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踊る La Vie en Rose.2回裏


警戒がありありと伝わってくる。
全員に歓迎されるなんてそもそも思っちゃいないから構わないんだけれども…。
…小池さんは俺が初めて来た時には、カウンターに立っていたと思う。それがいつの間にか、キッチンに籠もるようになってた。
この店は1人がキッチンに入り続けなきゃいけないような、凝ったフードはない。
……余計な詮索か。

理佐「武元と田村は私達の後輩。2人にとってはこの店で最初の後輩が✕✕になるから」
武元「よろしく!由依さんが直接誘ったって言うからどんな人か気になってたんよなぁ〜」
✕✕「どうも。期待添えられると良いっすけど…」

明るい人だ。お店で見かけたことはあるが、ほとんど接点はなかったな。
あまり警戒は感じない。
純粋に言葉通り小林さんが誘った奴が、どんなのか楽しみにしてるって感じ。

田村「あの…、昨日はありがとう」
✕✕「…昨日」

あぁ、あのおっさんか…。

✕✕「いえ、勝手してすんませんでした」
田村「あぁ、いや、ほんまに助かったから!…困った事あったら何でも聞いてな!」

うーん、この人もいい人感というか、お人好し感が凄いな…。印象通りって感じ。

理佐「で、私は?」
✕✕「…え?なんです?」
理佐「私は?」

どういう質問?

✕✕「…理佐さん?」
理佐「正解」

なんだこの質問。
よくわからんが、まぁ正解らしい。
と、改めてスタッフの皆に向き直ると、

一同「……」

皆驚いたような顔をする姿。

✕✕「え…、なんすか」
小林「……別にいいんだけどさ、なんで理佐呼び?」
✕✕「…え、そりゃ」
理佐「そりゃあ私達の仲だからに決まってるじゃん。ねぇ?」

急に距離を詰めてくる理佐さん。

✕✕「えっ、なに怖い怖い」
小林「……ふぅ〜ん?」
✕✕「え、なに、なに?」
土生「そっかぁ〜、なるほどね〜笑」
武元「なるほどなるほど笑」

謎の納得をする土生さんと武元さん。

小池「……」
田村「えっ?えっ?」

相変わらず警戒感MAXな小池さんと、
たぶん俺と同じで良くわかってない田村さん。

✕✕「なに、なんか怒ってます?」
小林「…別に?」

えぇ〜、怖。

結局この日は友香さんの言ってたチャプチェ…、じゃなくてキャプテンの意味を聞きそびれてしまった。
まぁ後日ご本人に確認したところ、皆と所属してたダンス部のキャプテンということらしい。


結局この怖い空気感の理由は分からずじまいだったが…。

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