アクアセル
株式会社ハクサンというところが、アクアセルという園芸資材をプロデュースしている。ハクサンは、あの有名なPWが関係している会社らしい。
どんなにお勧めされてもアクアセルを買うつもりはなかった。やっと水苔をマスターしたところで、資材をこれ以上増やしてどうしようか。水やり技術もレベルアップしてきた(はず)で、その微妙な加減というものが園芸の楽しみであるはずで、それをアクアセルに譲ってよいのか。
しかし、このアクアセルというのは車のシートの廃材でできているらしく、アクアセルは「土を買う必要がなくてエコ」「ポットもそのまま使えるからゴミも減る」という話を聞いて、SDGsだなあと思い、試してみることにした。
アクアセルはシート型とキューブ型がある。シート型は、そのシートを湿らせて上に苗を置いておくという底面給水布のようなもの。乗せておくだけで植物が育ち、シートを湿らせておくだけでいいので水やり加減のわからない初心者でも安心、かつ、植物の根がシートから好きなときに好きなだけ水を飲むので徒長もせずによく育つとのこと。シートの上は夏は涼しく冬は暖かいらしいので、植物の夏越し/冬越しも容易になるのではと密かに期待している。キューブ型はそのシートをサイコロ状にしたもので、植え込みや切り花などに使えて便利らしい。
実際に試してみて、いいことずくめである。もちろん、置いておくだけで100%放ったらかしでよいわけではないし、お気に入りの素焼き鉢が使えないというデメリットはあるが、工夫次第で園芸ライフが非常にラクになりそうである。多肉植物の葉挿しも、湿ったシートに乗せておくだけで発芽していた。洋蘭をきっかけに土によらない栽培を始めているので、ハイドロカルチャーならぬアクアセルキューブ栽培もできるのではないかと目論んでいる。(しかしこれは水耕栽培と比べての利点が想像できないでいる。)
しかし、そもそも土を使わない栽培に興味を持ったのは、アンスリウムを咲かせる方法を調べまくったときに、福島県のとあるアンスリウム農家の記事を読んだのがきっかけである。原発の事故で福島から鉢花を出荷できなくなったとき、その農家では土を使わない栽培を始めた、という内容だった。人間が科学技術を持ち、自然を操れると思ったせいで、土から離れて生きざるをえなくなったのだ。
いろいろと調べていくと、廃材や衣類などのリサイクルによる栽培基材は様々開発されているようだ。自然破壊の責任がリサイクルの活用でとれるとは思えないが、微力にもならないとしても、ベランダでできることがあるなら続けていきたい。
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