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第63回議論「GISとICTを活用した授業」(「地理総合」研究チーム)

第63回議論は兵庫県立龍野高校の「地理総合」研究チームに「GISとICTを活用した授業」という題でご発表いただきました。


報告者は、地図が好き、ということで教員になって地理をメインにもたれてきたそうです。


定時制高校や他部制高校を含め、様々な学校を経験する中で、報告者はGISが話題になる何年も前から、生徒が地図の作成に取り組む授業を実践されてきました。


数値地図やグリーンマップ、統計地図など実践例を紹介していただきましたが、その時々で、ALTや協力隊としてベトナムで活動される同僚の先生などに協力してもらって進めているのが印象的でした。



発表後のブレークアウトルームでは、報告者のこれまでやってこられた実践が地理総合で使えるのか、という議題で話し合いました。


・アナログとデジタルの相乗効果がこれからの肝になる。GISやICTを活用するときにアナログで落とし込んだものをデジタル化していくのが大事かと思うが、デジタル→アナログの方法はあるのか? 




→アナログ→デジタルは定時制や他部制の学校で生徒とともに時間をかけてやってみることができた。進学校の地理総合でどういう風にやるかはずっと悩んでいる。


始まったら試行錯誤しながらずっと悩んでいくのかな。



・先生自身がどういう課題意識を生徒に対してもっているのか?ICTを使う世代にアナログ・デジタルの使い分けがどういう意味をもってくるのか。GIS・ICTの活用が生徒本人の学習にとってどういう学習方法の意味付けになっているのか



→MANDARAなどは自動的に作ってくれるのが問題。便宜上自動で作ってくれてるけど相手が見て見やすい、自分はこんな風にみんなに知らせたいから区切り値はこうだ、とかそんな風にもっていきたい。


・IT革命の時代は当時として先進的だったと思うが、使えるツールを普及させたい思いはあったか?その時の周りの反応は?



→設立当初の西宮香風高校はいろんな先生が集まりそれぞれの実践をしていた。生徒も仕事の合間に写真を撮っていたり、自分の日常の中でいろいろやって、授業の時にみんなでまとめようという雰囲気があり、それを認める雰囲気が学校にあった。



・GISの活用は課題であり、新人でも地図アプリや地図ツールがある中で、それらをどういう風に使っていってほしいと考えられているか?




→J-STAT MAPはいいと思う。自分の生活圏の細かい情報が地図で表示される。探究も含めて日頃目に見えなかったことが見えてくる。国がもっているデータを地図でみるということからやってみたらいいかもしれない。



・地理の授業を通して、生徒たちになってほしい未来の姿はあるのか?



→西宮香風のときは、やったことが認められたらおもしろいということを実感させたくて賞を取ろうとした。セミファイナルまで進んだ。生徒の書いた文章をALTが見てくれたり、広島大学の先生とコミュニケーションをとったり、そういうのを生徒自身が喜んでいた。



・地理は類推がやりやすい。この地域でこうならあの地域もこう、のように法則がわかりやすい。何か与えると生徒はそれを別の地域で最大限活用することができる。


そこにおもしろさがある。日常生活にもその思考をあてはめることができる。


・地図を書くことで何が身につくのか。可視化することで普段見えてないものが見えてくる。それが探究の入り口になる。


自分の生活圏で地図をつくらせるとコンビニの分布がどうなっているかがわかるだけでも十分意味があるのではないか。



・地図帳を使った授業について、生徒はある程度知識をもっているけど、地図帳を使うことで地形や位置、周辺国などがわかり意味がある。



・地図を作るという作業から作った地図を分析する時間はあるのか?→MANDARAを使った授業を1~2時間でやるのは難しい。


教科書に載ってることがフリーのソフトでできるんだ。ということを伝えたかったが、生徒全員がうまくできたわけではない。


苦手な生徒が提案して、得意な生徒がぱっとつくってという協働作業ができることにグループ活動の良さがある。1人1台タブレットをもってどこまでできるかはわからない。多くの人にアイデアをもらっていきたい。



・アプリなどを使って実際生徒が地図を作るとなると、区切り値を変えることで印象がかわってくるということだったので、主体的に学べるツールだと思う。専門でなければどんなツールを使えばいいのかわからない。



GoogleEarthなんかは地図に小さくしか載っていない国(ツバルなど)の様子を知るのに便利。そんなところから始めてみてもいい。


・作った地図で何ができる?技能の習得に焦点化されていないか?地理探究に繋げていくとなるとどんなことになっていくのか?



・IT革命の時代から最先端のところまで紹介してもらったが、苦労されながら作り上げてきたことがわかる。



地理総合に十分使えるのではないか。



入試もあるが、社会とどうつながるか、公共施設や設備、政策の中に必要となる地図などが現在は技能にかなり偏っているところがあるが、もっとGISが社会の中でこんな風に使われていることが紹介されることで地理の魅力がもっと広がる。



全ての高校生が履修する地理総合だからこそそういうことがもっとあってもいい。
参加者21名

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