韜晦する。
〇〇「……」
保乃「あっ…」
控え室に戻ったら、〇〇さんが写真集を見てる。まだ保乃が戻ってきたのに気づいてないみたいやな…。
……どのページ見てるか、ちょっと覗いたろかな。
こっそりと〇〇さんの背後に近づく。
後もう少し…。
けどもし、ちょっとセクシーなページやったらどうしよう…。
でももうここまで来てもうたしな…。
〇〇さんの背中越しに覗き込んでみる。
特にセクシーなページじゃなくて、夕焼けに佇んでる写真のページ。写真集のスタッフさんから一番、素のほのすだねって言われた1枚。
しかもさっきからページをめくることもなく、じっとその写真を眺めてる気がする。
〇〇「…?」
気配に気づいたんか、〇〇さんが振り返る。
〇〇「……つ!?」
パン!!と音でもしそうなくらいの勢いで写真集を閉じると、〇〇さんは慌てたように口を開く。
〇〇「戻ってきてるんなら言うて!?」
保乃「えっ、あー、すごい真剣に見とったから…」
〇〇「…見てへん!」
保乃「いや、見てたやん!?なんで嘘つくん!?」
〇〇「…ついてへん!」
保乃「…別に隠さんでも」
〇〇「…隠してへん!」
保乃「え〜…」
見たこと無いけど、男の人がえっちなもん見てる時に彼女とかお母さんに見つかった時みたいな動きしてたやん…。
……いや写真集は別にえっちなもんではないけど!!
…………たぶん。
〇〇さんの向かいの席に座る。
〇〇「あんましつこいと、目の前で顔見ながら水着とか下着のページ見るで!?」
保乃「やめーや!笑」
も〜、急に子供っぽいんやから…。
保乃「…ほんで?」
〇〇「…ほんでとは?」
保乃「真剣に見てから、感想とか…」
〇〇「……」
保乃「担当アイドルの写真集の感想言うんも、立派な仕事やと思うけどな〜」
わかりやすい言い訳を用意してあげたら、乗ってくるかなぁ?
〇〇「……」
〇〇さんは渋々とでも言いたげな顔で、ページをペラペラとめくる。たぶんさっき見てたトコ。
〇〇「……あんさぁ」
保乃「うん」
〇〇「えっと……」
保乃「うん」
〇〇「……その」
保乃「うん」
〇〇「……保乃、綺麗やなぁって」
保乃「…………」
〇〇「……なんか言うてくれ!?」
保乃「あ、あぁ…なんかごめん」
〇〇「1人で恥ずかしいやんけ!」
保乃「いやぁ…そっかぁ…ふふふ笑」
〇〇「普通に照れんのもやめてくれ!」
保乃「そっかぁ…保乃、綺麗やったかぁ…笑」
〇〇「ニチャニチャすな!!」
保乃「え〜笑 他には?他にはどれが好き?」
〇〇「しらんしらんしらんしらん!」
〇〇さんは写真集を閉じて、立ち上がるとパタパタと控え室を出ていこうとする。
保乃「ちょっと!どこ行くん!?」
〇〇「此処ではない何処かや!!」
保乃「なにそれ〜!?」
〇〇「なんでついてくんねん!?」
保乃「感想は〜!?」
〇〇「後でA4用紙2〜3枚にまとめて提出したる!」
保乃「なんでやねん!直接言うてや!」
〇〇「おことわりします!」
梨名「写真集抱えた〇〇さん追っかけて…」
唯衣「裸足ではないけど、かけてくほのすさん…」
綺良「みんな笑ってますか?」
ひかる「……」
夏鈴「……」
茉里乃「笑うどころか約2名不機嫌やけど?」