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ビストロチャイティーヨ 来たる日と皆様と。

飛鳥「はい。今日はここまで」
〇〇「…ありがとうございました」

カラオケでオールでもした後のような、喉の疲労感に耐えながら、僕は頭を下げる。

さくら「喉大丈夫?」
〇〇「あい…、後でちゃんとケアしときます」
ハマ「中々のハードルぶちあげたねぇ」
〇〇「いや、思いついてしまったら止まれなくて」
飛鳥「……」

楽器をしまいながら、ダンス部の見学を終え、チャイティーヨで飛鳥さんと少し話をした日の事を思い出す。僕なりの今現在のゴールというか、目標地点。それを飛鳥さんに伝えた。
このメンバーで、とある楽曲を演奏したい。
深く考えもせず、思いつきを言葉にしたようなものだったけど、飛鳥さんの、ボーカルありの曲だし歌う?という一言で、僕は以前までやったことのないギターボーカルというポジションを務めることとなった。正直安請け合いもいいところだ。
けれど、いいえとは言えなかったし、言いたくなかった。ここで曲げたくなかった。挑むということを。この曲をやるということを。

飛鳥「じゃあ、また明日」
さくら「ばいばい」
ハマ「お疲れ」
〇〇「はい、お疲れ様です。ありがとうございました」

受付まで来ると、帰り支度を済ませた2人の女の子が待っていて、いつの間にか、飛鳥さん達とはここで解散するのがお決まりの流れになっている。

夏鈴「…最近、歌ってますよね?」
天「私も思った!」
〇〇「あ〜、まぁわかるよね?」

駅までの短い時間、コロコロと口の中でのど飴を舐めながら、僕は2人に聞いてみる。

夏鈴「うっすらとですけど、聞こえるんで」
天「最近帰りいっつも声カスカスだし!」
〇〇「…うん、ちょっと目標ができたから」
夏鈴「じゃあやっぱり」
天「だね」
〇〇「ん?」
夏鈴「ライブ、やるんですよね?」
天「店長が言ってましたよ。まだ確定してないけど、候補日何日か聞いてるって」
〇〇「まぁ、2人には話行くよね」

まだ確定していないので、誰にも言ってないのだけど、会場のスタッフである2人には何らかの形で耳に入るだろうとは思っていた。

夏鈴「そりゃまあスタッフですから」
天「隠そうったってそうはいきませんよ」
〇〇「別に隠すつもりはないよ笑」
天「だったらいいんですけど笑」

駅について、2人を見送る。

〇〇「あ、そうだ。今度チャイティーヨでイベントやるんだけど2人は興味ある?」
夏鈴「イベント?」
天「どんなイベントなんですか?」
〇〇「コース料理をだすレストランっぽい営業なんだけど…」
夏鈴「コース料理…」
天「興味はあるけど、なんか緊張しそう。あとお値段…」
〇〇「そういう声もありそうだから、リーズナブルなコースも用意する予定です笑」
天「ありがたや〜」
夏鈴「なにそれ笑」
〇〇「じゃあ、詳細決まったら連絡するね」
天「お願いしまーす」
夏鈴「お願いします」
〇〇「ひかるちゃんにも連絡しておくから、予定合いそうなら一緒に来なよ」
天「はーい」
夏鈴「……いつの間に連絡先交換したんですか?」
天「っ!」

スマホに予定を入力するのに忙しかった天ちゃんも、夏鈴ちゃんの言葉に反応してハッと顔を上げる。

〇〇「え、前に3人で来てくれた時だけど…」

ダンス部の見学にお邪魔した際、2人とひかるちゃんには僕の名刺を渡している。
そして先日、3人で実際チャイティーヨに来てくれて、改めて飛鳥さん達に紹介したんだけれど。

夏鈴「そんなタイミングありました…?」
〇〇「レジで。2人はその時もなんか小競り合いしてたから気づかなかったんじゃない?」
天「そんなサクッと交換してると思いませんよ」
〇〇「えぇ〜…」

連絡先ってもっとズシッと交換するものなの?

天「まぁいいや…。後で向こうを問い詰めよう」

静かに頷く夏鈴ちゃん。
怖いよ。

〇〇「えーと…。じゃあまた連絡するね」
天「はーい、待ってます!」
夏鈴「お願いします」

2人の姿がホームに消えるまで見送って、僕は携帯を取り出す。チャイティーヨのスタッフLINEを開いて『お見送り終わりました』と入力。 
そのまま手に持って帰り道をゆく。
程なく、手の中で携帯が震えだす。

〇〇「はい」
飛鳥『おつかれ』
さくら『お疲れ様です』
美波『お疲れ様です。今日行けなくてすいません』

チャイティーヨスタッフ間でのグループ通話。

〇〇「毎回差し入れ持ってきてもらうのも申し訳ないですよ笑」
美波『いや〜、みんないるのに私だけってさみしいじゃん笑』
さくら『笑』
飛鳥『はいはい、梅の寂しがりは置いといて、ミーティング始めるよ』
美波『ひどい笑』
飛鳥『いいから進めて笑』
美波『はーい笑』

