こんにちは。(韓国語)
春。
別れがあれば、出会いもあるでしょう。
今回のテーマは「こんにちは」。
最初の方に習う言葉なのに、旅行で使わない言葉です。
旅先に韓国人の知り合いなんて居ないじゃないですか。
んー。
ヨントンでは使いますかね?
韓国語を知らなくてもたぶん聞いたことがある「アンニョンハセヨ」と「アンニョンハシムニカ」。
韓国語の挨拶の言葉です。
日本人の我々だって「あいさつするときは『こんにちは』と言いなさい」と教え込まれて使っているだけで、『こんにちは』そのものの意味を知るのはずっと後のことです。
アンニョンハセヨ(안녕하세요?)
と
アンニョンハシムニカ(안녕하십니까?)。
あいさつ文なので、そのまま使えます。
アンニョンハシムニカの方が、より丁寧なあいさつ文です。
発音は、ㅎの弱音化という発音変化が起きるので、実際の発音では「ハ」がほとんど発音されておらず、アンニョンアセヨ、アンニョンアシムニッカに近い発音になっています。
アンニョンハシムニカの最後の字の「カ」部分は激音(까)なので、やや「ッカ」気味の発音になります。
以下、文法の話です。
あいさつ言葉は定型文なので、中身は覚えなくていいです。
自力で意味を調べた人も多いでしょうし。
韓国語のあいさつ文が文章としてどういう意味になっているのか、
組み立てていきましょう。
※カナ表記は、慣例にしたがって「アンニョンハシムニカ」という形で表記します。
안녕 (アンニョン) 安寧
「安寧」という漢字を韓国語で発音したもの。
発音にはちょっと注意が必要で、안は、「案内」のアン、녕は、「ニョンガ」と言おうとして「ガ」を言わない発音です。
舌の位置に注意。
안녕하다 (アンニョンハダ) 安寧だ
日本語にも「書く」「走る」のような普通の動詞と、「実行する」「拒絶する」のように「~する」となる動詞があります。中国語由来の動詞なのですが、日本語や韓国語は中国語と違って動詞の形をしていないと語尾活用ができません。そこで、中国語の動詞を一度名詞扱いにしておいて、日本語では「~する」、韓国語では「~하다(ハダ)」を付けて動詞にします。
だから、韓国語も「(漢字)する」系の動詞は、必ず「~하다(ハダ)」となります。
안녕하다 (アンニョンハダ)は形容詞ですが、漢字を元にした形容詞もまた必ず「~하다(ハダ)」となります。
名詞に「する」が付いて動詞(や形容詞)になるという考え方よりは、「する(하다:ハダ)」までで1つの動詞や形容詞と考えた方がいいです。
日本語だってすべての名詞に「する」を付ければ必ず動詞になるわけではありません。
「キャベツする」って何するんですかね?
