踊る La Vie en Rose.5回裏
土生「はい、というわけで、由依の快気祝い&コンペ2ndステージ突破おめでとう回を始めまーす!」
一同「イェーイ!」
というわけで、お店の定休日にスタッフ一同集結し、焼肉に来ている。
小林「面倒をおかけしました」
ペコリと頭を下げる小林さん。
理佐「よりにもよってコンペ直前にインフルなんて…」
小林「なりたくてなったわけじゃないから」
ムッとした顔で答えると、小林さんはグビリと生ビールを傾ける。
まぁ、そりゃそうだ。
✕✕「理佐さん、今日は来れたんすね?」
理佐「なにぃ〜?来ちゃいけなかった?」
✕✕「誰もんなこと言ってねーす」
理佐さん、また子供っぽい。
武元「適当に頼んじゃっていいです?」
小池「いいんやない?今日は男の子もおるし、いっぱい食べるやろ」
田村「とりあえず牛タンから?」
土生「そうだね〜」
✕✕「なんか、すごい勢いっすね」
小林「そう?」
✕✕「こんな大勢で外で飯食うの初めてかもしんないっす」
理佐「…なんか、悲しくなんだけど」
✕✕「いやいや、事実を述べただけなんで」
小池「…いっぱい食べや」
✕✕「いやいや、悲しくならんでくださいって。
というか、そんな焼肉ってテンション上がるもんなんすか?」
一同「えっ!?」
一斉に視線が集まる。
✕✕「えっ、なんすか怖い」
田村「焼肉でテンション上がらん人とかおるん…?」
理佐「それはさすがに言いすぎでしょ」
小池「男の子って皆焼肉好きやと思てた」
土生「それも言いすぎでしょ笑」
武元「人のお金で食べる焼肉がいっちゃん旨い」
小林「遠慮なさすぎ笑 で、肉あんま好きじゃないとか?」
✕✕「あぁ、いや、なんで金払ってんのに自分で焼かなきゃいかんのかなって」
田村・武元「それが焼肉やろ!」
✕✕「えっ、怒られてる?」
土生「まぁ、今日に関してはその部分は心配いらないと思うよ」
✕✕「ん?」
〜〜〜〜〜
小林「どしたの、寒いでしょ」
✕✕「あぁ、いやぁ…」
ひとしきり食べて、俺はトイレに立って、そのまま少し店の前で涼んでいた。こんなに食べたのは初めてくらい、お腹がパンパンだ。
✕✕「…食べすぎました」
小林「まぁ、甲斐甲斐しく世話されてたね笑」
とにかく田村さん武元さん小池さんが肉が焼けるやいなやバンバン皿に放り込んで来るので、最早一度もトングに触れていない。
✕✕「なんとなく、焼肉の楽しみ方が分かりました」
小林「ちょっと本来のとは違う気もするけど…まぁいいか」
小林さんは、やや呆れたようにため息をつく。
小林「ごめん、色々迷惑かけて」
✕✕「何をおっしゃる。どうしようもないことでしょうが」
なりたくてなったインフルじゃあるまいし。
小林「色々悩んだみたいじゃん」
✕✕「…そうっすね。自分を見つめ直すいいきっかけでした」
気づいたこと、気づかされたこと、たくさんある。
✕✕「弱くなりました、ずいぶん…」
元から強かったとも思えないが、少なくとも強度は下がったなと思う。
何かにつけて、ボコボコと凹む日々だ。
小林「いいんじゃないの。弱さもあって」
✕✕「そうですかね?」
小林「弱いところも無いと、人の弱さに寄り添えないから。自分が強いばっかだと、人が何に傷ついたり悩んだりしてるのか分かってあげれないでしょ」
✕✕「……」
自分がそうやって傷ついたから、
相手もそういう時傷ついてるかもしれない。
自分がそうやって傷つけられたから、
相手もそうやって傷つけられるかもしれない。
✕✕「なるほど、そうかもしれないっすね」
小林「…大事なのは強さも弱さも知ってることだと思う。強くて弱いこと…って矛盾してるけどね」
✕✕「確かに…笑 けどそうあれればいいっすね」
小林「まぁ、目指す価値はあんじゃない?」
✕✕「…そうっすね」
少しの沈黙。
小林「…まだ皆には言ってないんだけど」
✕✕「はい?」
小林「近々、ゲストバーテンダーを招いてTakeoverイベントをやる計画が動いてんの」
✕✕「ほう…?」
小林「あ〜、え〜っと、Takeoverってのは乗っ取りって感じ。お店をそのバーテンダーが乗っ取って営業するみたいな…」
✕✕「はぁ…?」
小林「ピンと来てないでしょ笑」
✕✕「はい笑」
小林「まぁ、いいや笑 とにかくゲストが来て、その人メインで営業ってこと。私達は基本フォローとかサポートとかホールとかに回るから」
✕✕「はーい。…ちなみにどんな方なんです?」
小林「…私たちの地元でお店やってる人」
✕✕「へぇ〜、元々のお知り合いなんすか?」
小林「私と理佐はね」
✕✕「そうなんすね」
小林「まぁ、そういうことだから、よろしく」
✕✕「へいへい」
田村「あー!こんなとこおった!」
✕✕「あ、みつかった」
土生「2人はデザートどうする?」
小林「…戻ろっか」
✕✕「ですね」