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シンニンギアとエアプランツ
かねてから、室内にいい感じのツタが這っていればいいなと考えていた。
“グリーンでおしゃれなインテリア”を演出している家々は、必ずと言っていいほど植物が壁や窓を良い感じに這っている。少なくともそのイメージがある。
ツタといえばポトスとか、蔓性の植物の出番だろう。しかし、筆者は蔓性の植物が伸びる姿が少しばかり怖い。しかも肝心のポトスはベランダー初期に飽きてからというもの、切れ端ですら姿を消している。
自然体で栽培を続けていれば、自然にその自然界の姿が現れるだろうと考え、自然に任せて過ごすことにした。
そして、やっぱり自然は裏切らなかった。
予想外にも、冬の間室内に取り込んでいたシンニンギア上海の女王が這い回り出したのだ。
室内の温度のおかげで葉を落とさず、室内の無風のせいで徒長しまくった茎は伸び放題になり、そのうち倒れるなり折れるなりするだろうからどこをカットして何本挿し木しようか、などと考えていたその頃、女王のほうでは天まで折れずに生き伸びる手段を考えていたのだ。シンニンギアが拠り所に選んだのは、エアプランツのウスネオイデスだった。
エアプランツへの情熱にかられていた頃、何かのイベントで五百円で買ってきて、嬉しさのあまり窓辺に吊り下げたウスネオイデスである。そして数週間後すぐに飽きられ、ぶら下がったまま枯れるのを待たれていたウスネオイデスである。真冬の窓辺、水やりなし、そろそろかなと睨んでいたこの頃。筆者から必要とされなくなり、緑色を失い始めていたウスネオイデスは、シンニンギアから頼られしがみつかれて、第二の人生を始めている。
当初の予定では、春が近づくとシンニンギアは植え替えてベランダに出すつもりであり、水分を失っているウスネオイデスのほうは春夏の日差しでついに滅びる計算であった。しかし、シンニンギアの茎が壁を横断してウスネオイデスを登っていく様はどこまで続くのか観察に値する。部分的にではあるが、望んでいたツタが這い回るインテリアが出現しているのだ。
こんな景色になったらいいなと思い描いていたことが、予想とは違う植物で現実になった。自然に任せる。自然の力というのはすごいものである。
しかし、筆者はシンニンギアの花をみたいとも願っているのである。このまま室内を徘徊させ続けるわけにもいかないだろう。