美波さんは仕切り直すように1拍置いて、

美波『では、私主導で行うイベント営業、ビストロチャイティーヨのミーティングを始めます』
一同「よろしくお願いします」

前回、ゲストをお呼びした夜喫茶チャイティーヨ。
反響もよく、好評のイベント営業だったのだけど、想定以上のお客さんの入り、用意した食数の見通しの甘さから売り切れも多かった。
また、ゲストの多さからメニュー数も豊富だった故のオペレーションの煩雑さも、見過ごせない部分。
そういった前回の反省も考慮して、今回のイベントは普段からお世話になっている常連さんを中心に、完全予約制でコース料理を提供するスタイルをお試しで行い、今後の展開の学びにしようと相成った。
題して、ビストロチャイティーヨ。

美波『コースの内容が出来たから、近々試食会の日程を決めたいと思ってます』
飛鳥『当日はえんちゃんが梅の調理をフォローしてくれることになってるから、試食会もえんちゃんに合わせて日程組むつもり』
さくら『ありがとうございます』
美波『いやいや、こっちこそありがとう。またご実家の方にもお邪魔して、お礼言いに行くね』
さくら『すいません、親も喜ぶと思います笑』

さくらさんは夜の時間はご実家のお蕎麦屋さんをお手伝いしているので、試食会の日とイベント当日はお休みしていただくことになる。
快諾してくれた親御さんにも感謝だ。

飛鳥『そんなわけだから、当日は私と〇〇でドリンクとサーブ、ホール接客をやる』

普段の業務に比べれば、人員も多く、なおかつイレギュラーな客入りもない。

飛鳥『ドリンクにかけられる時間が増える分、〇〇には前から話してた通り、イベントに合わせたドリンクの考案をやってもらうから』
〇〇「はい」

そう、僕にとってもこのイベントでは初の試み、ドリンクメニュー開発を任されている。

飛鳥『特に数は定めないけど、数うちゃ当たるみたいなのは、時間もコストももったいないからしないこと。あとテーマに沿ってないものとか、オペレーションが複雑すぎるもの、コストが高すぎるもの、そういうのは容赦なくボツにするから、覚悟しとくように』
〇〇「はい」
飛鳥『今日の所は以上かな。明日以降の営業はそのへんも考えつつ仕事すること』
一同『はい!』 
飛鳥『じゃあ、おつかれ』
一同『お疲れ様です!』

通話を切ると、もう家は目の前。
僕はそのまま携帯を操作して、とある方のLINEへメッセージを送信する。

〇〇『お忙しいところ失礼します。ご相談したいことがありまして、連絡させていただきました近々、お邪魔してもいいでしょうか?』

送信。
返事は明日の朝には来てるだろう。
そう思っていると、すぐに携帯が震える。

???『お疲れさま。もちろんだよ。いつでもお店に来てね』

別に普通の文章だけど、何故かご本人の優しい口調で脳内再生されて、僕はつい口元が緩む。

〇〇『ありがとうございます!お師匠の力添えがあれば、百人力です。』
???『頑張って弟子の期待に応えなきゃね』
〇〇『本当にありがとうございます。急にすいませんでした。また日が決まったら連絡しますね。営業、頑張ってください』
???『少しずつ寒くなってきたから、〇〇も体に気をつけてね』
〇〇『はい!気をつけます!』

携帯をしまって、家の鍵を開ける。

玄関で靴を脱ぎ、少し迷って再び携帯を取り出す。
今度は別の方のLINEへメッセージを送信する。

〇〇『急にすいません、近々夜にお時間いただけませんか?』


〜〜〜〜〜


美波「飛鳥さん、〇〇〜。今日は賄いどうしますか?」
飛鳥「食べる〜」
〇〇「すいません、今日は大丈夫です!」

キッチンから顔を出した美波さんが意外そうな顔をする。

美波「なんか用事?」
〇〇「はい、ちょっとお師匠さんのとこに行ってきます」
飛鳥「あー、そういや今日だっけ。2人によろしく言っといて。私もそのうち顔出すって」
〇〇「了解です」
美波「ドリンク開発の相談?」
〇〇「はい。お力添えしていただこうかと…」
飛鳥「2人共〇〇に甘いからな〜」
美波「人のこと言えないくせに笑」
飛鳥「なんか言った〜?」
美波「いえ、なんでも笑」

