清楚系の不穏な毒づき
他人から盗んだものを盗品というらしいが同級生の女の子の場合はなんていうべきなんだろうな。
「盗んだ女で……とうにょ?」
「盗女って、ヘンな造語をつくるなよ」
「先に話題をふってきたのはそっちじゃん。しかも元カレからあーしを奪いとったりして本当コウスケは欲しがりくんだよね」
派手めな印象の女子高校生がとなりを歩いているコウスケと腕を組みながら彼女が身体を寄せた。
いつものことなのか登校する他の生徒たちの視線にコウスケは気にした様子が全くない。
「表情は変わんないのに心臓バックバクじゃん」
「うそはやめろ」
「えー、じゃあ……あーしのほうを」
と言いかけたところで派手めな女子生徒は横目で少し後方を歩く女の子、コハルを見る。
自分の清楚なイメージを完璧に理解しているのかその強みを最大限に活かすような笑顔を、コハルがつくっていた。
「おはよう」
コハルが派手めな女子生徒の名前を口にする。
同じクラスではない彼女に自分の名前を呼ばれて驚いているらしく派手めな女子生徒が目を見開く。
「コウスケもおはよう。この前みたいなことにならないように気をつけてね」
「余計なお世話だ」
「なんの話?」
「盗女さんには関係のない話だ」
はなれていくコハルの背中を派手めな女子生徒が見ていたがその視線に彼女は気づかなかった。