いかん。
村山「え、二次会行かないの?」
ゼミ終わりの金曜日。
ゼミ生達での飲み会が終わり、高校からの縁つながりで村山、中嶋、的野で2軒目へ繰り出そうということらしい。俺もまたその縁につながる一人ということで、二次会にお誘い頂いたのだが…。
〇〇「小西のバイトが終わるんでな。迎えに行ってやるかと…」
村山「…ノリ悪」
小西はゼミが別なので、今日はバイトを入れていたらしく、そう離れたところではないので飲み会終わりに迎えに行ってやるかと思っていた。
〇〇「……酔っとる?」
村山「はぁ…?酔ってないし」
普段は小西の方が分かりやすく酔うので意識していなかったが、村山もそう強い方ではないらしい。
〇〇「取り敢えず水飲め。さらぴんやから」
村山「…さらぴん?」
〇〇「新品ってこと」
村山「あっ、そう…」
村山はぐびりと一口飲むと、
村山「で?行く気になった?」
〇〇「なんでやねん」
聞いてたか?人の話。
村山「子供じゃないんだからさぁ…。別に一人で帰れるでしょ…。と言うか普段は一人で帰ってるんでしょ…?」
〇〇「そりゃまぁ、そうやけども」
村山は酔うと駄々こねるタイプか…。
村山「…迎えに行くから、お酒セーブしてたんでしょ?」
〇〇「…よう見とるなぁ、酔っ払いのくせに」
村山「…酔ってないし」
〇〇「イヤイヤ、それは無理があるて」
顔も赤いし、テンションも変やし。
村山「ほら!」
パッと立ち上がると、ふらふらと歩く。
いや、どこがほら!やねん。
村山「あっ…」
結局何もない所でけつまずいたので、支えてやる。
〇〇「ほれみい」
村山「ウケる…笑」
俺に寄りかかりながら笑う村山。
何がおもろいねん。
〇〇「お前も帰ったほうがええんちゃう?」
村山「はぁ?帰らないし」
これ以上飲んで大丈夫なんか?
〇〇「…というかいつまで寄りかかってんねん」
村山「こういう時は優しく支えててくれたらいいでしょ…」
〇〇「…緊張するやろが」
村山「はぁ?なにそれ笑」
顔近いねん…。
自分の顔がどんだけ整ってんのか自覚あるんか?
村山「なに、なんか変なこと考えた?」
〇〇「はぁ!?考えとらんわ!」
村山「浮気だー。言いつけてやろう」
〇〇「やめろや!!」
村山「あーあ、これだからモテないやつは…」
〇〇「彼女持ちに言う事か!?」
ちらりと上目遣いで見てくる村山。
村山「ちょっと優しくしたら、すぐ勘違いしちゃう感じ?」
〇〇「しとらんし!」
中嶋「ちょっとー、お店決まりましたけど?」
的野「なに、町中でイチャイチャしてんの」
〇〇「しとらんわ!」
村山「ねー、〇〇が二次会来ないとか言うんだけど」
しれっと俺から離れると、二人の元へすたすた歩く村山。
中嶋「えー!?来ないとかあるの!?」
的野「…ないね」
村山「でしょ?」
〇〇「…いや、小西バイト終わるから迎えに行ったろかなって」
中嶋「…呼べば?」
的野「そうそう。合流すればいいじゃん」
村山「…その手があった。電話してみよ」
〇〇「おいおい…」
まてまて。
今からそのメンツはどう考えても終電終わるやん。
村山「…あ、私。今から元生徒会で2次会しよって話してるんだけど来ない?」
あっ。
村山「うん。…うん。〇〇も行くって。うん。わかった。じゃあ〇〇が迎えに行くから。…はい。はーい」
村山は通話を終えると、へらへらと笑った。
村山「じゃあ〇〇お迎えよろしく」
中嶋「先お店いってるから!」
的野「地図送っとくね」
〇〇「おい…!」
自由人どもめ…!
と、心のなかでツッコんでいるとスマホに着信が。
小西『ちょっと!?今どこ!?はよ迎えに来てや!皆もう集まってんねやろ!?』
これは終電逃して、始発までカラオケコースか…?
〇〇「はいはい、今から行くから待って…」
もういいや、セーブする必要もなくなったし、次からは普通に飲も…。