안녕하시다 (アンニョンハシダ) 安寧なさる
시다(シダ)は、敬語表現です。日本語で言えば、「お~なる」や「ご~なる」に相当する敬語です。日本語と違って動詞の後ろに시다(シダ)をくっつきます。
「安寧する」を「安寧なさる」という形にするために、
안녕하다 (アンニョンハダ)
に
시다 (シダ)
を連結します。
ということで、안녕하다の다を取って、
안녕하(アンニョンハ)
としたところに直接시다をくっつけて、
안녕하시다(アンニョンハシダ)
となります。
これで「安寧なさる」になります。
語尾2系統
韓国語の語尾の丁寧表現(です/ます)には、2つの種類があります。
・ハムニダ(합니다)体
・ヘヨ(해요)体
です。
ハムニダ(합니다)体が、~니다(ニダ)で終わる形にするもの。
ヘヨ(해요)体が、~요(ヨ)で終わる形にするもの。
니다(ニダ)側が格式体と呼ばれ、改まった、ガチガチに丁寧な言葉です。強いて言うなら「~であります」とか「~で御座います」ぐらい馬鹿丁寧て改まった表現。
요(ヨ)の方が、普通の丁寧語尾になります。非格式体と呼ばれます。
普通の丁寧さをもつ言葉。
日本語ではどちらも「です」と訳されます。
안녕하십니다 (アンニョンハシムニダ) 安寧なさいます
안녕하시다(アンニョンハシダ:安寧なさる)に、ハムニダ(합니다)体の丁寧語尾ㅂ니다をくっつけて、「安寧なさいます」の形にします。
ということで、안녕하시다の다を取って、
안녕하시(アンニョンハシ)
とします。語幹末の시にパッチムが無いので、ㅂ니다がくっつきます。
ㅂがパッチムとして시に滑り込むので、십となり、
안녕하십니다(アンニョンハシムニダ)
となります。
発音は、ㅂパッチムとㄴ子音の間で鼻音化が起きるため、「シプニダ」ではなく「シムニダ」となります。
これで「安寧なさいます」になります。
안녕하십니까? (アンニョンハシムニッカ) 安寧なさいますか
韓国の「こんにちは」は、形式上「安寧なさいますか?」という疑問文になるので、末尾を疑問形にします。
안녕하십니다(アンニョンハシムニダ:安寧なさいます。)
↓疑問文
안녕하십니까?(アンニョンハシムニッカ:安寧なさいますか?)
となります。
까?の部分は、激音での発音になります。
안녕하시어요 (アンニョンハシオヨ) 安寧なさいます
안녕하시다(アンニョンハシダ:安寧なさる)に、ヘヨ(해요)体の丁寧語尾요(ヨ)をくっつけて、「安寧なさいます」の形にします。
안녕하시다(アンニョンハシダ:安寧なさる)は、語幹(最後の다を取ったもの)が안녕하시(アンニョンハシ)で、시の母音ㅣは陽母音ではないですから、어が置かれ、その後に요が来ます。
結果、안녕하시어요 (アンニョンハシオヨ) 安寧なさいます、となります。
안녕하세요 (アンニョンハセヨ) 安寧なさいます
母音が並ぶ発音があると、連結したり省略される場合があるのが縮約です。
시어요(シオヨ)の部分では、ㅣ+ㅓの並びになるため、ㅣとㅓが合体して、셔요(ショヨ)または세요(セヨ)となります。
一般にはㅕに縮約される場合が多いようですが、敬語の시어요(シオヨ)の場合は、세요(セヨ)に縮約されるのが一般的です。
안녕하세요? (アンニョンハセヨ) 安寧なさいますか
韓国の「こんにちは」は、形式上「安寧なさいますか?」という疑問文になるので、末尾を疑問形にします。
これで、
안녕하십니까? (アンニョンハシムニッカ)
안녕하세요? (アンニョンハセヨ)
が、できあがりました。
どのようなスタンスで韓国語を覚えるか
ここでは単語を文法的にどう組み立てられているかの話をしています。
あくまでもこの字面になる文法的な理由があった方が覚えやすいと思うからです。
そういう文法規則になっているから覚えろ、という意味はありません。
日本語や韓国語は語尾変化が複雑ですが、一方で比較的単純な規則性のある語尾変化をします。
変化に単純な規則性が無いと、複雑な表現ができないからです。
韓国語のような言語の場合、行き当たりばったりで表現を丸暗記するよりも、文法的な構造で理解しておいた方が、学習する上で助けになります。
しかし、実際の会話では文法をアレコレ考えて文章を作ったりしません。活用変化規則に沿って、ひとつひとつ語尾変形をやっていく技術が役に立つのは、唯一「試験の時だけ」です。
