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蟻の目線



社会人となり、給料やボーナスで、写真の機材を揃えることが可能になりました。

憧れのセコニックの露出計を買い求め、露光の心配がなくなりました。
カメラの備品も、アングルファインダーを揃えました。
現在のデジカメでは簡単に出来る、ハイアングルやローアングル撮影は、一眼レフのアダプターとして、アングルファインダーを装着しなければならなかったのですね。

スナップポートレートを撮影に、新宿によく出かけました。
今はSNS全盛で、肖像権は厳しいのですが、アナログ時代で、ネットも無い時代、とてもおおらかでした。

可愛いお嬢さんに「モデルになっていただけないでしょうか?」と声をかけると、心良く笑顔で、
ポーズまでとってくれました。

蟻の目線の撮影は、アングルファインダーをローアングルに設定して、地面スレスレにカメラをセットします。
下から眺めると、女性の脚が、スラリと長く、カッコ良く撮れるのですね。
ミニスカートの女性に、ローアングルのカメラを向けると、その女性は長い髪の毛を片手でかき上げ、挑発的な目線で、片脚をあげた大胆なポーズを取りました。

そんな事が当たり前の写真全盛時代で、今では考えられないですね。

その後、写真は、モノクロからカラーへと変遷しました。
カラーは金がかかり過ぎます。
経済的負担に耐えかねて、私は一眼レフを処分しました。

そして、SNSの登場。
肖像権は厳しくなり、昔のようなスナップ撮影は不可能になったようですね。






                  完