2人のやりとりについ笑ってしまうけど、あまり待たせるのも良くないので、

〇〇「じゃあ、お先に失礼します」
飛鳥「おつかれ」
美波「いってらっしゃーい」

お店を出て、僕は夜の街を歩く。
駅から少し離れた路地裏、このへんでは珍しく入り組んだ道に派手な看板が並ぶエリア帯。
若い大学生を中心に、ワイワイと賑やかな一帯。
そんな通りを抜けた先、小さなランプが灯る無機質な扉の前に立つ。
ランプには小さく“茶と酒”とだけ書かれている。
チャイティーヨも大概だけど、ここの隠れ家感には及ばないだろう。
僕は扉を開いて中へ。
店内は薄暗く、入口と同じように小さなランプがコの字型のカウンターを照らしている。
まだ早めの時間だからか、そのカウンターに腰掛けているお客さんは一人だけ。

〇〇「ありがとうございます。すいません、急にお誘いしてしまって」
奈々未「いいよ。〇〇から誘ってくるなんて珍しいしね」

奈々未さんの横に座りながら、僕は改めてお礼を言う。

奈々未「とうとうメニュー開発か。ゆくゆくは社員になるにしても、アルバイトしては中々の大抜擢じゃない?」
〇〇「いやぁ、プレッシャーは感じてますよ笑」
???「あ、〇〇も来たね」

そんな話をしていると、バックヤードから一人の女性が現れる。

〇〇「お疲れ様です。また、お師匠のお力をお借りしたくて…」
奈々未「まだまいまいのこと、お師匠呼びしてるんだ?笑」
深川「もう名前でいいのに」
〇〇「いや、つい笑 気をつけます笑」

深川麻衣さん。
飛鳥さん達と同じ会社で働いていた方。
それも飛鳥さん、奈々未さんとは同期だったらしくて、美波さんやさくらさんの先輩にあたる。
チャイティーヨの夜営業が始まるにあたり、アルコールの提供を始めるとなった時、飛鳥さんと奈々未さんの紹介で、麻衣さんに師事してお酒とお茶、バーテンダーとしての技術、ミクソロジーについて色々と教えてもらったのが始まりで、今でも時折ここを訪れてはカクテルの相談をしたり、単純にお酒を楽しんだりしている。

深川「そっかぁ…、〇〇がドリンク考案かぁ…」
奈々未「感慨深くなってる笑」
深川「一番弟子の晴れ舞台だもん。感慨深くもなるよ〜」
〇〇「そう言っていただけると、なんか嬉しいですね」

弟子として、誇れるものを作らなくては。

深川「それじゃ、いつもの流れでいいかな?」 
〇〇「はい、お願いします」
深川「ななみんも?」
奈々未「うん、お願い」

こちらのお店では通常のBAR同様のオーダーも勿論出来るのだけど、コース料理のように3〜5杯お任せで作っていただくことも出来る。

深川「それじゃあ、まず一杯目」

グラスに緑ががった液体が注がれ、そこへトニックウォーター。

深川「和のボタニカルを中心に使ったジンに、煎茶を浸漬して、それをシンプルにトニックで割る、煎茶のジントニックです」
奈々未「綺麗な色…」
〇〇「煎茶の緑は、本当になんとも言えない美しさがありますよね。いただきます」

グラスを口元に寄せると、煎茶の香りが舞う。
味わいはジンらしさを感じると共に、煎茶の由来の渋みや苦味がトニックウォーターのあま苦さと合わさった後、炭酸の刺激で爽やかに過ぎていく。

奈々未「甘さもあるけど、凄く後味がスッキリしてる気がする」
〇〇「そうですね、トニックのあま苦さが後を引かないと言うか…」
深川「今回〇〇が挑戦するのは食事する場で提供するドリンクになるよね?」
〇〇「はい、食前、食中、食後のいずれかです」
深川「イタリアやフランスではアペリティフとかアペリティーボって言って、食前酒の文化があるんだけど、日本人の体質的に強いお酒を食前に飲むのはちょっと辛いよね?」
奈々未「お腹空いてるのに酔っちゃいそうだよね」
〇〇「本当におっしゃる通りだと思います」
深川「じゃあ日本人の食前酒はと言うと、“とりあえず生”だと思うんだ」
奈々未「えっ、あれってそういうことなの?」
深川「あくまでも、私の持論だけどね笑」
〇〇「え、えーと、確かに食事を頼む前にとりあえず生ビールを頼んでますね」
深川「うん、ほぼ間違いなく食事より先にビールに口をつけるよね?」
〇〇「はい、ほぼ、間違いなく」
深川「ビールの苦みや炭酸が食増進につながるって話なんだけど、それなら苦みと炭酸のあるドリンクなら食前酒として機能するはずだよね」
奈々未「まぁ、理屈としては」
〇〇「なるほど、だから煎茶とジントニックなんですね」
深川「そういうこと笑」
奈々未「ちょっと〜、師弟だけで盛り上がってないでさ」
〇〇「すいません笑 トニックウォーターは香草とか柑橘の皮とかが使われてて甘苦い炭酸って感じなんですけど、ビールと違って甘さもあるんですよね。それによって普段ビールを飲まない人も楽しめる食前酒になってるんじゃないかと」
奈々未「…そうなの?」
深川「そうだね。けど甘さに焦点を合わせすぎると食事の邪魔になっちゃうから、煎茶の苦みや渋みを少し加えてあげると、甘さをある程度抑えてくれる。苦い。渋い。は他の味と組み合わせると輪郭をつけてくれるの。キレが良くなるって表現もできるかな。これで食前酒からそのまま食中酒としても活躍できるでしょ?」

