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思いやり。

???「お疲れ様でーす!」

新シングルの選抜に選ばれて、その上、ヒット祈願を行うメンバーに選ばれて。
やってやるぞって気持ちは本当に強かった。
けど、実際取り組んでみると、挫けそうなくらい高いハードルで。
心折れちゃいそうな時、フロントのお三方が応援に来てくれた。そして、お三方の付き添いで来ているんだろう〇〇さんも。

天「早い早い!まだ早い!」

どうしてこういう時、泣いちゃうんだろう。
いつもそうだなって、最近良く思う。

璃花「本当にくじけそうだった…」

でも泣いてばかりも居られない。
伝えなくちゃいけないことがあるから。

璃花「良かったらなんですけど…」

ジャージもしっかり着てくれてるし。

璃花「PV参加していただきたい…」
天「…歌いますか?笑」

おちゃらける山﨑さん。
隣で謎の踊りを踊る森田さん。
それを見て微笑む藤吉さん。

ひかる「あれやるの?」
夏鈴「ムリムリムリムリ」

いつも、どこでも、やっぱり先輩達はあっという間に雰囲気を作ってしまうなぁって。
カッコよかったり、可愛かったり、面白かったり。

スタッフ「はーい、では一旦止めて準備しまーす!」

お三方と連続タップに挑戦。
かなり難しそうだけど、うまくいくかな…。

〇〇「はい、3人は入念にアップして〜」

カメラが止まると、〇〇さんがパンパンと手を叩いてそう言う。

〇〇「準備運動不足で怪我とかマジで辞めてや〜」
夏鈴「…なんか仕切りだした笑」
ひかる「自分は別に何もしないのに笑」
天「なんで張り切ってるの?笑」
〇〇「なんなんめっちゃイジるやん!?」
夏鈴「…カッコつけてる」
ひかる「あっ、そういうこと?」
天「いいとこ見せようとしてる!」
〇〇「はよ準備せぇ!」
フロント3人「はーい」

〇〇さんは私と優の方へ。

〇〇「2人はちょっと休憩な」
優「はい!」
璃花「あっ、はい!」
優「△△さーん!!」

優はトテトテと△△さんの元へ走り寄っていく。

〇〇「優は△△にべったりやな〜笑」
璃花「…たぶんしーちゃんと美青ちゃんがいないので、余計にかと…笑」
〇〇「なるほどなぁ笑」
璃花「…あの」
〇〇「ん?」
璃花「…少しお話いいですか?」
〇〇「もちろん。…ちょっと座ろか」
璃花「はい…」

私達は休憩スペースに腰掛ける。

璃花「その…、こないだ美青ちゃんからバレンタインにチョコをもらいまして…」
〇〇「あぁ!配信の企画のやつな?」
璃花「はい…。あの企画のことで△△さんと少し話したんです」

嬉しかったから。
お礼も兼ねて。

璃花「実際企画通したのは俺だけど、色々〇〇さんが口添えしてくれたって」
〇〇「まぁ手伝いはしたけど、元々は美青が璃花にお礼がしたいって言ったんが発端やし、△△がそれを実現したいって言うてから手伝っただけやで」
璃花「…ありがとうございます」
〇〇「だーかーらー、手伝っただけやって」
璃花「…それでも、ありがとうございます」
〇〇「はいはい笑」
璃花「…いいんですかね、こんな幸せで」

櫻坂に入れて、大好きな推しの方にケーキを作ったり、そのお礼に一緒におでかけしたり、大好きな同期にチョコをもらったり。
部不相応な幸せを貰いすぎてる気もする。
それに…。

〇〇「璃花がそれだけ皆に色々幸せをあげてきたからやない?」
璃花「えっ…」
〇〇「璃花が周りに思いやりを持って接してきたから、思いやりを持って接されるんやで」
璃花「私が…?」
〇〇「そう。人に優しくしたら、人に優しくしてもらえんねん。人を思いやった分だけ、人に思いやってもらえる」

〇〇さんは優しく笑う。

〇〇「人に幸せをあげたぶん、人から幸せをもらえてるんやろ、璃花の場合」
璃花「……」
〇〇「素直に受け取って喜んどき。愛情もって接した分、愛情を向けてもらえてるんや〜って」
璃花「……そうですね笑」

じゃあ、私が愛情を向けたら、貴方も…。

天「いつまでやってんのー!?」
ひかる「もう準備万端なんですけども」
夏鈴「……」

いつの間にか御三方が腕組みして待機中。

璃花「すいません!」

慌てて立ち上がって、合流する。

〇〇「カッコいいとこみせてくれんのパイセン?」
天「もちろん!」
ひかる「任せてくださいよ」
夏鈴「…自信ありますけどね、私」
〇〇「頼むでホンマに〜笑」

嬉しそうに、頼もしそうに笑う〇〇さん。
ちょっとだけ。
本当にちょっとだけ、嫉妬してしまう。
そんな風に、思ってもらえるのが、羨ましいなって。

スタッフ「では始めまーす!」

夏鈴「イヤァッ!」

ひかる「ヴァッ!ヂョッ!」
〇〇「前フリ効きすぎやろ笑 狙ってんの?笑」

先輩達の悪戦苦闘を見て笑う〇〇さん。

美羽『…最近、そこさくとかで笑い取るの、楽しい』

美羽が言ってる意味が、少しわかった気がする。
思いっきり笑って、思いっきり褒めてくれて。
そんな風に接されたら、嬉しくなっちゃうよね。

ひかる「〇〇さんは出来るんですか?」
〇〇「それくらい出来るやろ〜」
夏鈴「絶対嘘」
〇〇「どんだけスラムダンク読んでると思ってんの?笑」
天「それ関係ないでしょ笑」
〇〇「成人男子なめんなよ〜」
ひかる「じゃあやってみてください」
〇〇「上等」

ジャケットを脱いで軽くストレッチする〇〇さん。
これでバスケも出来たらちょっと出来すぎじゃないかな…。

〇〇「ネェイ!」
天「掛け声キモい笑」
夏鈴「やっぱ出来ないじゃん…笑」
ひかる「前フリ効きすぎでしょ笑」

似たもの同士だから、仲いいのかな…笑
カッコ悪いのに、それも悪くないかな、なんて。
けどやっぱり、仲良くて羨ましかったり、ちょっとだけ、妬ましかったり…。


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