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こそばい。

〇〇「…ぐぅ」

気がつくと、俺はカラオケボックスの一室で目を覚ます。

小西「あ、起きた?」

横の小西が気づいて声をかけてくる。

〇〇「…ねむ」
小西「ほんまよう寝るなぁ」
〇〇「今何時やおもてんねん」
小西「…3時?」
〇〇「普通は寝とるねんそんな時間」
小西「…高校時代から時間関係なくよう寝てたやん」
〇〇「…オンオフは大事やろがい」
小西「ええように言うなぁ…」

人目のあるところでは、生徒会長に相応しい人間として常に気張ってた。
模範的であれ。規律に則った人間であれ。
権力は支配力であり、支配とは強制することだ。  
強制されれば反発したくなる。
反発を生まないためには、力を持つにふさわしいと他に認められなければならない。
そのためにリソースを振った。
だから疲れた。だから良く寝た。
生徒会室だけは、安息の地のように。
ゆっくりと眠れた。
そういえば今日のカラオケはそれに良く似た雰囲気だった。 とは言え。

〇〇「これはもう狂気の沙汰や…」

持ち込み可能なカラオケハウス。
テーブルの上は酒の空き缶やら、食べ終えたお菓子やらの袋でほぼ埋まっている。

〇〇「で、村山らは?」
小西「色々無くなったから、コンビニ行ってくるって」
〇〇「……」

まだもうひと騒ぎする気ですか?

〇〇「…ようやるなぁ」

またウトウトして来てしまった。

小西「…ん」
〇〇「ん?」

小西が自分の膝をポスポスと叩く。

小西「ん」
〇〇「……ん?」

寝ぼけておりますので、意図を測りかねます。

小西「ん!」

いや、怒んなや…。冗談やん。
そ〜っと、小西の膝に頭を乗せる。

〇〇「…なんかこそばゆいんやが」
小西「…それ私のセリフなんやけど」

まぁ、そうね。

〇〇「…今日は前髪ありやねんな」
小西「…まぁ、たまには」 
〇〇「…ちょっと懐かしい感じやな」
小西「……どっちのほうが好き?」
〇〇「…………どっちも好き」
小西「……甲斐のない奴」
〇〇「………甲斐のない奴は嫌いか?」
小西「……嫌いじゃない」
〇〇「…ならええわ」
小西「…良くないやろ。ひねくれもんやで」
〇〇「それはお互い様やな」
小西「……ほんまにな笑」

ただ、ぼーっと、お互いにお互いを見つめて。
そして……。


中嶋「おまたせー!」
的野「ごめん、おそくなって……」
〇〇・小西「…………」
村山「……仲の良いことで」
〇〇・小西「…ギャァァァァァァ!!!!!!!」

〜〜〜〜〜

中嶋「でもちょっと安心したなぁ」
的野「確かに。2人ってあんまりイチャイチャしたりラブラブしたりするとこ見ないから」
小西「いや、これは、あれやで?その、〇〇が眠いから膝貸せっていうからしかたなくやで…?」
〇〇「おい!おまっ!いっぺん閻魔様に舌引っこ抜かれろ!!」
村山「……」
〇〇「いった!?何で足踏んだん!?」 
村山「は?踏んでないし」
〇〇「何の嘘やねん!?」
中嶋「いや〜、でも〇〇も彼女には甘えるんだね」
的野「いっつも喧嘩漫才してるから、ちょっと新鮮だったね」
〇〇「こ、殺せー!!!一思いにやれー!!!」
村山「……楽に死ねると思わないで?」
〇〇「怖!?」

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