ボランティアのあり方
二か月前のこと。東京から離れた地でちょっとした気づきを得た出会いがあった。
今回私は群馬県を訪れた。群馬県へ赴いたきっかけは、福島県南相馬市を訪れたゼミ合宿である。合宿で他県の街並みを観察したのが印象的だった。そこで私は、もう一度都会と異なる生活に触れてみたいと思ったのだ。
12月3日(日)、学校で募集していた援農ボランティアに参加した。学生20名ほどで農家を訪れ、旬の里芋の収穫や玉ねぎの苗の植え付けなどを行った。
イベントの協力団体は、「NPO法人よいおやさい」という団体である。群馬県渋川市を拠点としており、渋川市の農家で短期や日帰りでの農業ボランティアを実施している。このボランティアでは、農作業の後収穫した里芋を調理して豚汁をつくり、帰りには地元の温泉に入った。想像するボランティアよりも、少し旅行のような活動だった。
農作業の説明の際、NPO法人の代表さんが、普段はサラリーマンをしていると言っていた。私はその方のキャリアが気になった。参加者で輪になり豚汁を食べている時に話せる機会があり、代表さんに話を伺った。
私は代表さんに「(この活動とサラリーマンの両立は)忙しくないんですか」と尋ねた。すると代表さんは「『最高の趣味』という感覚でやっている」と答えた。そのあと、この活動を始めたきっかけを尋ねた。代表さんは「以前東北被災地の災害ボランティアに行ったとき、ボランティアに来た人々が現状を見て辛い表情で帰ってくのが忘れられなかった。それをきっかけに、もっと楽しくてボランティアがあってもいいんじゃないかと思って、この活動を立ち上げた。」と答えてくれた。
会話の最後に、今後活動をどうしていきたいかという話になった。現在「NPO法人よいおやさい」は栽培しているブルーベリーでつくったスムージーをキッチンカ―で販売している。代表さんは「それをニューヨークで売りたい。」と言っていた。また、帰りの車内では「次回の活動はこんなことをやりたい」と他のスタッフさんに話されていた。アイデアが止まらない様子だった。
代表さんとの会話を通じて二つの気づきがあった。一つ目は、ボランティアは楽しいものでもいいということだ。今回農作業に加えて豚汁や温泉が良い思い出となった。楽しかったという思い出が活動の第一歩となり、次の活動に繋がるのかなと思った。
二つ目は、代表さんが活動を始めるときの動機は「やりたいから」だということである。やりたいことを実現させるエネルギー溢れる方だった。『最高の趣味』が社会貢献にも繋がっているのは理想的である。
支援先だけでなく、支援する側のためにもなるボランティアは、素敵な体験だった。