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「異なる位相の融合:奇妙な世界の調和」

「異なる位相の融合:奇妙な世界の調和」
ベランダで家族と月を眺めていたが、世間で言われている様な特別な月は見えない。代わりに、真っ黒い巨大なアーチが向こうからやってきた。
アーチが近づくと、それはベランダの前で崩れ落ちた、そして破片のようなものが、手すりにぶら下がっているのが見えた。
その後、私の部屋では奇妙な現象が続いた。
電子レンジのスイッチを入れると下の台が溶けて潰れ、ストーブの掃除をしようとリセットボタンを押すと本体がバラバラになるなど、あらゆる機器に異常が現れた。
私は、位相が変わっているのだろうと推測した。
その後、怪しげなマルチ商法の薬を販売しているという社長の家を訪ねた。意外にも普通の家で、社長と話しても別に悪い人でもなく、むしろ好感が持てた。近所とも仲良く平和にやっているようだったが、その時は社長が謝りながら賠償金を支払い、訴える男が去っていくのを見て、何かがおかしいと感じた。
訴えるのなら何か書類があるはずだと思い、社長に証拠を見せてもらうよう頼んだら、快く見せてくれた。内容は、工場に潜入させた男の部下が、そこの工場の職員がゴミ箱の中の物を商品に混ぜたという証拠写真だった。
私は、この空間の変化との一体化を図るのだから、月の替わりに巨大なアーチがやってくる世界は、とても面白く、有り得ないことに逆らわず、受け入れてみようと思った。そして、その社長も同じように状況を受け入れ、逆らわない姿勢を持っていると感じた。彼は謝罪の言葉を口にしながらも、訴える男に対して怒りや敵意をむき出しにすることはなかった。彼はむしろ、訴える男が持つ怒りや不満を理解しようとしているように見えた。
「すまない、これが私たちの会社の方針だ。問題があったら、それを解決する。納得してもらえるように努力するのが、私たちの信念なんだ。」
訴える男は、社長の言葉に少し驚きながらも、納得したようだった。そして、賠償金を受け取り、去っていった。
その後、私は社長と少し話す機会があった。彼は、この世界が何か大きな変化を遂げていることを感じていると言った。
「この世界は、私たちが思っている以上に、奇妙なもので満ちている。私たちは、それを受け入れ、調和する方法を見つけなければならない。そうしないと、この世界はますます混乱してしまうだろう。」
私は、彼の言葉に深く感銘を受けた。彼のような人がいる限り、この世界は何とかなるのだろうと思った。
そして、月が隠れてしまった夜も、私たちはその奇妙な世界を受け入れることを決意したのだった。

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