇〇「ブッ!?」

思わず変な声が出る。

天「ほら…」
〇〇「イヤイヤ、ツチダサントサワベサンノエイキョウヤデ」
天「…嘘つき。夏鈴ちゃんの時は普通なのに、夏鈴ちゃーんの時のイントネーション、そのまんまだし」

嘘…。イントネーション?
マジで自覚なかったんやけど…。
恥ずかしすぎん……?

天「…それにTGCとか、一緒になる機会ある時、わざわざ絶対会わないようにしてるし…絶対意識してる」
〇〇「……」

バレてる。
でもそういう風に考えてるわけじゃないで…。

〇〇「……ちなみにそれと大人になんの関係が?」
天「理佐さん大人っぽいし、美人だし、カッコいいから、そういう人がいいのかなって…」
〇〇「……」

うーん…。
説明が難しいけど…。

〇〇「正直に言うと…そういうの、考えないようにしてる。そのために避けてるかも」

変に取り繕っても、誤魔化せない気がするから。

〇〇「今は…。今の自分はそこまで考えれない気がするから。それより優先したいこともあるし」
天「優先?」
〇〇「皆がどこまで行けるかみたい」

そのために何が出来るか。
それまでは一旦、自分のことは後でいい。

〇〇「こうやって、海外で仕事も増えてきたし、楽しみやんか、どこまで皆が連れてってくれんのか」
天「……連れて行くんじゃなくて、一緒に行くんでしょ」
〇〇「…そっか。楽しみやなぁ」
天「……いつになったら考える?」
〇〇「…2期生はみんな見送ろかな」
天「だいぶ先じゃん」
〇〇「お、それはみんな喜ぶな」
天「……じゃあ、そん時までに大人になる」
〇〇「結果それかい笑 考えた結果、普通に独り身のまま老いさらばえていくかもよ?笑」
天「ない!絶対なんとかする!」
〇〇「なにそれ笑」
天「ちゃんとそのつもりで覚悟しといて」
〇〇「あー…。はい…でいいんか?」
天「よーし、がんばろ」

うーん。本人のモチベーションになるなら、それもええんかな…?
それともこれは、ズルい大人の対応か?
とりあえず、本気で来られたらひとたまりもないかもしれない。気をつけないと…。

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