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【捏造】あの日、母と作ったホットケーキ。

ウバといいます。
訪ねていただきありがとうございます。




晩御飯にはチヂミを焼こう。

思い立ったが吉日。早速チヂミ作りに取り掛かります。チヂミは酒にも合いそうだ、今日はビールだな。私の口はチヂミよりもビールを欲している。

息子さんの習い事の送り迎えでお酒が飲めない事実を、その時の私は忘れていた。思い出すのはチヂミが出来上がってからなので、もう少し後になります。お楽しみに!

さて。我が家には何故がチヂミの元みたいな粉が常備されている。なんでだろうね?そんなに食卓には出ないんだけど、何故かいつもある。ま、いいんだけど。

今日チヂミが欲しくなった理由は冷蔵庫にニラがあったから。多分だけどスーパーでニラが安かったんでしょうね。

ってなわけで作っていきましょう。まずはボールにチヂミ粉と水を入れかき混ぜます。混ぜ混ぜ~マゼマゼ~まぜまぜ~。

そこに娘さん登場。

「パパ~アタチがするでしょ~?」らしい。知らないけど、チヂミ混ぜるのは娘さんがするらしい。可愛いからいいけど。

私の横に立ってボールの中を混ぜる娘さん。とても可愛い。世界でいちばん可愛い女性だ。3年前に嫁さんから譲り受けた称号。ああ、可愛い。

ボールの中のチヂミ粉は、ぱっと見ホットケーキミックスと変わらない。クリーム色でドロドロ。気泡なんかもあって、見た目はほとんど一緒だ。


ふと、幼い頃を思い出す。母の横でホットケーキミックスを混ぜた日のことだ。今の娘さんと同じくらいの私が、母から泡立て器を取り上げ自慢げにかき混ぜる姿。

母が焼いてくれるホットケーキが、私は大好きだった。私が泣いた日、学校で嫌なことがあった日、テストでいい点が取れた日、そんな日はいつだって母がホットケーキを焼いてくれた。

ケーキは買えない。貧乏だから。でも、私には母が焼いてくれたホットケーキがあった。ああ、とても懐かしい…………




なんて、都合のいい思い出はない。とても残念でならない。そりゃホットケーキを焼いてもらったことはある。でも、手伝った思い出もなけりゃ、特別な食べ物でもない。

残念だよ。ホットケーキにそこまで特別な思い出がない。だから思い出を捏造して書いてしまった。こんな私を許してほしい。いつも特別でキレイな思い出を書かれる皆様が羨ましくて、つい。


と、いうことで続きを書いていきましょ。早くチヂミが食べたいしビールが飲みたい(この日、私は飲めなかったのだが)。

まぜまぜを娘さんに任せたので、私はたぶん安売りだったニラと玉ねぎ、にんじんを切っていきます。そんくらいお手の物。エッヘン。

娘さんがマゼマゼしてくれた、ダマだらけのチヂミ粉に野菜を混ぜて焼いていきます。フライパンにごま油をドボドボ〜して、いざ調理!

焼くときの焦げるごま油のニオイ、たまらん!このニオイで軽く一杯イケる!が、我慢。何度も言うが、私は飲めなかったのだが……

となりでは嫁さんが麻婆豆腐を作っている。娘さんの分を先に取り分けて、大人と息子さん用に豆板醤とラー油を入れているところだ。

そして焼きあがるチヂミ。さあ、テーブルに運ぼう!息子さんがテーブルを拭いて、娘さんが食事を運ぶ。

「パパ~お手伝いしたよ?ちゃんとお金ね?」と娘さん。ほんっとうに可愛くない。時折チラ見えする港〇女子感が可愛くない。

食卓に並ぶチヂミ、麻婆豆腐、白米、みそ汁。ばらっばら。まるで異文化コミュニケーション。中国に韓国に日本。

いつもいがみ合って不仲で隣同士の国なのに手も繋げない国々も、我が家の食卓の上では関係なく仲よく同居してらあ。


美味い飯に国境はない。


って、こんなアホみたいな言葉で締めてなるものか!エピローグに移ろう。

家族で「いただきます」とした後に嫁さんがいいます。「飲むなよ?今から運転ぞよ?」と。

ああ、こいつ絶対わざとこのタイミングで言ったわ……ってことがわかるくらいには、我が家は仲良しのようです。




食べながら、思う。

いつか子供が大人になって、チヂミを食べたとき。今日の日のことを、子供たちは思い出すんだろうか。

その思い出の中で隣に立つのは、私なんだろうか?それとも嫁さんなのかな。いや、そもそも思い出さないか。


楽しみだ。




ここまで読んでいただきありがとうございます。
長ったらしくチヂミの話でした。




それでは、佐世保の隅っこからウバでした。

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