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復興という言葉の重み
2024年12月13、14日にかけてイノベ地域の価値発掘ワークショップツアーに参加した。
以前福島県の南相馬のイベントに参加したことがあり、それがきっかけで今回のイベントに誘っていただいた。最初は参加するか迷っていたが、他のツアー参加者から行こうと誘われたことで参加を決意した。
このツアーは福島イノベーションコースト構想推進機構(福島イノベーションコースト構想は福島県浜通り地域に新たな産業基盤を構築することを目的としている)が主催しているもので、今回は2日間にわたり福島県浜通り地域の農家さんや農業施設を巡り、農業の現状について理解するとともに農業副産物の利活用について考えるという内容であった。
特に印象に残ったのが福島県双葉郡大熊町にあるキウイ園「キウイの国」の訪問だった。現地に着き、まず畑に案内された。当たり前だが、畑には耕された土があり、キウイの蔓を這わせる棚と呼ばれるものが設置されていた。ぱっと見た時にそれらの光景は普通の畑のように感じた。
そして農家さんからお話しを伺った。震災後、梨の木やキウイの木、そして畑の表土も除染のためにすべて処理され更地になっていたこと、そもそも町全域に避難指示があったため人が入れなかったこと、2019年にやっと町の一部が避難指示を解除されたが現在でも立ち入り制限区域があること、を教えてもらった。
この話を聞き、ここの畑に対する見方がぐるりと変わった。いま私の目の前に広がる畑はここ数年のに努力よって農業として形になったものであり、2011年から10年以上たった今でも復興に向けた活動が続いているのだ。この事実に直面し、震災を「過去の出来事」として捉えていた自分に気づきハッとさせられた。
東日本大震災のことは知っているつもりであったし、当時それをテレビ越しに見た時の衝撃は今でも覚えている。しかし、今回のツアーで現地を訪れ、直接話を聞くまでは、どこか「遠い出来事」のように感じていたことに気づかされた。震災から10年以上が経った今も、復興に向けて努力を続けている人たちがいる。その事実を、自分はどこまで意識できていただろうか。自分の中で「復興」という言葉の重みが増した気がする。
「知っている」と思うのは簡単だが、本当に理解するためにはもっと自分から関わり、歩み寄ることが必要なのではないかと感じた。
まだ知らないことはたくさんあるが、知らないままで終わらせるのではなく、関りながら一歩ずつ前に進むことで、新たな視点や気づきを得られるはずだ。
この春はさらに色々な事に触れ、刺激を受けながら「知らない私」をみつけていきたい。
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