パンツ見せてください(と言われた)

4〜5年前に退職した後輩と年に2、3回ご飯にいく。
歳上だが、社会人から学校に通っていたので職場ではかなり後輩。

普段くる連絡は
・テレビ裏の配線悩んでるですけどどうしたらいい?
とか、どうでもいい内容ばかり。平和だ
たぶん、先輩だと思われてない
まぁ、ありがたいことです

その日はのっけからテンションが違った
「彼氏のことで悩んでます話を聞いてください」
おっけー、電話でいい?と返すと
「いや、電話苦手なんで直接お願いします。住所言ってもらえたら向かいます」
と。
20時ぞ。連勤初日なんよ。の気持ちは飲み込んで、住所を教えたら30分ほどでインターホンが鳴った

アプリで知り合った男性と仲良くなったが、急に冷めてしまった、との旨。

よくあることよねと、内容を聞こうとすると
初手で強めの語気で
「ブリーフって変ですよね」と言いつつ黙り込む

絶対笑ったらいけないテンションで来たので一旦深呼吸をした。
あー。えっと、待って。なんか酷いことされたとか言動に引いたとか、そういうの待ってたんやけど。

続けてこう話す
「その、ブリーフしか持ってない人だったんです。これってつまり変態ですよね?」

後輩は大真面目だから、笑みはない。
でもおもろすぎる。

しかし、ここで後輩の悩みを無下にして笑うなんてことはしたくないので、脳内で会議した結果

『ツッコミどころが多い、先入観と経験の少なさ?が暴走してる。下着売り場に一回行ってこいテメェ』

とは言わず

ブリーフが一般的であり、同世代で見ることは少ないが特段おかしいことではないこと
子供の頃はみんな履いていた
親世代なら当たり前にメジャーな存在
落ち着いて認識の整理をしてほしいと平易に説明した。

「そこまでブリーフのこと庇うってことは、
もしかしてそういうことですか?先輩も…」

いや待て、落ち着け。人の話を聞け
前置きはしただろ。なんで引いてるんだ

「私調べたんです、この時代、ブリーフの人は全体の数%に満たないって。」

お前、疾患の勉強はのんびりだったのに、そんな知識深めるのはなぜだ

「これはもう普通じゃないってことですよね
先輩も何かしらこだわりや生い立ちの理由からその選択を?それなら納得できます。親がブリーフ以外禁止してて、マザコンの末にブリーフを選んだ、とか…」

そんな理由で下着選ぶ人間おらん
意味を求めすぎている

「じゃあ、今どんなパンツなんですか。丈は?太もものどのあたりまでのヤツを履いてるんですか?ズボンの上からじゃわかんないです
後ろからでいいんで見せてください」

もうお前が変態やん
人に言われたら嫌なことは言っちゃダメなんだよ?
38歳でしょ?

「わかりました。なら洗ったやつでいいです。柄も含めて確認させてください。ひと通り見せてください。
ただ、先輩がブリーフじゃなかったとしても、彼への不信は拭えないですけど。この際もういいです」

ゴールも逃げ道もない要求
私は何も解決してあげられない
ならせめて

脱衣場の洗濯して畳まれた下着を一枚ずつ見せる間、
彼のことより自分の誤解?を解くことを優先してしまったことや
男性代表のような顔をしてペラペラ話していたこと
これらを反省するのは無意味なこと

謎の時間が過ぎた

彼女は帰って行った
吹っ切れた顔をして


2023年春のことだった。
そんな記憶

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