珈琲のブレンドのように、それぞれが持つ特徴をかけ合わせて、よりよい効果を得る。その掛け合わせは無限にあるから、知識と経験、あとは実践で見つけていくしかない。

〇〇「うーん、流石です」
奈々未「ちゃんと意味や理論があるんだね」
〇〇「…奈々未さん」
奈々未「何?」
〇〇「いつの間にかグラスが空です」
奈々未「…本当だ笑」
深川「じゃあ次にいこっか」
〇〇・奈々未「お願いします」

そこからも驚きの連続で。
抹茶とカカオのカクテルに、あんこを添えた抹茶のテリーヌのペアリングは甘みと苦みの組み合わせから生まれる相乗効果を遺憾なく発揮していたし、
玄米茶と山葵、炭酸のカクテルはその甘さをリセットする爽快感でまさにコースのように練られた提供順番だった。

深川「最後は〇〇の師匠として、少しお披露目しておきたいものがあるんだ」

目の前に用意されたのはワイングラス。

深川「散々理論とか、考え方とかを話したけど、やっぱり一番最初に出てくるのは、そのカクテルにどんな想いを込めるのか。
〇〇の場合は、
これから始める食事をより美味しくしたい。
今食べているものをより楽しませたい。
次の料理へのつなぎを円滑にしたい」

注がれる液体はやや赤のようなオレンジのような色合い。

深川「それを飲む誰かのため。
そのカクテルを作るに至った経緯や、想い。
それが最初の取っ掛かりになるんじゃないかな」

赤ワインか、もしくはオレンジか。
それはまさにそんなビジュアルをしている。

深川「番茶とソーテルヌワインのカクテルです」
〇〇「ソーテルヌっていうと…」
奈々未「貴腐ワイン、だよね?」
深川「うん、フランスのソーテルヌ地区で生産されてる貴腐ワイン」
〇〇「奈々未さんすごーい」
奈々未「やっといいとこ見せれた」
〇〇「いいとこしかないじゃないですか」
奈々未「はいはい、わかったわかった。カクテルいただこ」
〇〇「そうですね笑 いただきます」

香りは甘口のワイン。
口に含むと、シロップのような甘さが広がって、ふっと番茶の香りと甘さがするりと抜けていく。

〇〇「甘くて、美味しくて。けど甘すぎないというか…」
奈々未「ほとんどお茶の苦みや渋みを感じないんだけど…」
深川「出来る限り味に影響が出ない範囲で、番茶の苦みと渋みを使って甘ったるさがでないように調整してみたの」
〇〇「狙って出来るもんなんですか?」
深川「どうかなぁ。今回はなかなかいい出来だと思うけど、次回も上手くいくとは限らない。まだまだ試行錯誤中だしね」

この一杯のカクテルに、どれだけの時間や情熱が注がれているんだろう。

深川「〇〇は珈琲も扱ってるし、重々承知のことだとは思うけど、苦みや、渋み、酸味、場合によってはオフフレーバーになる要素も、決して敵じゃない。味方につけることができたら、きっと表現できることはぐっと増えるよ」

麻衣さんはニッコリ笑う。

深川「これが、今の私がお師匠として可愛い弟子に与えられるヒントのすべて」
〇〇「…ありがとうございます」
深川「もちろん、これからも精進するし、追いつかれないように成長して、胸張って〇〇のお師匠ですって言えるように頑張るよ」

ぐっと両の拳を握って、頑張るよのポーズ。
本当に可愛らしくて、ストイックで、素敵なお姉さんだなぁって改めて思う。

奈々未「いいインスピレーションは得れた?」
〇〇「はい、試したいことがたくさんできました」
深川「じゃあ、これ」

麻衣さんは僕に小さな巾着を渡す。

〇〇「これは…?」
深川「色々とお茶を詰め合わせたの。試作に役立てて」
〇〇「そんな、何から何まで…」
奈々未「弟子の力になりたい師匠の意を組んであげなよ」

そう言われてしまうと、何も言えない。

奈々未「ほら、色々試したくてウズウズしてるんでしょ? 私はもう少しゆっくりしていくから、先に帰りな」

心でも読まれてるのかな。
じゃあせめて…。

〇〇「あの、お会計…」
奈々未「なんと言おうが、1円たりとて払わせるつもりないから」

ピシャリと言い切られてしまう。

深川「うーん…、常連さんがこう言ってるから笑」
〇〇「…美味しいものを作ります」
奈々未「期待してる」
深川「楽しみ」

僕はしっかりと頭を下げて、お店を後にした。
この辺りの酒屋なら、遅い時間でもあいてるだろう。その後は24時間のスーパーによって…。
あ、こういうエリアならきっと遅い時間でもやってる花屋もあるはず…。
知らず知らず、僕は速歩きになり、いつの間にか駆け出していた。
この時は気づかなかったけど、今にして思えば、僕は確かに熱を帯び始めていた。ずっと待っていた風が、確かに吹き始めていた。


