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自閉症児との長距離移動:飛行機か新幹線か問題
娘が初めて飛行機に乗ったのは生後6か月の時、私の実家への帰省のための約1時間のフライトでした。当時はまだ自閉症の診断も出ていませんでしたが、以来、海外も含めて何十回と娘と一緒に飛行機に乗る機会を重ねてきました。
その親としての経験を踏まえると、お子さんの特性や状況によるとは思いますが、子連れでの移動には新幹線よりも飛行機がおすすめです。その理由は以下に述べます。
1. 航空会社は子連れに優しい
娘が乳児(2歳未満)の頃、空港でのチェックインの際にグランドスタッフの方が「後方のお座席でもよろしければ、1列空いているお席をご案内できます」と提案してくれることが度々ありました。言うまでもなく隣に他のお客さんがいない状況は、子連れにとって非常にありがたいものです。
搭乗後もベルト着用サインが消えた後は、隣の席に乳児を座らせることができ、さらにドリンクサービスで子供や子供連れにはカップに蓋をつけてくれたり、子ども向けの記念品を頂けたり。また、ベビーカーを無料で預けられるサービスにも助けられました。
一方、新幹線の指定席車両を利用する場合は、たとえその車両に2~3組しか乗っていない時も空いている席に乳幼児を座らせることは認められません。上の棚の荷物を取るために子供を隣の席に置いているのを車掌さんに見つかると、即座にその座席料金を支払うよう要求されます。
それが規則であるのは理解できますが、(購入していないであろう)隣の席にずっと巨大な荷物を置いている男性客には何も言わないのを目にすると、正直なところモヤモヤさせられたものです。
2. 航空機は周囲の乗客も優しい(ことが多い)
娘が赤ちゃんだった頃、機内で泣いてしまうこともありました。ただ降りる際に周囲の方に謝ると、多くの方が本当に優しい声をかけてくれました。
“私も3人育てましたから、子どもの泣き声には慣れていますよ。”
“全然泣き声は気になりませんでしたよ。”
これに対して、新幹線では舌打ちされたり、ピリピリした空気を感じることがあり、謝る隙さえ与えられないこともありました。
たまたまかもしれませんが、飛行機では利用者が名前を明かして搭乗し、機内ではトラブルがないか客室乗務員が目を光らせている一方、新幹線は基本的に匿名利用であり、困りごとがあっても鉄道会社のスタッフの助けを呼びづらい環境であることも影響しているように思えます。
3.急な予定にも対応しやすい
子連れでの移動は、必ずしも前もって計画を立てられるとは限りません。年末年始の帰省やGW、夏休みなどは計画を立てやすいものの、冠婚葬祭など急な移動が必要になることもあります。
新幹線の場合、空席に余裕があっても、2席並びで座席を確保できないことが多々あります。大人だけなら問題ありませんが、小さな子どもを他人の間に座らせるわけにはいきません。それを避けようと車内で座席交換をお願いしようとすれば、“子持ち様”と批判される恐れもあります。
一方、飛行機の場合は子連れや介護の必要な人のために座席を一定数ブロックしている航空会社が多いため、予約後に相談すれば親子で隣同士の席を調整して頂けることがほとんどです。
4.障害者割引を受ける場合もオンライン購入できる
発達特性のあるお子さんの中には、手帳を取得されているお子さんもいらっしゃると思います。
割引頂けるのはありがたいことですが、新幹線の場合、(ただでさえ数が減っていつも混雑している)みどりの窓口に並ぶ必要があります。これが結構、発達特性のある子どものいる親には負担です。
一方、日系の航空会社の場合、障害者割引のチケットもオンラインで購入が可能。手帳の提示はチェックインの時で良いので、事前に窓口に並ぶ必要がありません。
結論
私たち家族は子どもが生まれてから、新幹線の利用頻度が大幅に減り、両方の選択肢がある場合は迷わず飛行機を選んでいます。子連れ(特に発達特性のある場合)での移動には、飛行機の方が圧倒的に快適で安心できると感じています。