会話しているときは文法なんてほとんど考えてません。
会話力を上げるには散々使い散らして、会話しまくって慣れるしかないです。
よく語られることですが、日本人が何年も英語を勉強しているくせに英語を全く話せない理由が、「散々使い散らして」いないから。
いくら文法的なことを覚えても、それだけでは使い物にならないのです。
文法規則は、必要都度、毎度ほぼ同じことをいちいち書く予定です。
だから、文法は覚えておかなくていいです。
見る都度「そう言えばそうだった」と思い出してください。
そして「あー、また同じ事書いてるな」となったら、それは理解したことになるので、読み飛ばしてください。
だいたい、単語だって一発で覚えられないじゃないですか。
文法だって一発で覚えられませんよ。
文法は説明がめんどくさいので、説明する側からすれば語り甲斐がある一方で、1回で済ませたいです。
でも、それは教える側の都合でしかありません。
ハングルで書いているのは、字を覚えろという意味はなくて、そのまま合成音声で発音してくれるやつに張り付けて発音してもらうため。
あるいは、発音のコツを判断するため。
요←口をウの形で発音するやつだから、ユを言うつもりで発音するヨだな、とか。
文字(スペル)を正確に覚えるのは、発音と意味がわかってからで充分です。
今回のテーマにも通じますが、「アンニョンハセヨ」が、韓国語のあいさつだ、というのは、ハングルを覚える前から知っていたことだと思います。
そして、ハングルを覚えました。
안녕하세요
↑これは何と書いているか。
ひとつひとつ、アン、ニョン、ハ、セ、ヨと読んだ瞬間「あ、アンニョンハセヨだ!」となります。
こうなって、初めて、韓国語をスラスラ読めるようになる、というわけです。
(※ただし안녕하세요に限る)
だから、文字ひとつひとつ読むのに苦労しても、別にいいんです。
「ハングルを○日で覚えました!」なんていう人は多々います。
でも、決してスラスラ読めてなんかいません。
ハングルは、読み慣れるまではかなりの時間を要します。
なぜなら、韓国語の正確な発音の理解と、その発音が何を意味する言葉であるかの連結が前提になるからです。
たとえば、アンニョンハセヨ=韓国語のあいさつ、こんにちは。
という理解です。
でも「アンニョンハセヨ(日本語読み)」とは厳密には発音していません。
日本語と韓国語は発音が違うので、ハングルで書いてあった方が発音のポイントを掴みやすいです。
アンニョンのアンとニョンのンの発音が違うとか、そういう差はハングルがあると助かります。
でも、ハングルまでしっかり覚える必要があるかというと、そんなに重要ではないと考えています。
発音が正しくわかっていれば、文字起こしもある程度できるようになりますからね。
アンニョンハセヨ、ハングルでどう書きますか?
アン
ア=아
舌先を上前歯の裏に接触させるン→ㄴパッチム
ニョン
ニョ=녀 口をアの形で発音するやつなのでㅕ
舌の奥で塞いで、「ンガ」とか言うときのン→ㅇパッチム
ハ
하
セ
子音はㅅで、시어요(シオヨ)が縮約した「セ」だからㅣとㅓが合体したㅔの母音のやつ。
エで発音されるものにㅐとㅔがあって、発音で区別されないけれど、二重母音なので、理由があってㅐかㅔのどちらかになっていることがあります。
ちなみに、現代の韓国語では発音が一緒なため、韓国人でも書き慣れていない単語だと、たまに間違えるそうです。
ヨ
口をウの形で発音するヨ→요
丁寧語尾の요
と言う具合に考えながらでも一応文字起こしは可能です。
ただ、パッチムの部分などは発音変化も起きたりするので、必ずしもすべての韓国語が発音から正確に文字が起こせるわけではないのですが、それでも、カナで覚えるよりも、ネイティブ発音(のコツ)と共に、できるだけ正確に発音を覚えておくと、ハングルを書くときに間違いにくくなります。
ハングルのスペルを覚えることは、後回しでもいいと考えてます。
もちろん、覚えておいて損はないですよ。
でも、しばらくすれば忘れますから。
重要度としては、決して高くないとうこと。
繰り返さないと覚えません。
人間だもの。
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