なぜ投資をしなければいけないのか
「投資が怖いです。やらなくてもいいですか。」
私はインスタで投資に関する発信をしています。フォロワーは1.2万人程度でのんびりと運用をしています。
そして発信をしていると冒頭の質問をよくいただきます。
はたして怖い人に無理やり投資を勧める必要があるのでしょうか。
ずっと悩んできましたが、やはり私は投資を勧めたいと思いました。
そこで「なぜ投資をしなければいけないのか」を体系的にまとめることにしました。
少し難しい話をしますが、お金の本質なので以下に該当する人はぜひ読んでいただければと思います。
投資をするのが怖い人
投資をすべきかどうかわからない人
では解説していきます。
〇始めに結論を教えてください
投資をしなければいけない理由は法定通貨(貯金)の価値が下がるからです。
投資というと資産を増やすためのものと多くの人は感じていると思います。ですが実際には、資産を減らさないためのものなのです。
ではなぜ法定通貨の価値が下がるのか解説していきます。
〇そもそも法定通貨とは何か?
法定通貨を理解するためには、貨幣の歴史を知る必要があります。
最初の貨幣システムは物々交換に基づいていました。しかし、商品には物々交換には向かないものがあります。例えば、魚や肉は傷みやすいため、交換する前に腐ってしまいます。
そこで、古代ギリシャやローマでは、金や銀などの金属貨幣が一般的になりました。これらはその物理的な価値と希少性によって価値が保証されました。なにより、魚や肉のように腐る心配もないため、人々は物々交換は容易になりました。
しかし、金や銀のような金属貨幣にも課題がありました。それは持ち運びにくいということです。そこで、中世から近代にかけて、国が管理する貨幣が生まれました。これにより紙(紙幣)を持ち運ぶだけで、物の交換ができるようになりました。
このとき多くの国が金本位制を採用していました。金本位制は通貨の価値が一定量の金に裏付けられる仕組みです。つまり、政府が発行するお金と同じ価値の分だけ政府が金を保有することでその通貨の価値を保証していました。
金本位制による通貨は世界中で導入されましたが、20世紀に繰り広げられた第一次世界大戦と第二次世界大戦により状況は大きく変わりました。
戦争には莫大な費用がかかり、政府は軍事費やその他の戦争関連支出をまかなうために大量の資金を必要としました。この資金調達のために、多くの国が通貨を大量に発行せざるを得なくなりました。また、戦費を賄うために金を輸出する必要があったため、国内の金準備が枯渇しました。
これにより多くの国が金本位制を維持することが困難になり、不換紙幣が生まれました。
現在の法定通貨
不換紙幣とは金や銀などの実物資産と交換できない紙幣のことを指します。現在のアメリカや日本含む先進国が発行する法定通貨は、ほぼ全て不換紙幣になります。
この不換紙幣には以下のメリット・デメリットが存在します。
メリット
・柔軟な金融政策:中央銀行は通貨供給量を調整し、金利を操作することで経済を調整することができます。
・経済成長の支援:通貨供給の制約がないため、政府は必要に応じて経済刺激策を実施することができます。
デメリット
・インフレーションのリスク:通貨供給が過剰になると、インフレーションが発生し、通貨の価値が減少する可能性があります。
・信用の問題::通貨の価値が政府の信用に依存しているため、政府の信用が失われると通貨の価値も大きく損なわれます。
つまり、法定通貨の価値は、政府の金融政策と信頼性に大きく依存しているのです。
〇不換紙幣の形態をとる法定通貨の実績
これまでに貨幣の歴史を紹介してきました。不換紙幣の形態をとる法定通貨の歴史は20世紀からであり、100年程度の短い歴史しかないことは意外に思われる方も多いと思います。では次にその100年間での法定通貨の実績について説明していきます。
法定通貨の失敗例
前述したように法定通貨は政府の金融政策と信頼により成立しております。つまり、政府の舵取りが重要になり、そしてこれまでに多くの政府が舵取りに失敗してきました。
ソビエト連邦のハイパーインフレーション(1991年):ソビエト連邦では、中央集権的な計画経済が運営されていましたが、1980年代後半になると経済の非効率性や生産性の低下が顕著になり、経済全体が停滞しました。経済の停滞を打開するために、大量のルーブルを発行しました。しかし、これによりインフレーションが進行し、ルーブルの価値は急速に低下しました。1991年のソビエト連邦崩壊後、新たに独立した国家がそれぞれ独自の通貨を発行するようになりました。この過程で、旧ソビエトルーブルの信用は完全に失われ、急速に価値を喪失しました。
ジンバブエのハイパーインフレーション(2000年代):2000年代初頭、ジンバブエ政府は経済政策の失敗と不適切な土地改革により深刻な経済危機に直面しました。これに対応するために、大量の紙幣が発行され、インフレーションが急速に進行しました。2008年には、インフレーション率が年間89.7セクスティリオンパーセント(10の23乗)に達し、紙幣はほとんど価値を失いました。