〜〜〜〜〜〜


それからというもの、兎にも角にも試作とギターの日が続く。
夜遅くまでカクテルの試作に没頭して講義の時間も寝過ごしたり、指と喉が疲れるまでBuddiesに籠もることもあれば、チャイティーヨの営業後もしばらく残って試作に励むこともあったし、素材集めに奔走する日もあった。時折歌いすぎと飲みすぎて声が吹っ飛んで飛鳥さんに怒られることもあったし、お客さんに心配される日もあった。

そして。

飛鳥「それじゃ、解説をお願いしようかな」
〇〇「はい」

迎えた試食会。
僕は4つのドリンクを提出した。

〇〇「まずはファーストドリンクとして、食前、食中酒を意識した2杯です」

それぞれワイングラスとタンブラーで提供。

〇〇「まずは、ワイングラスの方からどうぞ」
飛鳥「キザな名前つけたな〜。…味はうまい」
さくら「うん、おいしい!さっぱりしてて料理とも合いそう」
美波「ワインベースで、今回の前菜ともばっちりだと思う!美味しいよ!」
〇〇「ありがとうございます。じゃあ次はタンブラーのを」
飛鳥「また、大層な名前だなぁ。あ、味はうま」
〇〇「名前は正直美波さんイメージです笑」
美波「えっ、私!?」
〇〇「はい、美波さんから分けていただいたドライフルーツとハーブを使ってて…」
さくら「でもぴったりかも」
〇〇「ですよね?小野小町よりクレオパトラよりこのイメージなんですよね」
美波「ちょっと〜、恥ずかしいんだけど!」
飛鳥「もう酔ってんじゃないの?笑」
美波「飛鳥さん!」

パタパタと手で顔を扇ぐ美波さんをいじる飛鳥さん。ドリンク一つで話題や楽しい空気感が演出できるなら、それは冥利に尽きるってやつだろう。

〇〇「残りの2杯は食後に提供するイメージで考えて作りました」

こちらはロックグラスとゴブレット。

〇〇「まずはロックグラスからどうぞ」
飛鳥「これ、奈々未あたりからの入れ知恵だろ」
〇〇「すごい、よくわかりましたね」
飛鳥「あとで絶対文句言ってやる」
さくら「なつかしいですね笑」
美波「あったなぁ、そういう時代笑」
飛鳥「それ以上言ったら怒るから」
さくら・美波「すいません笑」
飛鳥「悔しいけど味はうまい」
さくら「デザートと合わせるのにもよさそう」
美波「うん、単体でも美味しいし、コンセプトもいい。チャイティーヨらしいね」
飛鳥「それで次は…ダジャレだろこれ」
〇〇「ダジャレです笑 けど言われたことありません?」
一同「ある」
〇〇「実際それをやってみるかと。さくらさんが時々作るスパイスカレーから、いくつか香辛料引用しました」
さくら「普段はルーを使ってカレーを作るんで、どうしてもスパイスの消費速度が遅いんですよね。それを改善する意味でも理にかなってるなって」
飛鳥「ふむ…、確かに在庫を新しく増やさないで済むのはいい点か」
美波「めっちゃ本格的。寒い中帰る前に体を温めるのにもいいね」
〇〇「前者2つは基本アルコール。後者はノンアルコールですけど、全部アルコールありなし、対応できるように作ってます」
飛鳥「気が利いてるじゃん?」
〇〇「チャイティーヨはあくまで喫茶店ですからね笑」
飛鳥「ふむ…、二人はどう思う?」
さくら「どれも美味しいし、チャイティーヨらしさも、〇〇らしさもあっていいなって」
美波「うん。私もテーマに合ってるし、食事にも合いそうなので、どれもいいと思います」
飛鳥「…私も異論ないかな。4種とも採用で」
〇〇「…よし!」

僕は思わずガッツポーズ。

美波「メニューに軽く構成や解説載せたいから、文章考えといてくれる?」
〇〇「了解です!」

緊張した。
どれだけ自分なりに想いや、美味しさを詰め込んでも、それは主観的な思い入れに過ぎない。
人に提供して、楽しんでもらって、気に入ってもらえて初めて、それは客観的価値を有する。
ただ自分が楽しい。
それもいいけど、やっぱり、誰かとそれを共有できることは素敵なことだ。
改めて思う。
僕は食べ物や飲み物、空間を通して、誰かを笑顔にするのが好きなんだ。


