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翁(おう)と翁(おきな)



毛呂山町中央公民館文芸もろやま第39号(2013年)、短歌部門の入選作と寸評です。



評を見ても明らかなように、見守り隊と詠み人は同輩と見ています。

表彰式で審査員は翁を「おう」と読み上げました。
「おう」は同年輩を示します。

当時、私は65歳でした。
八十翁に対して、親しみと尊敬の意味を込めて、「八十おきな」と詠んだつもりですが、それだと8文字となり、字余りになりますね。

提出原稿にはちゃんと「おきな」とルビをふっていたのですが、完成作品にはルビが省略されていました。

まあ、そんな細かいことは置いといて
審査員が私の名前を呼んだ時に、私は立ち上がりました。

その瞬間、審査員の目に、一瞬の戸惑いが見て取れました。
私があまりにも若いので、評の文章が間違っていたことに気づいたのですね。

しかし、そこは百戦錬磨の審査員、慌てず騒がず、冷静に表彰状を手渡し、私に激励の言葉をかけました。

私は、深く頭を下げて、礼を言い、席に戻り着席しました。

その後は、何事も無かったかのように表彰式は進みました。

審査員の年齢は八十過ぎと見受けられましたが、流石「歳の功」といえるでしょうか。




              完