このような歴史を教訓にするなら、法定通貨に長期的耐久性があると考えるのは愚かだと言えます。また、共通している通貨崩壊の流れとしては以下の通りです。
経済の活性化させたい→大量の法定通貨を発行→インフレーション発生→法定通貨の価値が低下→法定通貨の崩壊
この通貨崩壊の流れは重要になるので覚えておいてください。
日本円やドルは崩壊するのか
確かに日本円やドルがいますぐにいきなり崩壊することは考えずらいです。しかし、残念ながら日本円やドルについても上記の崩壊した法定通貨と同様に、通貨供給量の増加→法定通貨の低下が発生しています。
日本円とドルの供給量(M2)を以下に示します。
法定通貨の供給量は綺麗に右肩上がりで増加していることがわかります。このように通貨の供給が継続的増加傾向にあることは歴史上すでに実証されています。
また、2020年頃に注目すると一気に通貨の供給量が増えていることがわかります。これはコロナショックによる経済停滞に伴い、大規模な金融緩和政策(通貨供給の増加)を実施したことに起因します。政府はこのように目の前にある問題を解決するために通貨供給を増やす癖があります。
なぜ政府は法定通貨の供給量を増やすのか
政府が法定通貨の供給量を増やす理由を以下に記載します。
消費の増加:通貨供給量が増えると、市中に流通するお金が増加し、人々がより多くのお金を手に入れることができます。これにより消費が促進され、企業の売上が増えます。
投資の促進:通貨供給が増えると、金利が低下する傾向があります。金利が低下すると、企業は資金を借りやすくなり、設備投資や事業拡大に踏み切ることができます。これにより、経済活動が活発化し、雇用が増加します。
通貨供給量を増やすことは経済活動を刺激し、消費や投資を促進するための重要な手段です。これにより、金利が低下し、資金が市場に供給されることで、景気回復が図られます。
仮にあなたが日本の首相やアメリカの大統領だとして自国の経済を停滞させたいでしょうか?ほぼすべての人は自国の経済成長を願っているでしょう。そして経済を成長させるために手っ取り早いのは法定通貨の供給量を増やすことです。
実際に日本円とドルの価値は下がっているのか
物の価値というのは需要と供給により決まります。これは法定通貨も例外もありません。需要に対して供給が多すぎれば、法定通貨の価値は下がり、インフレが起こります。
では、実際に法定通貨の価値は下がっているのでしょうか。ここでは同じ貨幣として扱われてきた金と比較します。
ご覧の通り金と比較して法定通貨の価値が下がっていることがわかります。言い換えると法定通貨の需要増より法定通貨の供給量増加の方が上回っており、その結果法定通貨の価値が下がっているのです。
しかし、これは政府が需給をコントロールできていないわけではありません。もともと政府は経済の成長を促進するために、2%程度インフレ(通貨の価値を下げる)させることを目標(インフレ目標)としてます。
つまり、政府は通貨の価値の低下より経済成長を重視しているのです。政府がこのような方針であるため、法定通貨保有者である国民の貯蓄は時間の経過とともに目減りする運命から逃れられないのです。
以上が法定通貨の価値が下がる理由です。
〇投資をしないとどうなるのか
これまでに法定通貨の価値が下がる理由を説明しました。ここまで読んでいただいた人はもうお分かりだとは思いますが、投資の必要性について説明していきます。
まず貯金だけの人は通貨の供給量の増加に伴い、以下のことが発生します。
通貨の供給量が増える→通貨の価値が下がる→資産が減る
次に投資をした人は以通貨の供給量の増加に伴い。以下のことが発生します。
通貨の供給量が増える→通貨を使う人が増える→企業の売り上げが上がる→株価が上がる→資産が増える
※過去の歴史上、株価の年平均の上昇率が2%(インフレ分)以上であることからから資産が増えると表現しております。
このように通貨の供給量が増えることを起点として、貯金派の人は資産が減り、投資派の人は資産が増えることになります。
以上が投資をしなければいけない理由です。
〇まとめ
投資をしなければいけない理由は、、、
法定通貨の価値が下がるから
法定通貨の価値が下がる理由は、、、
経済成長させるために法定通貨の供給量を増やすから
以上です。法定通貨が貨幣制度を支配した20世紀から私たちが学ぶべき教訓は、法定通貨の供給量は増え、価値は下がるということです。
この記事を読み、投資を始める人がいることを切に願っております。
〇投資を始めたい人へ
本記事を読んで投資を始めたいと思った人は以下の記事を参考にしてください。
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