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上善如水。

〇〇「おかえり〜」
ひかる「ただいまで〜す」

ウキに捕まって、ひかるが水中から帰ってくる。

〇〇「どやった、水中撮影は?」
ひかる「いやぁ〜、新鮮な体験でしたね」

今回のCMは雨水や雪解け水が飲料水に成るまでの歳月と、人生の経過を重ね合わせ、ひかる演じる主人公が水中世界でこれまでの人生と出会い、過去と未来の繋がりを想い、これからの未来へと託していくことの大事さを希求する。というコンセプト。
…うーん、何事もそうだけど企画を考える人というのは凄いことを思いつくなぁ…。

ひかる「水中でお誕生日を祝ってもらうのはこれが最初で最後でしょうね笑」
〇〇「普通はできへん体験やろな笑」

プールからあがるひかるに手を貸しながら、つられて笑ってしまう。

ひかる「あんまり近づくと濡れますよ」
〇〇「この暑さなら外出りゃすぐ乾くわ」

屋内プールなので空調は効いているが、夏の撮影なのでなんなら少し羨ましいくらい。

〇〇「配信される頃にはすっかり秋になってるやろなぁ」
ひかる「だといいんですけどね〜笑」

タオルで髪を拭きながら、軽く撮影した映像を確認するひかる。

ひかる「こんな風に映ってるんですね〜」
〇〇「なんか不思議な感じするよなぁ」

水中においても、ひかるの魅力は損なわれることはなく、生き生きとそこに在ると思わされる。

〇〇「いやぁ流石、天然水ブランドに合う透明感があり、それでいて水中演技が可能な高い身体能力もあり、水中の水圧を受けても美しさを保てる顔つきの人やなぁ」
ひかる「…いやぁ、それほどでもありますけども笑」
〇〇「流石っす笑」
ひかる「……っていうオファーがあって、それならうちの森田がって〇〇さんが推してくれたって聞きましたけど?」
〇〇「……誰が言ったんそれ?」
ひかる「さぁ〜、誰でしたかねぇ〜笑」

口が軽いやつがおるな?

ひかる「別に隠さなくても」
〇〇「別に隠してはないけど、わざわざ言うことでもないやん?」
ひかる「…モチベーションはあがる」
〇〇「…言われなくても上げてほしいとこではあるんやけど」
ひかる「低いとはいうとらん…。あがるけんもっと言うてってだけ」
〇〇「そうか…」

まぁ、そういことなら…。

〇〇「あとは…ひかるに水のイメージがぴったりやと思ったから」
ひかる「ほう?」
〇〇「水には、学ぶに足る特徴が三つあるって言うてな。一つは柔軟なこと。四角い器に入れば四角くなるし、丸い器に入れば丸くなる。一つは謙虚なこと。高い所から低い所へ流れるように、驕ることがない。一つは力強いこと。急流になれば岩も削るくらい爆発的なパワーがある」

俺は指折り数えながら話す。

〇〇「バラエティで見せる森田ひかるも、ステージで魅せる森田ひかるも、自然体の森田ひかるも、ほんまに魅力的やと思う。その時その場所で、それぞれ違う森田ひかるがおって、すごいなぁって思う。
それでも驕ったり、慢心したりせずにおれる謙虚さやストイックさも尊敬する。
パフォーマンスで爆発するエネルギーも、ほんまに小柄なことも忘れるくらい存在感ある」

時にあらゆる命に癒しや恵みを与える水。


時にあらゆる物を根こそぎ攫っていく水。


そのどちらの面も、アイドル森田ひかるは持ち合わせているように思う。

ひかる「…よく見てくれてるんですね」
〇〇「そら見るよ。めちゃくちゃ見るよ」

言っててちょっと気持ち悪いかも思って、少し冗談めかして続ける。

〇〇「ひかるが嫌!ってなるまでは見続けるで笑」
ひかる「そうですか…」

ひかるは少し考えるような顔をして、

ひかる「じゃあ、死ぬまで見とかなあかんね」
〇〇「……気ぃ長っ!!」
ひかる「自分で言うたけん、責任持って見といてよ?」
〇〇「いやいや、普通に考えても死ぬまでアイドルやらんやろ?」
ひかる「アイドル辞めたとしても、見よってくれたらよかろ」

一般人になった元アイドル見続けてるやつは、流石に事件なのでは…?

〇〇「訴えられるんでは…」
ひかる「私がよかって言いよーっちゃけん、よか」
〇〇「またそんなコテコテの博多弁でいいよってからに…」

時々わざとやってんじゃないかと疑いたくなるで。

〇〇「まぁいつも通りのひかるでおってくれたら、見ようと意識してなくても見てまうから安心せい」
ひかる「…言質とりましたからね?」
〇〇「そこは敬語なのが逆に怖い」
スタッフ「撮影以上となります!お疲れ様です!」

スタッフさんが花束を手にやってくる。

〇〇「ほらほら、行ってき」
ひかる「はーい。ありがとうございます!」

その後、誕生日が近いひかるにスタッフさんのご厚意でケーキが用意されており、有り難いことにお祝いをして頂いた。
また1年、ひかるが櫻坂としての日々を過ごし。
また1年、ひかるが櫻坂としての日々を送る。
そんな日々が、後どれくらい続くだろうと時折考えることがある。
ずっと先かもしれないし、
思ったよりも遠くないかもしれない。

出来るのであれば、
1日でも長く、続けばいいなと思う。




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