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あるやうでないやうでない。
父がショートステイから一旦ご帰宅。
我が家は色々あり、
私はついにケアマネジャーさんに直電した。
無理っす。やべぇっす。残機ゼロっす。
これらを丁寧な日本語にして、
いかに我々が介護の限界点に達しているかを伝えただけである。
しかし、彼は翌々日から、レスパイトを兼ねて短期入所した。
その間に母と銭湯へ行った。
一湯¥550の価値。
それは昨今のブロッコリーと同じ値段だが、私達にはポーションであり、エリクサーであり、
回復魔法であった。
母は温泉で83歳の御婦人と出会い、
久しぶりに歳上のしっかりした人と話して嬉しそうに安心して大笑いしていた。
これは私にはできないパワーである。
帰り道では、確実に彼女の顔のシワが減っていた。
そして今、帰ってきた父が言うのである。
「あ〜、歯が痛いなぁ。」
えっ?歯、まだあったっけ??
そして私は言う。
「テニス肘が痛い…」
母曰く、
「あんた、テニス、したことあったっけ?」
いや、ない。
運動部に入ったことがない。
腱鞘炎、からの「テニス肘」という肘の故障になったのだが、
私はテニスをしたことがない。
いや、でもテニス肘になったんだから、テニスしたかもしれん。
いや、していない。
テニス肘は、テニスをする人に多いからその病名を持つらしい。
不思議です。
そして父は、また奇行に走る。
洗面所から音がする。
スプレー缶のシューーという音が。
「やめろ!お前には、もうオールバックにする髪はもうない!!」
驚いた。
彼は、妹の、『今日だけ髪色戻し♡ナチュラルブラック』スプレーを、
頭皮に左右、均等に吹き付けていた。
おい、そこのチャーリー・ブラウン似、
スヌーピーになっとるぞ。
垂れ耳に見える。
愛おしいではないか。
私は彼に家族としての愛情がある、情かもしれない。
しかし、そこに愛はある。
そして彼にはユーモアのセンスと、
我々家族には笑顔がある。
笑顔が戻るまで、いろんな方法を試して、
しばらくなんとかやっていこうよ、な、父ちゃん。