後日、美波さんがデザインして刷ってきてくれたメニューが出来上がった。
2種類のコースの内容と解説、通常のドリンクメニュー。そして、僕が考えたドリンクのメニュー。


Recommend Drink
“茶人のスプリッツァ”
ウォッカ 柚子 白ワイン 煎茶 トニック
ワインを炭酸で割るスプリッツァをより軽快に、より爽やかにツイスト。
お師匠への敬意をこめて。 

“楊貴妃ジンソニック”
烏龍茶 ドライフルーツ ドライフラワー ハーブ
ジン ソーダ トニック 
紅茶に近い発酵度の烏龍茶に、シェフの自家製ドライフルーツを始めとした素材をブレンド。それらを浸漬したジンを甘くなりすぎないように、ソーダとトニック半々で割るプレススタイルで。
楊貴妃ブレンドはハーブティーとして提供できますので、スタッフにお申し付けください 
※ポットでの提供になります。

“バリスタのいちごみるく”
自家製いちごシロップ ミルク エスプレッソ
自家製のいちごジャムをアレンジしたシロップをミルクで割り、そこに+エスプレッソ。
甘いだけじゃない、ちょっと大人ないちごみるく。
オーナーへの感謝をこめて。

“チャイティーヨのチャイティーラテ”
アッサム 加賀棒茶 シナモン カルダモン
クローブ ブラックペッパー ジンジャーパウダー  ミルク 
申し訳ありせんが、チャイティーヨはチャイティー専門店ではありません。
ランチタイムの名物、スーシェフお手製のカレーから着想を得て、スパイスをしっかり使ったマサラチャイをラテ風に。アイスでもホットでも。


名刺もそうだけど、こうやって形になるって、なんだかぐっと来る。
あとは…。


〇〇『いつもありがとうございます。〇〇です。
この度、〇日にチャイティーヨにて完全予約制でコース料理を提供するイベント、“ビストロチャイティーヨ”を開催いたします。
メニューは添付した写真をご覧ください。
当日は僕の考えたドリンクも提供します。
是非遊びに来てね』


常連の子達にLINEを送る。
人事は尽くした。
あとは天命を待つのみ。



〜〜〜〜〜

〇〇「ふぅ…」
飛鳥「なに、緊張してんの?」
〇〇「…そりゃあしますよ」

イベント当日、僕は柄にもなくソワソワしていた。
いつもはただただ楽しいイベント営業だけど、今日という日はそうも言っていられない。
受け入れてもらえるかな、楽しんでもらえるかな。そんなことばかり頭によぎってしまう。

飛鳥「せっかくの晴れ舞台なんだから、もっと楽しみなよ」
〇〇「まぁ、そうなんですけど…」

そう簡単には行かないんですよ、これが。

飛鳥「ふーん…。じゃあ特別に今日は〇〇が好きなレコードかけさせてやろう」

飛鳥さんはいつものスペースに移動。

飛鳥「ほら」
〇〇「…はい」

僕もそれに続く。

飛鳥「なんにする?」
〇〇「…じゃあ、チェット・ベイカーを」
飛鳥「はいはい。…ごめん、取って」
〇〇「はい笑」
飛鳥「チビだと思ったでしょ」
〇〇「思ってませんよ笑 今日は飛鳥さんより小さい子も来ますし」
飛鳥「その言い方は小さいやつに対する言い回しじゃね?」
〇〇「それは被害妄想というものですよ」
飛鳥「どーだか」

スピーカーから音楽が流れ始めると、キッチンから美波さんとさくらさんが顔を出す。

〇〇「…それでは、ビストロチャイティーヨ、開店します!」
一同「よろしくお願いします!」

気合を入れて入口を開く、今日の夜営業がイベントであることを表記したA看板を出すと、最初のお客さんがやってくるのが見えた。

アルノ「…来ました」
〇〇「こんばんわ。2人はだいぶ久しぶりだね」
茉央「お久しぶりです!」
奈央「先輩、全然軽音部に顔出してくれないんですもん」
〇〇「ごめんね。色々あってさ」

アルノと軽音部の子達。
一人で来ても勿論歓迎するつもりだったけど、僕らはお互いにボサッとしてると孤立しがちだから、こういうときくらい仲間連れでもいいんじゃないかって、少し話をしておいた。

〇〇「どうぞ。ご予約の中西様3名様です」
飛鳥「はーい」
茉央「中西様やって笑」
アルノ「なんかむずがゆい…」
〇〇「アルノ様の方が良かった?」
アルノ「やめてくださいよ!」
奈央「この感じ懐かしい笑」
〇〇「申し訳ないんだけど、カウンター席でお願いします」
アルノ「いいですよ、先輩カウンター立ってるんでしょ?」
茉央「あっ、しれっとイチャつこうとしてる」
奈央「そういうこと?」
アルノ「してない!」
〇〇「はいはい、とりあえず座ろうね」

