保育園の洗礼
何事も経験しないとわからない、とはよく言うけれど、子どもを生んでからというものまさに想像を超えることの連続でして。
「保育園の洗礼」なんていう恐ろしい慣例が我が日本に存在することを知ったのも、子どもを生んでからのこと。
(「保育園の洗礼」は、簡単にいうと保育園へ行き始めた子どもが次から次へと風邪や胃腸炎などの感染症にかかること。それまで、自宅でぬくぬくと育ってきたまだ免疫の少ない子どもたちが、保育園というあらゆる菌の巣窟に放り込まれて、打ち負かされていく現象である。だいたい入園から2週間ほどで始まるといわれている。)
この春から保育園に通い始めたうちの2歳も、例に漏れずこの「保育園の洗礼」を受けた。
「保育園の洗礼」については、わたしも噂に聞いていたし、それなりに覚悟はしていたつもりだったが、それでも甘かった。これは、かなりキツい。
まず、想定外のことが2つばかりあった。
菌の強さと、2歳✕病気の相性の悪さ。
自慢じゃないが、うちの2歳は体が丈夫な方だと過信していた。
赤ちゃんの頃から、外によく連れ出していたし、多少汚いことも止めずにやらせるようにしてきた。
支援センターや親子教室にもよく連れて行っていたけど、風邪ひとつひかない子だった。
それが、入園から2週間で見事にダウン。
病院で診てもらったが、インフルエンザとかコロナとかそういうウイルス四天王的なやつでもなく、ただの風邪とのこと。
なんなん、保育園の菌。強すぎやろ。モブでこのレベル…
というか、一緒の教室で過ごしている先輩園児方は誰一人休んでおらず、ピンピンしてるんやが、こっちも強すぎんか。
というわけで、うちの2歳は三日三晩39℃超えの高熱に苦しむこととなった。
そして解熱。
本当の戦いはここからだった。
わたしたちは2歳児の本領を見せつけられることになる。
解熱後のまだ本調子ではない2歳、とにかく機嫌が悪い。
もともと、イヤイヤ期と呼ばれる難しいお年頃に加えて、体調不良から来ているであろう苛立ち。
地雷が隙間なく埋められている。
ゼリーを所望していたので持っていったが、ぶどう味じゃないことに立腹し噴火!ということがザラ。
ご飯は断固拒否、ゼリーを寄こせ、いちごが食べたい、外へ行かせろ、家には入らない、YouTube見せろ、この動画はイヤだ、その動画もイヤだ、次の動画も違う
というような感じで、一日中地団駄踏んで怒り狂っているような感覚。
そういえば、こんなこともあった。
ゼリーが食べたいというので渡すと立腹。
味が気に入らないのかと思って選ばせるも、まだ怒っている。
為すすべがなくなり、わたしが虚無と化していると、ゼリーを床に出して満足そうに舐め始めた。
どういうこと…?
ゼリーを床ごと舐めてみたかった、という感じでいいのかな…?
もうわからない。
保育園は結局丸々1週間休んだ。
ちなみに2歳のあと、9ヶ月が発熱。
次の週には、わたしが10年ぶりくらいに発熱し3日3晩高熱で寝込んだ。
「ただの風邪」と診断されたのが腹立つくらいしんどかった。
あと、元気な子どもと弱った大人の組み合わせは最悪。
こんな感じで、わが家の洗礼vol.1は2週間を超える激闘の末、ようやく終わりが見えてきたのだった。
聞くところによると、「保育園の洗礼」は数ヶ月にわたって手を変え菌を変え(?)あと何回かやってくるものらしい。
また同じようなことをやるなんて考えただけでも白目を剥きそうだ。だいたい洗礼なんて1回で十分なもんじゃないんか。
保育園の洗礼を乗り越えた全父母に敬意を。