型式証明とcertification Basis

1.背景

これまでEMCに纏わる一般的な規則要求について紹介させて頂きました。今回は少し視点をかえて、Certification Basisの視点からEMCについて考えて見たいと思います。

2.Certification Basisとは何か?

Certification Basisとは、その航空機の型式証明において適用された証明要求の全てを表します。具体的なcertification Basisの適用事例は、FAAのDRS SYSTEMから航空機毎に策定されているTCDS,Type Certificate Dara Sheetを見ると確認することができます。TCDSには、必ずCertification Basisが記載されていますので、FAA DRSシステムにアクセスして、どのモデルの航空機でも良いのCertification Basisをご覧になってみて下さい。Certification Basisには、数行程度で適用された基準が記載されているはずです。

3.証明要求とCertification Basisの違い

本記事や過去記事で、証明要求とか規則要求とかの表現しているものは、Airworthiness Standardのことで、具体的にはPART23やPART25のことを指しています。ただ、型式証明において真の意味で要求される証明要求とはCertification Basisの方になります。

Certification Basisは、個々の機体毎に設定され、Airworthiness Standardをベースにその機体の特性や特徴などに応じてカスタマイズされて設定されるものですが、これは航空機の開発者とFAAとの間で協議の上で確定されるものとなります。また、このCertification Basisは、有効期限のようなものがあり、5年毎に見直しが行われます。つまり、5年以内に型式証明が完了できれば良いのですが、そうでないとAirworthibess Standardも改訂が進んでいきますので、5年以上経過すると、Certification Basisに新たなairworthiness standardが追加されるので、開発者はこの点を証明上のリスクとして考えておく必要があります。

4.Certification Basisとsec2.16

型式証明機に適用される基準が必ずしもAurworthiness Standardだけで構成されているわけでありません。下記に根拠を下記に示しておきます。

SECTION:   Sec. 21.16
Amendment Number: 21-92, Effective Date: 04/16/2011 

TITLE:   Special conditions. 

SECTION RULE:   [If the [FAA] finds that the airworthiness regulations of this subchapter do not contain adequate or appropriate safety standards for an aircraft, aircraft engine, or propeller because of a novel or unusual design feature of the aircraft, aircraft engine or propeller, he prescribes special conditions and amendments thereto for the product. The special conditions are issued in accordance with Part 11 of this chapter and contain such safety standards for the aircraft, aircraft engine or propeller as the [FAA] finds necessary to establish a level of safety equivalent to that established in the regulations.

5.Certification Basisの決定方法

Certification Basisは、section21.16の記述にもあるように、個々の航空機の設計、運用方法などによって個別に変更されることになります。むしろ、その設計上の特徴や想定運航要件などによっては積極的な変更が求められるはずです。

過去記事で言及させて頂いたようにHIRFの要件は、1980年年代後半のA320の型式証明で、特に当時の最新技術であるフライバイワイヤーが地上の電波局が発する電磁波による感受性を懸念したものが
始まりでしたが、最初からAirworthiness Standardにそうした要件が記載されていた訳ではありません。過去記事で言及したように長い間、Special ConditionがCertification Basisに適用されていたことを忘れてはいけません。

昔のことはそうした経緯があったということを知っておけば良いのですが、2022年を超えた現代において、型式証明にチャレンジする人には何が必要なのでしょうか? 最新のAirworthiness Srandardでも安全性を担保できていないものがないか、事前によく考えておかなければならないと思います。ヒントはTAILとSAILです。

6.TAILとSAIL

Transport Airplane/Small Airplane Issue ListというドキュメントがFAAから発行されていて、色々な照明上の課題があることを示唆しています。AIRWORTHINESS STANDARDにはまだ規定されていないものも含まれていたりします。こうしたものがCertification Basisに設定される候補となります。

Certification Basisの決め方には、絶対的なルールがあるわけではないですが、それでも、FAAが発行する書類を見るといろんなところにヒントがあったりしますのでTAIL/SAILを是非ご覧になって下さい。

下記はSAILのURLとなります。

https://www.faa.gov/aircraft/air_cert/design_approvals/small_airplanes/small_airplanes_regs/media/SAIL_FY22_Q1.pdf

SAILには例えば何が書いてある?

SAILをみると、現代のモダンな航空機の証明に関する最新情報を手にすることができます。ホントに色々な課題があるものだと思いますが、このマガジンはEMCを主眼にしているので、その部分をコピーしてみると、、話題の5g issueです。まだ認識されたばかりの問題のようですが、FAAはちゃんとと捉えていることがわかります。具体的にはこれからなんでしょう。

RadioAltimeters
Notify Policy and Innovation Division (AIR-600) of applications for design approvals including radio altimeters. New 5G C-band spectrum use (expected as early as Dec 5, 2021 in the US and in varying stages of implementation around the world) poses a potential risk to the operation of this equipment. Because there is no clear and common understanding of what constitutes safe integration of current or newly proposed equipment in the new spectrum environment, AIR-600 needs to be aware and may be involved.

7.まとめ

今回の投稿では、Certification basisの設定に関する周辺情報を紹介させて頂きました。Certification Basisの設定要件には他に運航要件なども関係しますが、紙面の関係で今回は割愛とさせて頂きます。

免責
記事の内容は、細心の注意を払って記載をしていますが、絶対的なものではありません。本記事の内容により生じるいかなる損害、不利益等についても責任を負うものではありませんので、あくまで参考としてご使用頂ければ幸いです。

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