3人をカウンターに案内すると、すぐに次のお客さんがやってくる。

和「こんばんわ」
〇〇「和ちゃんこんばんわ。咲月ちゃんもいらっしゃい」
咲月「美味しいもの食べれるって聞いて来ちゃいました笑」
〇〇「それについては保証するよ。美味しいから」
和「食いしん坊だなぁ笑」
咲月「ちょっと!」
〇〇「仲いいなぁ笑 カウンターにどうぞ」
和「ありがとうございます」

そして前半の部最大人数のお客様。

天「来ましたよ」
〇〇「ありがとう。なんでそんなドヤってるのかはわかんないけど笑」
夏鈴「天ちゃん早く入って。後ろつかえてるから」
ひかる「こんばんわ。誘ってくださって、ありがとうございます」
〇〇「どういたしまして、予定あってよかったよ」
ひかる「いえいえ、言ってくれたら予定空けますよ笑」
天「いつの間にか仲良くなってるし」
〇〇「これくらい普通だって。それで、後輩ちゃんは紹介してくんないの?」

3人の後ろに、2人、少し緊張した面持ちで控えている。

天「先に言っておきますけど、手出したら、手、出しますからね」

拳を握りしめる天ちゃん。
上手いこと言ってるけど怖いからね。
それ、脅しだからね。

瞳月「山下瞳月です」
美青「ま、的野美青です」
夏鈴「2人とも、フルーツサンドが美味しかったらしくて。差し入れくれた人がイベントやるって言ったら是非来たいって」
〇〇「そうなんだ!ありがとう、すごく嬉しいよ」

素直に嬉しかったから笑顔でそう言うと、天ちゃんと、夏鈴ちゃんは何故か2人の目を防ぐ。

天「まだ早い」
夏鈴「目に毒だから…」
〇〇「2人共、僕にも人並みに傷つく心あるからね」
ひかる「笑」

ひかるちゃんはめちゃくちゃ笑ってるし。

〇〇「テーブル席どうぞ」

普段のチャイティーヨは4人がけまでしか用意していないけど、今日は2名がけをくっつけて6人まで対応出来るように準備してある。
皆が席についたところで、キッチンから美波さんが出てくる。

美波「みなさん、今日はご来店ありがとうございます。これからドリンクを伺って、順次お料理を提供していきます。楽しんでいってください」

その言葉を合図に僕と飛鳥さんは、ファーストドリンクのオーダーを取りに動き出す。
  

〜〜〜〜〜〜


〇〇「どうだった?」

一通り提供が終わり、僕はお冷を注ぎながら各席を回る。

茉央「めちゃくちゃ美味しかったです!」
奈央「お料理も飲み物も!」
〇〇「よかった〜」
アルノ「……」
〇〇「アルノはあんまりだった?」
アルノ「どれも美味しかったです…。師匠ってどんな人ですか?」
〇〇「お師匠? どんな人…。 うーん可愛らしくてストイックな人、かな」
アルノ「やっぱり」
〇〇「?」
茉央「知らない交友関係が増えてて驚いてるんですよ」
奈央「先輩あんまり人と絡むタイプじゃなかったから」

後輩公認ぼっちとは。

〇〇「皆が20歳になったら、お師匠のお店に連れてってあげるよ。あと、もっとみんなと話す機会も作る。卒業から今までの話とかもね。ごめんね、心配かけて」
茉央「楽しみにしときます」
奈央「やった〜」
アルノ「絶対ですよ」

可愛い後輩達の席から離れると、次の席へ。

〇〇「今日はありがとね」
和「どれも美味しかったです!」 
咲月「ホントに。ちょっと大人な気分です」
〇〇「うちのシェフの料理はどれも美味しいから、負けないようにドリンクの考案も頑張ったよ」
和「チャイティーヨはいつもドリンクとのマリアージュとかペアリングが楽しいです」
〇〇「ありがとう。和ちゃんはいつもめいっぱいチャイティーヨを楽しんでくれるから僕も嬉しいよ」
咲月「常連って感じでちょっとカッコイイよね」
和「そうかな?笑」
〇〇「咲月ちゃんも十分常連だと思うよ笑」
咲月「え、ホントですか?嬉しい〜」
〇〇「これからもよろしくね」

続いてはダンス部の席へ。

天「美味しかったぁ〜」
〇〇「何よりです。ソースまでしっかり堪能してくれてたよね」


カジュアルコースのメインはハンバーグだったんだけど、たっぷりと赤ワインベースのソースを乗せたもので、天ちゃんはパンを追加して、お皿からソースがなくなるくらい綺麗に食べてくれた。

天「幸せ〜」
〇〇「よかった。誘った甲斐があるよ」
夏鈴「コース料理ってあんまり経験なかったんですけど、ちゃんと順番とかに意味があるんだなって思いました。すごく美味しかったです」
〇〇「僕も前はそう思ってたよ。でもこの順番だから、この美味しさや楽しさがあるんだよね」

