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買うつもりはなかったのだけれど (7)

自分が空き家バンクで古民家を買っておいてこんなことをいうのもなんだが、空き家だからといってあわてて売りに出さなくてもいいのでは、と思うのである。いったん地縁血縁を離れ人手にわたってしまった不動産はもはや分譲住宅と同じ、お金だけを対価にやりとりされる商品になってしまう。
最初に売る相手は、変な人や近所に迷惑のかかるような人は避けることもできるが、その先はコントロールできない。

例えば若いカップルが買ってくれて、本当にその場所を気に入って近所とも仲良く暮らしていたとしても、子供ができて大きくなってくると教育環境が気になりだす、田舎には最低限の公立校しかなくて進学校などは通える距離には皆無、どうしよう。高齢になって病院通いが苦になりだしたら、なんていうときもそうだ。
古民家を買って田舎に住むことを自分で決断した人は、状況が変われば不動産を処分して他へ引っ越すことも決断できる人だ。あっさり売ってしまっても不思議ではない。

まあそうは言ってもいい人が長く住んでくれて何事も起こらないかもしれないのだけれども、手放すことで不動産の性格が従来とは違うものになるということは考えておくべきだと思う。売らずに持っておくという選択肢もあっていいと思うのだ。

ここのところ、にわかに空き家の存在そのものが「悪」であるかのようなことを言う人が増えているけど、いうまでもなく個人の財産をどうするかは持ち主の専権事項である。それを第三者が「空き家にしておくのはいけない」「空き家にしておくと怖い事が起きる」といった価値観をうえつけて特定の方向に誘導しようとしているのが現状で、空き家空き家と言って騒ぐことで、今まで気にしていなかった近隣の人たちまでが何かとても危険なもののように思いはじめるのも問題である。

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