見出し画像

第42回議論「『地理総合』の実践報告」 (「地理総合」研究チーム)

第42回は「地理総合」チ研究ームから「『地理総合』の実践報告」として、「国際理解と国際協力」において東南アジアと西アジア・北アフリカをとりあげた実践報告をいただきました。

その地域は日本と比べてどこが違うのか(西アジアは宗教が生活の隅々に浸透、東南アジアは動物の丸焼きや雨季などスケールの違いなど)を生徒に意識させ、現在の特徴だけでなく、そこに至った過去から過程、そして将来を見据えることを目的に進めていかれたそうです。
地図の着色作業を通じて同じ地域でも違いがあることに気づかせたり、写真や動画など視覚に訴える教材を利用した取り組みも紹介していただきました。その後、世界の多様性を学ぶためにはどの地域を選択すべきか、「地理総合」「歴史総合」「公共」をどのようにカリキュラム・マネジメントしているかについて議論しました。

【以下、議論】
・多様性に気づかせて、その後子どもたちはどうすればいいのか→多様なんだけど、国際的な課題に取り組むためには協力が必要というところにもっていく契機としたい

・切り口(例えば気候)を決めて、生徒たちが分担して調べる方法はどの地域も扱うことができる。しかし調べてポスターを作り発表→共有までの時間がとれないことが課題

・東南アジアは経済・政治体制・宗教が様々で世界の縮図。イスラームの信仰もあり取り上げるには良い地域。ホームステイに行った生徒の話を聞いたり、資料や映像で学んでみるのもいい。

・東ヨーロッパは教師も生徒も詳しくないので、取り上げることで関心を持つきっかけになるかもしれない

・どんな事象を扱いたいかで取り上げる地域を選べばいい。

・日本とODAで繋がる東南アジア、偏見をもたれやすいイスラームが多い西アジア、と取り上げる地域としては理にかなっている

・最後に「あなたはどう考えるか」というところで、「住みたいですか?」という問いは偏見をもたせるだけになる可能性がある。そこから「なぜ住みたくないのか」と掘り下げて偏見に気づかせ、その責任は我々にもあるというところまでもっていきたい。

・カリキュラム・マネジメントは現実問題として難しいのではないか。教科書、担当者、科目ごとの論理が違う。ただ、地理・歴史での学びを公共で未来につなぐのは理想。担当する先生たちで単元レベルで関連させることは可能かもしれない。

・平等と格差をテーマに地理で様々なデータを扱い、公共につなげると理解が深まるのではないか

・3科目の担当教員同士で気軽に話せると色々なアイデアが出てくる。「社会科」の復活

・板書計画や作成したノートを他科目の担当者に見せて情報提供を自分から気軽にやっていくことで、それを聞いた先生は自分の科目をどうするか考えてくれる。そうして3科目の繋がりをもっていく方法もある。

・多様性をどのように捉えるか、外から地域を見る(他地域との違いを見つける)方法はこれまでの地理と違うところ

・地域の選択は、歴史公民の括り方(例えば西アジアではなくイスラーム文化圏)でしていくこともできる

・イスラエルが西アジアに入るとまた学習内容が変わってくる

・人について(例えば介護してくれる東南アジアの人)を考えると、向こうは多様なのに日本は多様になりきれないのか

・探究方法やグループワークなど学習方法をしっかりしていけば、どの科目も市民形成として社会科に繋がる

                                 参加者22名

いいなと思ったら応援しよう!