ふと気づくと、ひかるちゃんがじっとこちらを見ている。

〇〇「どうかした?」
ひかる「あ、その、〇〇さんはバーテンダーもやってるんですよね?」
〇〇「うん。このお店、今日みたいにたまに夜にも営業する日があって、その時はお酒も作ってるよ。今回みんなに出したのはノンアルコールにアレンジしたものだけど、作り方や発想はバーテンダーの知識とか技術で考えたり作ったりしてる」
ひかる「そうなんですね…。かっこよかったです」
〇〇「ホント?それは嬉しいな。是非夜営業にも来てね。20歳になったら、好きなお酒を見つけるお手伝いもするよ」
ひかる「…楽しみにしてます」
〇〇「うん、僕も楽しみにしてる」

なんか天ちゃんと夏鈴ちゃんの視線が痛い。
気がする。

〇〇「後輩ちゃん達はどうだった?」
美青「は、はい!美味しかったです!」
瞳月「緊張しすぎちゃう?」
美青「だ、だってさ…」
〇〇「こういう場って、やっぱ慣れてないとちょっと緊張するよね笑」
美青「あ、はい…笑」
〇〇「全然肩肘張らずに過ごしてね。ここはそんな格式張ったお店じゃないから笑」
美青「はい…笑」
瞳月「また、普段の営業の日も来たいなって思いました」
〇〇「ぜひぜひ」
天「2人は来年の春から、Buddiesでバイトするんですよ」
〇〇「そうなんだ!じゃあ会う機会も増えそう。瞳月ちゃんも美青ちゃんも、よろしくね」
瞳月・美青「よろしくお願いします」
夏鈴「……」
ひかる「私の時は最初苗字呼びだったのになぁ」

あれ、なんだろうこの空気。
あと天ちゃん。
指をポキポキ鳴らすのはやめようね。
指太くなるって言うからね。

〜〜〜〜〜

デザートまですっかりテーブルから消える頃、キッチンから美波さんとさくらさんが出てくる。

美波「今日はありがとうございました。綺麗に食べてもらったお皿が帰ってくるたび、幸せな気持ちに成れました」

深く頭を下げる美波さん。

美波「次の機会がありましたら、是非よろしくお願いします」

客席から、誰からともなく拍手が起こる。

美波「ありがとうございます。次に、うちのバーテンダーからお知らせがあります」
〇〇「今日は本当にありがとうございました。お知らせなのですが、来月、近所でライブをやらせていただくことが決定しました」

ちょっとした驚きの声と、拍手。

〇〇「もし興味がありましたら、お会計の際にでもお声がけください。チケットも用意してあります」

一礼。

〇〇「では、次のお客様がくるまでもうしばし時間がありますので、ごゆっくりお過ごしください」

〜〜〜〜〜

アルノ「あの!」

話を終えて、カウンターからレジへ向かうとアルノが声をかけてくる。

〇〇「そんなに焦らなくても笑」

僕はレジの引き出しからチケットを取り出す。

〇〇「ごめんね、都合も何も考えずに言うよ。アルノには絶対来て欲しい」

チケットを手渡し、僕は珍しくそんな事を言った。

アルノ「…行きますよ…絶対」
茉央「私達も行きますからね」
奈央「いいですよね?」
〇〇「もちろん」

席に戻ったアルノは、しばらく宝物みたいにチケットを胸元に抱きしめていた。
その光景を、僕は一生忘れないだろうと思う。

飛鳥「一仕事終えた所悪いけど、夜はまだまだこれからだからね」
〇〇「わかってますよ」

学生達が帰った後は大人たちの時間。
奈々未さんや麻衣さん、美月さん達。
ハマさんも噂のモリタロウさんと来てくださるそうだし、さくらさんも同期の方々をお誘いしているそうで、前半の部より忙しくなりそう。
けど、

〇〇「楽しみですね」
飛鳥「…まぁね」

何でも誰でも、どんと来い。って感じだ。


乃木駅から徒歩6分ほど。
カウンター5席、2名がけテーブル席2つ、
4名がけテーブル席1つ。
毎週水曜定休日。

喫茶チャイティーヨ

本日は夜のイベント営業の準備のため、
喫茶は16時閉店となります。
イベント営業は事前ご予約のお客様のみとなっておりますので、悪しからずご了承くださいませ。


来たる日と皆様と。  END…




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ライナーノーツ。

今回は縁故と貴女と。で少しだけ触れた〇〇の師匠としてまいまいに登場してもらいました。
師匠の存在は割と最初から考えていたんですけど、
設定が変わったりした影響で登場させるか分からない状態だったんですけど、〇〇の新しい挑戦に際して、お知恵を借りるべく登場となりました。

喫茶チャイティーヨのメインストーリーはおそらく次とその次に書くエピローグで終了の予定です。
その後は短編をちょこちょこ更新するかな?と言う感じになると思われます。
ぜひ最後までお付き合いください。

次回はライブ。
透明少女と僕と。
よろしくお願いします。


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